工場の結露対策でできること|配管結露や錆・腐食の被害・問題を解説

工場には人や機器が多く、且つ空間が大きいことで結露が生じやすい環境になっています。こちらの記事では、なぜ工場で結露が発生するかの原因、工場内の配管やコンセント・盤等の結露が生じやすい場所を具体的に紹介しております。また工場の結露を放置してしまう被害・問題や結露対策と具体的な方法について説明しております。
工場の結露でお悩みの方は是非ご参考にしてみてください。

冷凍冷蔵庫・低温度室の結露防止に

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結露改善の事例紹介

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実際に青果市場と食品工場で実施した結露対策をご紹介しています。(同業者様は配布をお断りさせていただく場合がございます)

   

工場の結露発生の原因とメカニズム

工場の結露発生の原因とメカニズム

●結露の発生メカニズム
結露とは空気が冷たい物質の表面と接触したときに、空気中の水蒸気が飽和状態を超えて気体を維持できなくなり液化すること=水滴として凝結する現象です。
氷を入れたグラスを置いておくと、グラスの冷たい温度が外の空気と触れて外側の水滴が付着します。そちらが結露によって生じた水滴です。
温度差が発生原理となる為、温度差が大きくなりやすい工場内の温度管理された室内や冷蔵冷凍設備では特に顕著になります。
関連記事『結露発生のメカニズム・仕組みを解説|結露の影響と基本の結露対策4選』


●工場における結露ができる原因
工場内は一般的な建物よりも結露が発生しやすい環境になります。
そちらの原因を確認していきます。
①空間が大きく空気の滞留して温度差が生じる
 工場の室内は動線や生産区画を分ける為に、天井高が高く間仕切りが少ない大空間で設計されていることが多いです。
 大きな空間は空調換気で全体的な空気の循環を行いますが、風が流れにくい場所が生じてしまう可能性があります。
 風が流れづらい場所は、空気が滞留してしまい熱や湿気が籠ってしまい周辺と温度差が生じ結露が発生する原因になります。
 また天井高が高いことで、室内の床周辺と天井近くで温度差や湿度差を生じてしまう場合があります。
 このような差も結露を発生させる原因になり得ます。
②窓が少なく換気がしづらい
 工場の室内では燃焼機器を使用することも多く、十分な換気量が設けられています。
 しかし、その場合は局所的な換気であり、部屋全体の換気にも目を向ける必要があります。
 部屋全体の換気は、前述した通り大空間で風を満遍なく送るには緻密な設計が必要となります。
 風が部屋全体に満遍なく遅れていない場合は、部屋の一部に熱や湿気が滞留してしまい結露の原因となりえます。
 また室内の衛生管理や窓がない点から、容易には換気を増やすことができない可能性があるもの工場の難しいところです。
③冷却設備が多い
 工場内では発熱機器や冷却設備など室内に温度差をつける設備機器があります。
 その場合、冷却用の設備の冷気や、燃焼機器の熱気や設備機器から発生する発熱など、
 室内で温度差が付きやすい環境となり、結露の原因になることがあります。

 

工場の結露が起きやすい場所

前述した通り、工場においてなぜ結露が発生しやすいのかの原因を説明致しました。
こちらでは、具体的に工場のどこに結露が生じやすいのか説明していきます。

●床・天井
室内にて温度管理を実施している場合には、室内と屋外の温度差が大きくなりやすい傾向があります。
そこで、天井裏のスペースに外気が入り込むことで、天井裏の空気が冷やされて天井が結露してしまうことがあります。
また床面に関しても同様に下の階の冷たい空気が伝わり、機器の排熱等の温かい空気が接触することで結露が生じることがあります。

