結露発生のメカニズム・仕組みを解説|結露の影響と基本の結露対策4選

常に室内の温度管理されている、もしくは機械設備がある空間には、結露がよく発生してしまいます。
こちらでは、結露とは何かの仕組み、結露のメカニズム、結露の影響をご説明しております。
また結露を防ぐ基本的な4つの対策も解説しております。

結露対策は周辺状況や建物の状況によって異なってきます。
結露の基礎知識として是非お役立てください。

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

温度管理された部屋は冷蔵冷凍設備の扉の閉め忘れは、余分な光熱費以外にも結露の原因にもなります。閉め忘れ防止のドアアラームをご紹介!

結露改善の事例紹介

結露改善の事例紹介

実際に青果市場と食品工場で実施した結露対策をご紹介しています。(同業者様は配布をお断りさせていただく場合がございます)

   

結露が発生するメカニズム・原因と結露の種類

結露が発生するメカニズムと原因

まずは結露とは何か、メカニズムをご説明致します。

結露とは、室内と室外の温度差が大きい場合に、窓ガラスや壁面などの冷たい面に空気に含まれていた湿気が凝結して水滴となる現象です。特に寒い季節には内部の暖かい空気と外壁の冷たい面との間で温度差が生じやすく、その結果として結露が発生しやすくなります。

結露発生のメカニズムは、飽和水蒸気量が関係しています。
飽和水蒸気量とは1立方メートルに含むことができる、最大の水蒸気量gを示しています。
この時の水蒸気量とは水分が目に見えない形で空気中に含まれている状態です。
飽和水蒸気量は温度によって変化します。
空気温度が温かいとより多くの水蒸気を空気中に含むことが可能です。
反対に、空気温度が比較的低くなると空気中に含むことができる水蒸気量が少なくなります。
例えば温度25℃の飽和水蒸気量22.8g/㎥を含む空気を、20℃まで温度を下げた場合、飽和水蒸気量は17.2g/㎥となります。
20℃の空気は水蒸気を17.2g/㎥しか含むことができません。
22.8g/㎥-17.2g/㎥=5.6g/㎥の空気中に含むことができない水蒸気量は、凝結して水滴となります。
こちらが結露の水滴ができるメカニズムになります。
空気を冷やす例をあげましたが、25℃の室温の中に20℃に冷えた壁面がある場合、壁面の冷たさが空気に伝わり壁面周辺の空気は冷やされていきます。
空気温度が下がっていき、飽和水蒸気量も少なくなることで、結露が生じています。
このように空気と物体間でも同じ現象が起きています。


続いては結露の原因を説明致します。
結露は空気環境により生じてしまう為、主に以下の空気環境が原因となります。
①温度差
前述した通り、結露が発生する原因は主に温度差になります。前述した通り、室内の暖かい空気と冷たい表面とが接触することで、空気中の湿気が水滴として表面に現れます。空気とモノの温度差が大きくなると結露が生じてしまいます。特に結露は冬場において頻繁に見られる現象であり、窓の結露はその代表的な例と言えるでしょう。

②高湿度
また結露が生じてしまう原因としては、高湿度も関係しています。先程の原因の空気とモノの温度差が比較的少ないにも関わらず、結露が生じてしまう場合があります。こちらは、空気中に含む湿度が多いことで結露がしやすく、比較的やや冷たい物質にも関わらず表面に結露水が付着します。例えば、夏場の梅雨時期の外気は温度が高く多湿の状態です。天井裏やクローゼットの中など空気の流れがない場所は高温多湿の空気が滞留しやすく、エアコンの冷房が効いた空気が入り込むことで結露をしてしまうことがあります。

結露の種類

結露の種類は「表面結露」と「内部結露」の2種類に分けることができます。

【表面結露】
表面結露とは名前の通り物質の表面に水滴が付着して発生する結露になります。
床や壁、配管表面、窓・窓サッシ等の表面に水滴が付着している状態が該当します。
湿気を多く含むことができる暖かい室内の空気が、比較的冷たい建材に触れることによって表面が結露が生じます。

【内部結露】
内部結露は建物の外壁と内壁の間、もしくは天井裏等普段目にすることが少ない建物の構造内で結露をしてしまっている状態です。
こちらは断熱材に裂け目があったり、防湿対策が不十分である場合に、室内の湿気が構造内に侵入してしまうことが原因となります。
内部結露は発見が遅れることが多く、気づいた時にはひどい状態であることも多いです。

