床結露の原因と被害リスク|工場と飲食店における床結露対策

飲食店や工場で頭を悩ます床の結露問題があります。床結露はカビの原因にもなり、作業環境を脅かす滑りやすい床を作り出します。今回は、工場や飲食店における床結露の原因と被害リスク、床結露の対策方法を説明しております。結露対策では換気・除湿・断熱材等の方法と水漏れの可能性に関しても解説しております。
結露にお悩みの方は、是非ご覧ください。

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

温度管理された部屋は冷蔵冷凍設備の扉の閉め忘れは、余分な光熱費以外にも結露の原因にもなります。閉め忘れ防止のドアアラームをご紹介!

結露改善の事例紹介

結露改善の事例紹介

実際に青果市場と食品工場で実施した結露対策をご紹介しています。(同業者様は配布をお断りさせていただく場合がございます)

   

床結露の原因とは(食品工場・飲食店)

床結露の原因とは

結露は、空気中の水蒸気が物体の冷たい表面で水滴に変わる現象です。暖かい空気が冷たい物質の表面に触れる時に、その暖かい空気がもつ湿度が飽和状態となり水蒸気が凝結し結露は発生します。特に、建物での結露は壁や窓、そして床といった建材の表面でよく見られます。

床結露の原因は複数の要素が絡み合っていますが、主な原因は室内と床材の温度差が挙げられます。
床材が冷えている状態で、室内の暖かく湿った空気が接触すると、空気中の過剰な水分が床表面に結露する形で現れてしまいます。冬季に暖房を使用している時に特に発生してしまい、地面からの冷気が床材を冷やしてしまう床下の断熱不足等が原因として考えられます。
また通気性の不足も原因の一つです。通気性がなく湿気を多く含む空気が滞留してしまうことも結露の原因となります。

工場・飲食店の結露の原因

●工場の結露の原因
工場は床面積や室内容積が大変大きく、空調換気が全体にムラなく行き届かせることが難しく、部分的に空気が滞留してしまう場合があります。
また工場は窓が少ない為、窓からの換気ができず、湿気がこもることが結露の原因として考えられます。
ただし、精密機器や紙を扱うような工場では、高湿度の環境では生産に支障をきたす場合があります。
換気による空気の循環の対策だけでは、不十分の可能性も考えられます。
その際は除湿器等で湿度を下げる対策も検討する必要があります。
また結露の要因となる高湿度の原因としては、工場内での生産設備からの発熱により室温が上がりやすく、湿度を多く含みやすいことも結露しやすいことも原因の一つといえます。
また工場内で水や蒸気が発生・使用するような環境下でも湿度が上がる原因の一つになります。


●飲食店の結露の原因
飲食店ではお客さんのために室温を快適に保つ一方で、厨房では熱気と水蒸気が常に生まれています。厨房の作業環境の温度差が原因で床に結露が発生することがあり、特に冷暖房を効かせた空間と厨房を隔てる床材や、入口の開閉が頻繁な場所では温度差が生じてしまう為、結露の発生が見受けられます。飲食店の床結露は、来店したお客様にとって不快感を与えるだけでなく、従業員の作業効率にも影響を及ぼします。
また低層階の店舗は通気性が悪いところが比較的多く、湿度が高くなりやすいことも環境的原因として考えられます。

床結露の放置リスク

結露が床に見られる場合、滑りやすさの危険や木材の腐食を引き起こす原因となりえます。また、衛生面での問題にも影響し、結露が原因でカビが発生しやすくなってしまう場合もあります。このように結露は、建物の保守にも健康面にも様々な悪影響を及ぼす現象となります。
飲食店や工場においては、床結露によりただ見た目が悪いというだけでなく、特に衛生面や安全面でのリスクが考えられます。
飲食店では顧客が快適に過ごせる環境を提供することがサービスの一環であり、床結露の防止は店舗運営の基本となる為、注意が必要です。