●配管
工場の配管にはいくつかの種類があります。
その中でも配管結露に注意が必要なのが、冷媒配管、ドレン配管、冷温水配管・冷却水配管になります。
またプラント配管において、冷たい空気や液体を通す場合にも、同様の注意が必要となります。
配管により冷たい物体が流れることで、配管が冷やされて結露を生じてしまう原因になります。
具体的には空調機の室外機と室内機を結ぶ冷媒配管では、夏場はかなり冷たい状態の冷媒が配管内に流れます。
冷媒配管は天井裏にあることが多く、天井裏は外気の影響を受けて暑くなってしまう傾向になります。
そこで、天井裏の暑さと冷媒配管の冷たい温度差により、冷媒配管に結露水が付着してしまいます。
一般的には冷媒配管含めた配管には、断熱材や保温工事がされており結露防止対策がされていることが一般的となりますが、断熱不良や保温材が潰れ・性能劣化で結露が生じてしまいます。

●コンセント
コンセントBOX内で結露が生じてしまうことがあります。
室内の空気が冷たい状態で維持されている中で、コンセントBOX内に天井裏の温かい空気が侵入することで、
コンセントで結露が生じます。
発見が遅れてしまうとコンセントの漏電や火災の原因になります。
またコンセントの中に天井内の空気が入り込むので、虫や異物の侵入の原因や結露水によりカビ・錆が生じてしまう場合があります。

●盤
盤内が結露してしまい電子機器に錆や腐食、故障が生じてしまう原因になります。
盤内に水滴や水滴が付着した後が見受けられた場合、盤で結露が生じている可能性があります。
盤内は電子機器の発熱がある為、空気を循環させていますが、周辺の湿度が高いとそちらの空気を吸い込み盤内湿度が高くなります。
その状態で周囲が冷やされると、盤内が結露してしまい電子機器・精密機器がショートを起こし故障してしまう可能性があります。

●冷凍冷蔵設備周辺
冷凍冷蔵庫は、冷蔵庫や冷凍庫に分けることができます。
また冷凍冷蔵設備は各温度帯は3つの温度帯に分けることができます。
冷蔵庫は10℃以下、冷凍庫はー18℃以下に保たれた冷たい空間の空気が、庫外の温かい空気に伝わることで結露が生じてしまいます。
冷やされた冷凍冷蔵設備は冷気漏れや扉開閉により冷蔵庫周辺の床が結露してしまいます。

工場の結露の被害と対策

工場結露の被害・問題

前述した通り結露は、空気の温度差が大きい場所や湿気が高く空気が対流してしまう場所ほど、結露は多量に発生します。人の出入りや生産機械が稼働する中で、結露はリスクにもなります。
こちらでは実際に工場内で結露を放置すると出てくる被害や問題を解説しております。

●錆・腐食
錆は 鉄、銅、アルミ、ステンレス等の金属の表面に酸素と水分が付着・酸化し腐食することをいいます。
結露による水滴と空気中の酸素により、金属表面に付着した結露水が錆や腐食の原因となる可能性が考えられます。
また工場内の湿気が高く場合にも、錆の原因となることもあります。
錆は見た目が悪くなり、強度が低下、金属の部分的な剥がれが異物混入に繋がる等の放置被害が考えられます。
金属素材によって錆びやすさは異なり、亜鉛や鉄など徐々に空気中に置いておくと錆びる素材にはメッキや塗装等の錆防止が行われています。
しかし、一度錆びてしまい対処しないと「もらい錆」という現象により錆が広がってしまう可能性があります。
もらい錆は錆びが水的な空気により移動し、問題のない金属表面に付着、そこでも錆を生じさせてしまう現象になります。
また錆の種類によっては表面の錆が内部に進行することで、錆腐食を悪化させることがあります。内部まで錆びてしまうと配管に穴が開き、漏水等の被害を及ぼすことも考えられます。
このように結露を放置することで錆が生じ、錆も放置してしまうと重大な問題が発生してしまう可能性が高まります。

