誰でもできる!天井の結露対策 簡単な方法3選

 今回は誰でもできる簡単な天井の結露対策について具体例や注意点をお話します。
本来、結露対策はいろいろな環境要因から原因を分析しておこなう必要があります。でも、「いきなり専門家に相談するのもなぁ」「なるべく手間もお金もかけずに解決したいなぁ」という方もいらっしゃると思います。
結露対策は知識のない状態でやみくもにやると悪化する場合もありますが、今回はまず悪化する心配はない、専門的な設計の必要のない対策をご紹介します。一人でできるものや地元の施工店に依頼するレベルでできるようなものですので、対策の第一歩としてぜひ参考にしてみてください。逆に、勝手にしてはいけない結露対策や、自分で対策をおこなうときの注意点も記載していますので、こちらにも留意しながら実施していただければと思います。

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結露改善の事例紹介

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実際に青果市場と食品工場で実施した結露対策をご紹介しています。(同業者様は配布をお断りさせていただく場合がございます)

   

1.天井の結露対策 簡単な方法3選

結露とは

 結露とは空気中の水分が水滴になって(凝縮して)、物質表面上に現れる現象です。氷水が入ったコップを置いておくとコップの外側に水滴がつくことなどが挙げられます。空気は温度が高いほどたくさんの水分を含むことができ、温度が低くなると持ちきれなくなった水分を放出し、それが結露となります。

天井の結露対策 簡単な方法3選

 誰でもできる結露対策3選をご紹介します。原因の全体像の把握や設計・計算がなくても着実に効果が期待できる対策で、どのような建物でもこの三つに着目して実施します。

①空気の攪拌
②除湿
③余計な外気の侵入防止

①空気の攪拌
  結露は空気のよどみがある場所で発生しやすくなります。軽い結露でしたら、ファン
 で風を当てるだけでも解消することがあります。

②除湿
  そもそも空気に水分が含まれてなければ結露は起こりません。結露解消に必要な除湿
 能力の計算は難しいですが、置けば必ず一定の効果を発揮する対策法です。

③余計な外気の侵入防止
  設計上必要な外気ではなく、出入口の不定期な開閉や、窓、天井裏の隙間風など、余
 計な外気が入ってきて結露を起こしている場合、外気の侵入量を減らすことで結露を抑
 えることができます。特に結露箇所に近い外気の侵入口を塞いだり、出入口等を直接外
 気が入らないような構造にしたりすることが挙げられます。

2.天井の下面・上面それぞれの場所での具体的な対策

(1)天井下面で発生している結露への対策

 結露が発生しているのが、天井の下面か上面(天井裏)かで対策のやり方が少し異なりますので、具体的な方法を解説します。また、対策としては十分考えられるけれども、専門家への相談のうえ実施してほしいものもまとめていますので参考にしてみてください。

 まずは天井下面を発生している結露への対策をご紹介します。
①扇風機・サーキュレータ
  様々な場面で取り入れられる対策です。扇風機を天井に向けて風を当てます。設置工
 事も必要なく、安価にできるのがメリットですが、結露箇所が多い、範囲が広い場合は
 何台も置くことになるのがデメリットです。

②エアー搬送ファンなどの天井設置ファン
  こちらは設置工事が必要になりますが、天井面に沿って風を送るため広範囲の空気を
 攪拌してくれます。天井設置できるものは様々な形・風量があり、風を送りたいエリア
 の大きさや店舗の形状によってファンを選びます。例えば、制気口周りが結露する場合
 は小型の軸流ファンタイプのものでピンポイントに風を当てることができます。

③シーリングファン
  シーリングファンは一般住宅のリビングなどにも取り入れられ、空間を上下方向に攪
 拌し温度ムラを和らげてくれます。スーパーマーケットで冷蔵ショーケースが密集する
 エリアがある場合、シーリングファンを設置することがあります。こちらも設置工事が
 必要になります。