① 床結露によるカビの問題
床結露が放置されることで最も顕著な問題の一つがカビの発生です。特に湿度が高い場所では、結露の水滴がカビの繁殖に最適な環境を作ってしまいます。カビは、見た目の美観を損なうだけではなく、食品を扱う場所では衛生上のリスクとなり得ますし、カビ由来のアレルゲンは従業員や顧客の健康に悪影響を及ぼすことも考えられます。長期間放置されると、床材が腐食してしまい、修繕費用が発生してしまう可能性もあります。
関連記事『結露とカビ発生の仕組みを解説|メカニズム・原因と結露対策方法』


② 滑りやすい床(転倒リスク)
床の結露は滑りやすい状態となり、従業員や顧客が行き来する場所では転倒事故を引き起こす可能性が高まります。特に飲食店の厨房や、工場の生産ラインなどでは、安全性が最優先となりますが、床が滑りやすくなることで安全性が著しく損なわれます。
たとえば、飲食店では床結露により客席で滑って転倒し、怪我をしてしまったお客様が出るなど、法的責任問題に発展することも少なくありません。

③ 結露と構造的被害
床の結露は建物の構造にも悪影響を及ぼします。結露水が建物の構造部分に浸透することで、建材の腐食や劣化を進行させる恐れがあります。中長期的な視点で見ると、結果的に建物の寿命を縮める要因となり得ます。また不適切な湿度環境が続くことで、設備や機械にも悪影響を与え、生産効率の低下や不具合へつながることも懸念されます。
例えば、飲食店では床結露による湿気が長期にわたって床材を蝕んで腐食させ、店舗の修繕コストが増大するケースもあります。

床結露の対策

床結露対策の基本

結露発生の最大の要因は温度差です。暖かい室内と冷たい外気との間で壁や窓、床などの表面温度に大きな差が発生すると、その表面で空気中の水蒸気が凝縮し結露が生じます。飲食店や工場などでの床結露も、温度差や空気環境をうまく管理することが非常に重要となります。

具体的には、「空気の温度差」と「湿度」が結露の原因となりますので、
「空気中の水蒸気を取り除く」または「空気が冷やされることを防ぐ」のどちらかを対策することで結露を防ぐことができます。

【空気中の水蒸気を取り除く対策】
①換気
結露防止対策として、床下・床面の通気性を良くすることも有効です。湿気が滞る場所をなくすことで、結露のリスクを低減できます。通気性を確保するためには、通気口の設置や通気路の確保が不可欠です。しかし、冷暖房の効率を下げないようにバランスを考える必要があります。
また換気により室内空気の質を向上させると共に衛生的な環境を維持することが可能です。清潔な空間の提供や、機械の錆びや製品品質にも影響するため、換気は重要な役割を担っています。
換気は結露防止に役立ちますが、エネルギーコストも考慮する必要があります。換気によって冷暖房の空気が外に逃げてしまうと、無意味なエネルギーロスとなってしまいます。そのため、エネルギー効率の良い全熱交換換気システムを選ぶことが重要になります。
熱交換型換気システムはこちら(顕熱交換器とは)

②除湿(水蒸気量)
結露を防止するためには、空気中の湿度を飽和状態にさせないこと、つまり相対湿度を下げるが重要です。相対湿度とは、空気中の水蒸気量が、その温度で保持できる最大の水蒸気量に対する割合を示します。つまり、飽和状態とは相対湿度100%のことを指し、同じ相対湿度でも温度によって結露するタイミングが変わってきます。暖かい空気は寒い空気よりも多くの水蒸気を含むことができ、温度が下がるとその水蒸気は結露となって現れます。
相対湿度を下げる方法として除湿器があります。特に夏場や梅雨時など湿度が高くなりがちな時期には、空気中の過剰な湿度を取り除くことでができます。除湿器にはさまざまな種類があり、使用する場所の広さや性能などに応じて適切なものを選ぶ必要があります。
関連記事『除湿方式の種類を解説【冷却式・デシカント式・コンデンス式】』