●漏電
結露水がコンセントや電子機器近くで生じた場合に、回路がショート・電子部品の故障が生じ、漏電や最悪の場合コンセントや電子機器からの発火の可能性が考えられます。
電子機器もコンセントも電気が流れており、結露水等の水が付着してしまうと普段電気の通らない水に電気が流れてしまうことで動作不良を起こします。
最悪の場合は、故障にも繋がる為、電気廻りでの結露は早急な対応が必要となります。
また漏電等は電子機器を搭載した機械設備の故障にも繋がり、最悪の場合生産効率にも影響を及ぼします。

●カビやダニの発生
結露によって工場内に水滴が発生することは、細菌やカビの繁殖を助長する一因となります。水滴などの湿気の多い環境と空気中に含む粉塵などは、カビやダニにとって絶好の生育条件となります。衛生基準の高い工場では、日々の衛生管理が徹底されていますが、結露は予期せぬ場所で発生する可能性もあります。ダニやカビの発生は衛生管理において異物混入や生産中止となる大きなリスクとなります。まずは結露を起きさせない、結露水はすぐに拭き取るという対策が大変重要となってきます。

●パネルや建材等の腐食劣化・建物の短命化
パネルや建材などは、結露によって湿潤な状態が続くことで変色や劣化が生じる可能性があります。また建築や設備に使用される金属部品や鉄骨などが結露にさらされると、腐食のリスクが高まります。特に塩分や化学物質が含まれる結露が金属表面に付着すると、腐食が進行しやすくなり設備以外にも建物自体の短命化に繋がります。

●断熱材の浸水により断熱性能の低下
結露は断熱材や保温材を濡らすことで、結露を悪化させる場合もあります。通常結露を発生させてない為に、断熱材や保温材が用いられますが、劣化や剥がれ等により結露が生じてしまうと、断熱材や保温材が水分を吸い込み断熱・保温性能を十分に発揮できない状態となります。更に性能が低下することで、結露が発生しやすくなる悪循環が生まれてしまいます。

●転倒や滑る可能性
結露は作業環境の安全性にも関わります。水滴が床面に滴り落ちることで、滑りやすく危険な状態となります。作業者が滑って転倒するという事故が発生するリスクは、労働災害率の増加を招き、作業者個人の健康だけでなく、工場全体の生産性にも悪影響を及ぼすことになります。このため、床の防滑処理や水をすぐに吸収するマットの配置、定期的な清掃といった予防策を講じることが大切です。


このような問題に対処するためには、結露にいち早く気づき、早急に対処・対策することが重要となります。

工場の結露防止対策

工場の結露対策

ここでは工場の結露の基本的な対策を確認していきます。

●空間毎の温度差を軽減させる防露設計
防露設計とは、結露を防ぐ設計のことを言います。こちらは建物が建つ前の設計時に対策することが最も有効となります。
竣工後に防露を加味しておらず、追加工事となってしまうと費用も時間も余計にかかってしまう為、初期の対策が重要です。
防露設計としては、断熱・通気・換気・防湿の観点から設計検証する必要があります。

●保温材・断熱材
「温度差を軽減させる」=「冷気漏れを防ぐこと」が結露対策となります。
断熱材を見直し確認することも重要になります。
断熱材・保温材には様々な種類があり、ポリスチレンフォーム、ウレタンフォーム、グラスウールなどが一般に使用される材料で、これらは熱の伝わりにくさや防湿性などの特徴を持っています。
例えば、発泡ポリスチレンやウレタンフォームは大きな断熱性を誇り、食品工場の庫内に適用されることが多いです。また、グラスウールやロックウールは耐火性が高いため、火災のリスクを考慮した施設に選ばれることがあります。
どちらの素材にしても、配管内の管内温度と周囲温度、相対湿度と配管サイズによって保温材の適切な厚みを選定することが重要となります。