結露発生の影響と被害

結露による被害・影響

結露もを放置してしまうとどのようなリスク・被害があるでしょうか。

●悪臭…結露の水分はカビの繁殖の原因になります。菌類の繁殖時に出す老廃物の臭いがカビ
   臭となり、室内に広がってしまいます。
   菌が体内に侵入する可能性以外にも、臭いによって体調不良・不快な気分になってし
   まいます。

●アレルギー・喘息・アトピー…結露が生じ、カビ菌が発生してしまった場合、カビ菌が空気
              中に飛散し、人体に吸い込んでしまうことでアレルギー症状
              が出てきてしまうことがあります。

●物の劣化…湿度が高い環境や結露で濡れた状態を放置してしまうと家具や建材、土台などの
      建物へのダメージにつながります。またカビを清掃する際にの、洗浄剤でも建
      材に傷める原因になる可能性もあります。

●衛生・安全管理…建物の使用用途によっては一定基準の衛生管理基準を設けられています。
        特に食品を扱う室内や医療用途の場合、高い衛生管理を求められる為、
        結露からカビが生じてしまった場合、指導・最悪の場合、運営に支障をき
        たす場合があります。
        また床面が結露することで、水滴で滑りやすくなる場合があります。
        結露により従業員や通行する人の転倒事故を招く可能性も考えられます。

結露のカビ発生の仕組み

こちらでは結露によるカビの発生に関して説明しております。

カビが発生しやすい条件としては、「温度」「湿度」「栄養」があります。
①温度
15~30℃の間が発生しやすい環境と言われています。
また一般的には60℃以上でカビ菌は死滅(種類による)し、氷点下では死滅しません。

②湿度
約70%以上になると発生しやすいと言われております。
日本の多湿な気候は、さまざまなカビの生息地となりやすい環境と言えます。
カビの発生を防ぎ、人にとって快適な環境を保つ理想的な湿度は、季節や天候、室内の状況によって異なりますが、一般には50~60%が適正とされています。

③栄養
塗料やクロス、石膏ボード等の建材、埃やごみ、人の皮脂や垢等がカビの栄養素になります。
日常においては食品やシャンプー、石鹸カス等も栄養となり、定期的な清掃が重要になります。

【カビが発生する仕組み】
そもそもカビの胞子は土壌等に存在しており、空気中の埃や湿気によって空気中に飛散し、あらゆる所に付着します。
その上で、先程のカビの発生しやすい環境下で2~3日で増殖・目に見えるように(コロニー)なります。
また更に1週間経過すると胞子を作り、空気中に飛散してカビが拡大していきます。

↓詳しいカビ発生のメカニズムはこちら
関連記事『落ちないカビの効果的な落とし方|カビの種類・発生メカニズム・防カビまで理解』

関連記事『食品工場のカビについて-出やすい場所から対処方法まで詳しく解説-』

基本的な4つの結露対策

基本的な結露対策4つ

結露の防ぐには、結露を発生する要因・環境を発生させないことが重要になります。

結露の防ぐ方法は室内の温度と湿度を適切にコントロールすることが重要です。具体的には以下の通りになります。
①換気・空気の循環
適切な換気を行うなどが効果的な対策となります。換気により調理場や温浴施設では高湿度を屋外に排出することができます。
調理場や温浴施設では、調理工程や湯気などで湿度が大変高くなります。高湿度もカビが発生しやすい条件の為、きちんと屋外へ排出することが重要になります。しかし、梅雨時期等の屋外の湿度が高い場合は換気効果が低くなる場合もあります。
また空気の対流も結露に繋がる為、空気の流れをよくする意味合いでも換気は有効な対策になります。
換気により室内の温かい空気が外に逃げることがありますが、熱交換型の換気システムを利用することで、熱損失を防ぎつつ効果的に換気することが可能です。
熱交換型換気システムはこちら(顕熱交換器とは)
また湿度の高い空気が部屋の隅で換気がきちんと行き渡らず、空気の循環が上手くできていない場合があります。
この空気の淀みが結露が生じてしまう原因となりますので、空気が満遍なく流れていない場合には、サーキュレーター等で循環・かき回すことが重要になります。