【空気が冷やされることを防ぐ対策】
③温度設定
湿度と温度のバランスを保つことは結露を防ぐ上で非常に重要です。冬季は外部の冷たい気温と内部の暖かい気温との間で温度差が生じるため、結露が発生しやすくなります。暖房の温度設定を下げることで、床面との温度差を軽減することができます。また前述した通り、暖かい空気の方が空気中に多くの水蒸気を含むことができる為、設定温度を下げることで空気中に含む水蒸気量を下げ、結露発生を軽減することができます。

④断熱
床結露を抑えるためには、断熱材の選択が重要になります。断熱材には様々な性能があり、建物の構造や予算に合わせた選択が求められます。例えば、発泡スチロールやグラスウールなどの素材は耐湿性能に差があるため、高湿度や水分の多い場所での使用には注意が必要です。また、工事の容易さや省エネルギー性、健康への影響を考慮することも大事です。詳細は専門家にご相談することが重要になります。

【工場の床結露対策】
工場の室内環境は常に変化しており、その中で一貫した湿度管理を実施することが重要となります。多湿な季節や、特定の機械から発生する熱など、さまざまな要因が湿度に影響を及ぼします。これらの要因に柔軟に対応しつつ、また製品品質の低下や従業員の安全に対するリスクへ対処するためにも、湿度コントロールを徹底することで、床の結露を防ぎ、工場内の生産性を保つことができます。結露を解消する方法としては、湿度センサーの設置、適切な換気、除湿器の使用、断熱材の改善、床清掃・メンテナンスなど状況に応じた適切な手法の選定が必要です。
関連記事『食品工場のカビについて-出やすい場所から対処方法まで詳しく解説-』

関連記事『落ちないカビの効果的な落とし方|カビの種類・発生メカニズム・防カビまで理解』


【飲食店の床結露対策】
飲食店に関しては、顧客が快適に過ごせる環境を提供することも重要となる為、日常の清掃はもちろん湿度コントロールが重要となり、除湿器の運用や適切な換気も床結露防止に効果的です。
飲食店の床結露は、客の滑りやすい、従業員の作業効率低下、また食品の衛生面でのリスクも懸念されます。まずは湿度測定を行い、除湿機を設置、湿度レベルを常時チェックする体制を整えることが重要です。また床材の見直しも行い、通気性の良い素材に替えて湿気が下に抜けやすい構造への改善も必要となる場合もあります。

関連記事『スーパーマーケットにおける防露設計【カビ・結露対策方法を紹介】』

関連記事『誰でもできる!天井の結露対策 簡単な方法3選』

床結露の注意点!水漏れの可能性も

こちらでは床結露の対策を行う前の注意点をご説明致します。

床が濡れている原因が本当に結露なのか確認することが大変重要になります。
床にある原因不明の水は、結露以外にも漏水が原因の可能性が考えられます。
例えば、屋上階からの雨水の侵入、天井裏配管からの水漏れ、ドレン水の漏水等様々な原因が考えられます。
床面が濡れている場合は、結露以外の原因も視野にいれて調べることで、きちんとした対策を行うことができます。
床面の水が発生している時に専門業者に見てもらうことが重要ですので、早めの点検依頼をお勧め致します。
再現されていない状態での点検は原因判明しない可能性が高まりますので、注意が必要です。

まとめ:床面結露の対策・診断は専門業者への依頼がおすすめ

床面の結露の仕組み・原因、被害リスク、対策はご理解いただけたでしょうか。
建物内に発生した水は本当に結露なのかの判断が難しい場合もあります。
結露と決めつけず、様々な観点での検証が必要となります。

また結露の原因も建物の状況によって異なり、それに伴い対策方法も様々になります。
結露の詳細原因の追究や対策に関しましては、専門家へご相談することをお勧め致します。
是非結露・床が濡れてしまうことに関してお悩みの方はお問い合せからご相談ください。

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

温度管理された部屋は冷蔵冷凍設備の扉の閉め忘れは、余分な光熱費以外にも結露の原因にもなります。閉め忘れ防止のドアアラームをご紹介!

結露改善の事例紹介

結露改善の事例紹介

実際に青果市場と食品工場で実施した結露対策をご紹介しています。(同業者様は配布をお断りさせていただく場合がございます)

作者名
衛生設備食品
設備の仕組み解説の館