室内空気汚染とは?換気による事前対策の重要性を解説

「室内空気汚染」はCO2の増加、アレルギー発症へのリスク、そしてその他の健康リスクと関わっています。健康リスク予防の為にも、理想的な室内環境を作るために換気はどのように有効なのでしょうか。この記事では、室内空気汚染の問題の現状、室内空気汚染対策、換気がどのように関わるのか、換気調査の有効活用についてを解説します。

   

室内空気汚染と健康リスク

室内空気汚染とは

「室内空気汚染」とは、室内の空気が化学物質や微生物、微粒子などにより不健康あるいは不快な状態になる状況を指しています。

室内空気が汚れる一つの要因は、有害物質の発生源です。化学物質を多く含む家具や建材、消費者電子製品などから、揮発性の有機化合物(VOC)を発生させることがあります。有害な成分が浮遊して呼吸によって体内に入ると、健康に様々な影響を及ぼす可能性があります。また、生活排水やごみなどから発生する微生物も、室内空気の汚れの要因となります。他にも、ペットやタバコの煙も室内空気を汚す要因となりますので、可能な限りこれらの要因に対して対策しつつ生活することが重要となります。

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室内空気汚染とアレルギーとの関係

室内の空気が汚れると、様々な健康問題が出てきますが、特に一年を通して問題となるのが「アレルギー」です。
このような室内空気汚染の原因物質である花粉やダスト、埃はアレルギー症状を引き起こす原因となります。これらは、窓やドアなどから侵入するだけでなく、人やペット、靴などからも運ばれ室内に侵入してきます。また、室内の布製品やベッドマットレス、布団などが、ダニの増殖に適した場所となるためにダニアレルギーの原因を生み出しています。更には加湿器やエアコンの利用、調理による蒸気など、日々の生活活動によっても湿気・カビのようなさまざまな物質が発生し、これらが室内空気中に拡散して一部は呼吸器系に送り込まれてしまいアレルギーの原因となります。

室内空気汚染とCO2濃度による影響

室内でのCO2レベルの基準

日々私たちが吸う空気中に含まれる二酸化炭素(CO2)は昨今注目が集まっています。一般的に、人間が吸う空気中のCO2濃度は0.04%とされていますが、室内ではこの数値が大幅に上昇することがあります。室内のCO2濃度が上がる原因としては、人の呼吸の呼気に含まれる二酸化炭素や燃焼器具による二酸化炭素の発生が考えられます。
二酸化炭素濃度0.04%は400ppmという単位に置き換えることが可能です。そもそもppmとは、「parts per million(パーツ・パー・ミリオン)」の頭文字をとった単位でして、100万分の1の割合を表す単位になります。
あくまで微量に含まれる物質が含まれる割合を示す単位になるので、1000ppm=0.1%、10,000ppm=1%と変換することができ、%単位に変換するとわかる通り、空気全体から見て二酸化炭素はそこまで大きい割合にはなっておりません。

しかし、室内でのCO2濃度の上昇は人体への影響を及ぼすことが分かっており、CO2濃度の基準が設けられています一般的には、室内空気中のCO2濃度が1000ppm(1リットル中のCO2の含有量)を超えると、頭痛、眠気、集中力の低下などの症状が現れる為、1000ppm以下に抑えることが基準と言われております。時に、密閉性の高いビルや一部の住宅では、換気が不十分な状況によりCO2濃度が4000ppmを超えることもあり、二酸化炭素濃度が高いことにより前述の症状を感じることがあります。

CO2濃度上昇による考えられる健康リスク

CO2濃度が高まると発生する可能性がある症状としては、深い眠気、頭痛、呼吸困難、めまい、吐き気、心拍の速まりなどが挙げられます。さらに、さらに重度な場合には認知機能の低下や健康被害が考えられます。また、これらの症状は特に子供や高齢者に重篤な影響を及ぼす可能性があります。
二酸化炭素は無色無臭な為、Co2濃度が上昇しても通常は気づきません。気づかない間にCO2濃度が高い中で生活しており、健康被害が出てしまったということも考えられます。よって、多くの人が集まるような施設ではCO2濃度が上昇しないような換気基準や管理基準が設けられています。
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室内空気汚染を防ぐ換気対策