②断熱強化
断熱強化は結露防止だけでなく、エアコンの冷房効果・暖房効果を高めることに繋がります。断熱強化は窓の二重・三重構造等の断熱効果の高い窓にする、壁面・床・天井の断熱材の性能の見直しを行うことで可能です。また配管等の結露では、高性能な保温材・工事を行うことで防ぐことができます。こちらは、物体の冷たい表面に暖かい空気が接しないようにすることで結露を防ぐことができます。

③除湿機
結露カビ防止のため、除湿機の使用は非常に有効です。除湿機を活用することで、室内の湿度をコントロールし結露の発生を予防することができます。特に梅雨時期や湿気の多い日に室内の湿度が高くなりがちになり、換気しても室内の湿度が下がることはありません。このように除湿機を適切に使うことで、外気条件に関わらず除湿することができ、結露が発生しにくくなります。
除湿機は除湿したい空間に合わせた能力を選定することで効率よく結露対策を行うことができます。
除湿機には大きく分けてコンプレッサー式、デシカント式、ハイブリッド式の3つの種類があります。
・コンプレッサー式
 冷却コイルを用いて空気中の湿気を冷やし、水滴として取り除きます。
 このタイプは冷房機能として兼用できるものが多く、除湿能力も高く、
 湿度が高い日本の夏には特に効果的です。
・デシカント式
 吸湿剤を用いて湿度を吸収し、吸湿材をを温めて湿度を排出する方法です。
 音が静かで、空気が低温でも効率よく除湿できるため、冬場の使用に適しています。
・ハイブリッド式
 コンプレッサー式とデシカント式の良い部分を組み合わせたもので、
 年間を通して使い勝手が良いです。
関連記事『除湿方式の種類を解説【冷却式・デシカント式・コンデンス式】』


④温度差をつけない(温度を上げ過ぎない)
室内温度のコントロールは結露防止に効果的な手段の一つです。温度差が結露の原因となる為、暖房時期は温度設定を上げ過ぎないことで温度差を付けないことも一つの対策になります。また湿度が高い梅雨時期には、エアコンのドライ機能を使用して湿度を下げることも有効です。

関連記事『スーパーマーケットにおける防露設計【カビ・結露対策方法を紹介】』



関連記事『誰でもできる!天井の結露対策 簡単な方法3選』


関連記事『床結露の原因と被害リスク|工場と飲食店における床結露対策』

結露が発生しやすい場所

結露が発生しやすい場所は、基本的に湿度が高い場所や温度差が生じているところになります。
・部屋の外と中は温度差がつきやすく、窓サッシや部屋の隅などに結露が生じる場合があります。
・冷蔵冷凍設備の周辺は、冷蔵冷凍設備の冷気と周辺温度と差がある場合が結露が発生しやすいです。
・低温管理している部屋は、隣の部屋と温度差が大きい場合、壁や扉、天井、床等様々な個所に結露が発生する場合があります。
・冷媒配管や冷温水配管等の冷たい物体が通る配管も結露しやすい場所です。

まとめ:結露を事前に防ぐことで周辺被害や建物劣化の軽減に繋がる

結露のメカニズム、結露からカビが発生してしまう仕組みはご理解いただけたでしょうか。
また結露が発生しない対策は基本的な要因を排除する必要となり、結露対策には様々な手法があることもご理解いただけたでしょうか。
どの結露対策方法が適切かは、周辺状況や建物の状況によって異なってきます。
おすすめの方法は一概には言い切れませんので、一度専門家にご相談することが重要となります。

また結露が生じてしまうと水滴により建材の劣化やカビの発生、室内空気環境が悪化する原因にもなり、最悪人体への悪影響も考えられます。
建築物・室内の人を守る為にも結露対策は大変重要な項目です。
是非、対策でお悩みの方はお問合せからご相談ください。

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

温度管理された部屋は冷蔵冷凍設備の扉の閉め忘れは、余分な光熱費以外にも結露の原因にもなります。閉め忘れ防止のドアアラームをご紹介!

結露改善の事例紹介

結露改善の事例紹介

実際に青果市場と食品工場で実施した結露対策をご紹介しています。(同業者様は配布をお断りさせていただく場合がございます)

作者名
衛生設備食品
設備の仕組み解説の館