●ファン・換気
適切な湿度(40~50%)に保つことで、結露は防ぐことができます。そこで換気が重要になります。
湿度が高い空気が冷えていくと、飽和水蒸気量に達する温度が高くなる為、結露が発生しやすくなります。同じ温度でも相対湿度が低ければ、結露が始まる温度を下げることができ、結露対策につなげることができます。
そこで換気を行うことで、室内の湿気の多い空気を屋外に排出することができ、空気中に含まれる湿度を下げることで結露対策を行うことができます。
また換気やファンによる空気の循環によって空気の温度差が緩和することもできます。室内の一角に温かい空気の熱だまりが生じてしまっている場合、周辺空気や壁面等との温度差が大きくなる為、結露が発生しやすくなります。換気により空気循環することで、結露する温度まで空気が冷やされる前に室内の空気を送風し、空気の温度が均一化することが重要となります。

●除湿器の設置
湿度管理は工場の結露を防ぐ上で重要な要素です。湿気が高い状態が続くと、少し温度が下がっただけでも水蒸気の飽和状態になり結露が生じやすくなります。
そこで空気中の湿度を除去することができる除湿器を利用することで、湿度を適正範囲内に保つことができます。
先程の換気は外気の湿度が高い場合、換気しても湿度は下がりにくく効果が弱まってしまいますが、除湿器は外気に左右されず除湿することができます。
除湿器はいくつかの除湿方式があり、室内の温度帯によっても向き不向きがあります。詳細は下記リンクをご確認ください。
関連記事『除湿器の原理・方式を解説|冷却式・デシカント式・コンデンス式の除湿効果比較』

工場の結露対策と点検の重要性

結露対策にはいくつかの種類があり、実施できる金額もそれぞれ異なります。
また結露の原因が明確な場合は、結露対策の一つを実施してみることは有効になります。
しかし、天井面や床等、結露が生じてしまう原因がはっきりしていない場合は、調査が必要となります。
費用を使い対策してみたものの、効果がなかったということを防ぐことが重要です。


こちらでは工場における結露対策の点検について説明していきます。
まず結露の根本的な原因解明には、専門家による点検が必要となります。
点検を実施することで、根本解決や対策効果を最大限高めることができます。

調査に関しては、各所の温湿度や管内に流れる物質の温度、建物のエアフローなどの情報があるとスムーズに調査ができます。
調査のタイミングは、その年に初めて結露が発生したタイミングで調査することも重要になります。
結露放置リスクもありますが、再現されていることで原因を解明しやすい、結露はが発生する時期を過ぎた後に対策を実施しても、すぐに対策効果を確認することができない、
という理由が挙げられます。
最悪の場合、対策から1年後の結露発生時期に初めて、対策効果が分かるという場合もあります。
このように結露が発生して対策したいテーマがあがった時点で、調査手配をすることが重要になります。

点検費用に関しては各社異なる為、各社に確認する必要があります。
相談を受けて回答する、現地訪問の調査を行う、湿度測定を行う、対策施工の提案を行う等、対応範囲も各社異なります。
相違がないように、結露対策に関してどこまで依頼したいかを事前に伝えておくことが重要になります。
また扱う物件が多い場合、毎回点検費用が発生してしまうと最終的に膨大なコストが発生する場合があります。
こちらの場合は、建物をピックアップする、点検前の事前相談をしてみることで、効率良く対策検討することができます。

まとめ:工場の結露は見つけ次第、早急な対策検討が必要

工場のおける結露の被害や問題、結露の起きやすい場所、結露対策はご理解いただけたでしょうか。
また結露対策は様々な手法が存在しているため、適切な対策方法を選ぶことが重要になります。
また結露は年中発生するところや、年間のうち一定期間のみ発生する場所があります。
見つけ次第、早急に結露対策を進めることが、被害を大きくしない為に重要になります。
ご自身でどの方法が適切かの判断できない場合は結露の専門家に相談することが重要になります。

また結露が酷い場合には、複数の結露の原因が隠れている可能性があります。
この場合の対策も、多方面からの検証が必要となる為、専門家に相談することが重要です。

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