室内空気汚染の指標=CO2の濃度上昇を防ぐ対策

人がいる空間においての室内空気汚染の一つの指標として、CO2濃度の計測値を参考にすることが可能です。昨今では換気が不足していないかの基準としてCO2濃度が用いられるようになりました。

換気を行うことで室内空気は大いに改善します。まず一つ目の改善点として、酸素濃度が適正化され、二酸化炭素が排出されることです。こうすることで、頭痛やめまいといった健康リスクを抑えることが可能となります。また同時に、換気により湿度も適正な範囲に保たれるため、カビの発生を抑制し、アレルギーを引き起こす可能性のあるダニの繁殖を避けることもできます。二つ目の改善点として、室内にこもった独特の臭いや、化学物質から発生する有害なガスを排出することができます。これにより、頭痛や吐き気を引き起こすリスクを減らし、安心して室内を利用することができます。
換気できている状況=室内空気汚染の対策ができている状態と言い換えられます。
換気の方法は自然換気と強制換気の2種類あります。
それぞれのメリット・デメリットは下記のリンクからご確認ください。
関連記事『機械換気と自然換気の換気種類を解説【第1種換気とは|第2種・第3種の違い】』



まずはCO2の濃度が高まる原因を理解し、適切な対策を講じることが重要です。
CO2濃度が高まる一つの要因としては、前述した通り人体からの発生になります。呼吸により人体からは常に二酸化炭素が排出されています。
室内に対して人口密度が高まれば高まるほど、多くの二酸化炭素が排出され、二酸化炭素濃度が高まってしまいます。
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冒頭に説明した通り、屋外の一般的なCO2濃度は400ppm前後と言われております。(地域差あり)高くなってしまった室内のCO2濃度は屋外に排出し、屋外の比較的CO2濃度が低い外気を室内に取り込むことで、健康被害を及ぼすような環境を防ぐことができます。
屋外と室内の空気を入れ替える換気は、人体の健康被害を防ぐ為に大変重要な対策となります。
昨今とはきちんと換気ができているかの一つの指標として二酸化炭素濃度が用いられるようになりました。
人が滞在する室内空間において、CO2濃度が高い=換気量が足りていない空間という認識として知れ渡るようになり、CO2濃度計も様々な場所で目にするようになっております。

室内の空気汚染対策には、室内の換気を適切に行い、CO2の濃度を適切なレベルに保つことが必須です。その為には換気設備の設置や適切なメンテナンスも必要となってきます。二酸化炭素センサーを用いて室内のCO2濃度を常に監視し、必要に応じて換気を行うことも有効な対策となります。
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また換気することで、暖かい・冷たい空気を屋外に排出してしまう為、空調エネルギーを屋外に捨ててしまっている状況です。空調設備における空調を行う消費電力は多くのエネルギーを消費しています。空気を外部に排出し、新鮮な空気を取り入れる過程で空調エネルギーロスが生じ、冷暖房の効率を下がり空調の効き側悪くなり、運転コストを増大させてします原因にもなります。そこで注目されるのが全熱交換器という装置です。全熱交換器は排気と新たに供給する空気の間で空調エネルギーを交換し、冷暖房負荷を低減させるという仕組みを持つ換気設備です。全熱交換器により空調設備のエネルギー消費を節約することが可能となります。
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室内空気汚染の対策:フィルター

室内空気の汚染を防ぐためには、空気中の異物を除去できるフィルターを使うこともおすすめです。これらのフィルターは、室内空気中の微細な粒子やアレルゲンをキャッチし、空気をきれいに保つことができます。フィルターを選ぶ際には注意点があり、フィルターの性能や効果はフィルターによって異なる為、求めるの空気環境や性能に合ったものを選ぶことが重要になります。また、効果を最大限に発揮させる為には、正しい設置場所と設置の仕方、定期的な交換を行うことも重要となります。

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まとめ:室内空気汚染の換気調査

室内空気汚染を防ぐには、換気が重要な対策とご理解いただけたでしょうか。
また人がいる空間ではCO2濃度計測により、室内の換気状況を確認することができます。

もし仮にCO2濃度が高い、CO2濃度計はないが換気できていない気がするという状況では、
換気調査を行うことをお勧め致します。
換気調査は専門家により換気風量を測定することや図面を確認することで、換気状況を確認することができます。
また空気環境測定の結果が好ましくない場合にも、原因追及を行うことができます。

安心して居られる室内を作る為には、是非換気調査をご検討ください。

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衛生設備
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