食品工場のカビについて-出やすい場所から対処方法まで詳しく解説-

食品工場においてカビ問題は付いて回る永遠のテーマです。
少しでもカビの無い環境にしようと、ドライな環境を作ったり、様々な洗剤を試したり、苦戦するものです。
また、せっかく除去できても、すぐに再発してしまうこともざらにあります。

今回は、少しでもその時間と労力を軽減できるよう、食品工場に発生しやすいカビの種類や場所、どのような洗剤がカビを落とせるのか、解説していきます。
この記事を読むことで、様々な策を考える時間を無くすことができ、カビを落とすのに割く時間と人員を軽減する方法がわかります。

   

食品工場に住まうカビとは

食品工場に住まうカビの種類

食品工場における代表的なカビは以下の3つです。

①クラドスポリウム属（クロカビ）
　1番メジャーなカビの一種。空気中に多く浮遊している発生しやすいカビ。

②ペニシリウム属（アオカビ）
　植物病原菌の1つ。植物を枯らしたり、腐敗させたりする作用を持っているのが特徴です。
　野菜に発生することが多くごはんやパンなどにも発生します。人体にも影響を及ぼします。

③アスペルギルス属(コウジカビ)
　自然界において最も普通に見られるカビの一種。
　もっとも普遍的に存在するカビで食品工場においても汚染の主流です。

食品工場に住まうカビが特に生息しやすいスポット

・原料食材保管庫
・蒸気が発生する高湿度になる作業エリア
・室内の埃が、たい積しやすい空調設備
・常時湿った状態になるシンクや給排水管などの水回り
・結露しやすい冷蔵･冷凍室の出入り口
・食品残渣が付着しやすい機械器具

挙げるだけでも様々なところに発生することがよくわかると思います。
もしまだチェックできていない箇所があれば確認してみてください。

カビ取り洗剤のメカニズム

3つの力

カビを落とすために、以下の3つの成分が必要であることがわかっています。

①次亜塩素酸ナトリウム：カビを漂白します。
また、カビと接触すると漂白が始まります。
汚れに反応して初めて違う物質になり漂白するメカニズムなので早く接触させる必要があります。

②界面活性剤：カビの根の奥まで浸透させます。

③水酸化ナトリウム＆アルカリ剤：カビを柔らかくします。

3つの力を強化する方法

上記の3つの力を強化する方法は以下の通りです。

①上記の3つの力を高濃度配合すること

②カビの根の深くまで浸透する界面活性剤を複数配合すること
安定化配合するとでよりカビの根元まで薬剤が届き、効果がアップします。
以下の3種類の界面活性剤が全て入っていると良いです。

ラウリルジメチルアミンオキシド液（両面界面活性剤）：水への溶解性に優れています。
ポリオキシエチレンアルキルエーテル液（ノニオン界面活性剤）エチルヘキシルエーテル液（ノニオン界面活性剤）：
親水性・乳化・可溶化力に優れています。

③高濃度且つ複数のアルカリ剤が配合されていること
数種のアルカリ剤を配合すると、カビを変性・柔らかくし、落としやすくする効果がアップします。
次亜塩素酸ナトリウム効果の促進剤として、特に炭酸ナトリウム・クエン酸・ケイ酸ナトリウムがおすすめです。
それぞれ、油分除去・成分安定・安定維持の効果があります。

市販の洗剤：特徴とデメリット

市販のカビ取り洗剤は人に対して影響が無いように成分を抑えています。
成分を抑える、ということは効果が弱く、市販のカビ取り洗剤の主成分である「次亜塩素酸ナトリウム」=漂白剤なので、カビの表面色素を除去をしているだけとなってしまいます。
つまり、市販のもので除去できるのはあくまでカビ表面の「色素」にすぎないのです。

洗浄直後は見た目は見違えるほど綺麗にはなりますが、実はカビ菌自体は取り除けておらず、根深く繁殖しているため何度掃除をしてもすぐに再発してしまいます。
根本的なカビ対策をするにはカビ菌の根元まで殺菌しないとなりません。

まとめ：どのような洗剤なら落とせるのか！

まだ根を張っていない浅いカビであれば市販の洗剤でも問題ないのですが、放置していたりすぐに再発してしまうカビは、そのカビに適した安全かつ強力な洗剤が必要となります。
しかし、そのカビに対してどのような成分をどのような比率・濃度で配合した洗剤が良いのかを調べることはなかなか難しいものです。
しつこいカビの対策は、是非専門家に相談してみることをお勧めいたします。