④除湿機
  結露解消に必要な除湿能力を計算するのは難しいですが、置けば必ず一定の効果は出
 る対策です。湿気がこもってカビくさい空間に除湿機を置くとカラッとして気持ちよく
 感じます。空気中から吸収した水分が除湿機から出るので、ドレン受けやドレン接続が
 必要になります。

(2)天井上面(天井裏)で発生している結露への対策

①有圧扇、軸流ファンなどの設置
  天井下面での結露対策でも書きましたが、空気のよどみが結露の発生に大きく影響す
 るので空気の流れをつくることが大切です。天井裏は特に空気がよどみやすいのでファ
 ンで攪拌すると効果が得やすいです。

②天井裏に敷いてある断熱材の撤去
  建物、店舗によっては天井裏に断熱材が敷いてある場合があります(リンク:スーパ
 ーマーケットの結露事例参照)。この断熱材と天井材の隙間で結露が発生していること
 があり、天井全面での結露につながります。断熱材は室内の熱負荷軽減のために置かれ
 るもので、問題がなければそのままで構いませんが、結露が生じているなら撤去した方
 がいいでしょう。
記事『スーパーマーケットにおける結露対策の事例』はこちら


③天井裏換気ファンの停止
  天井裏の空気のよどみ解消、結露対策として天井裏に換気システムを取り入れている
 場合があります。これは室内の湿気が天井裏(屋根裏)に侵入して結露することを想定
 されたものです。冬に暖房や加湿器をつけて、その湿った暖かい空気が天井裏の冷たい
 屋根材で結露するようなイメージです。ですが、逆に夏場ですと、天井裏換気で湿気を
 含んだ暖かい外気が天井裏に入ってきます。室内の温度が低く、天井材が冷えていた場
 合、天井裏に入ってきた暖かい外気が冷たい天井材で結露することが考えられます。天
 井裏換気は法律で義務付けられている換気ではないので、天井裏結露がある場合は停止
 して様子を見てみましょう。

(3)設計者や専門家に相談してからおこなうべき対策

①制気口の一部塞ぎ
  1台のファンに対して複数の制気口がついている場合は、一つの制気口を塞ぐと他の
 制気口にその分の風量が割り当てられることになります。制気口一つ当たりの風量が
 大きくなるということです。給気の場合は制気口から出てくる風が強くなり、下を通
 る人の不快感や、下に置いてあるものに温度等の影響を与えることがあります。排気
 の場合は、特に設計者が空間全体に換気ができるように配置を決めていることが多い
 ので、換気されるエリアとされないエリアをつくってしまう可能性があります。また、
 給気排気どちらも一つの制気口の風量が多いほど騒音値は上昇します。

②給排気の風量調整もしくは停止
  ①とも共通して言えることですが、換気は基本的に必要な量を必要な場所に入れてい
 ますので、勝手に停止等はせず、一度担当者に相談してください。換気には法定換気量
 というものが決まっており、シックハウス症候群防止やCO2濃度上昇防止等、安全上の
 目的があります。

③建材・配管等の断熱
  断熱不足も結露の原因としてよく挙げられるものです。原因としてはっきりとこの部
 分の断熱不足と分かる場合ならいいのですが、大規模に実施することになる場合は、き
 ちんと調査をして結露の全体像を把握してからの実施をおすすめします。

補足解説:結露か雨漏りか

雨漏りの場合、雨の日に水が滴る・浸みる
 ほかにも見る、考えるべきポイントはいくつかあるのですが、判別は難しいです。比較的広範囲で水滴が発生している場合は結露の可能性が高いと言えますが、天井裏結露の場合は配管やダクトなど断熱材が切れたピンポイントの場所で発生していることもあります。このようなピンポイントでの天井裏結露は、雨漏りとの違いを天井下から見るだけでは断定しにくいものです。広範囲にじんわりとではなく局所的に水滴が発生している場合は、雨漏りの可能性もあると考えて、結露だと決めつけない程度で把握しておくのが良いでしょう。水滴が発生するパターンを観察して、できれば発生しているときに実際に天井裏を確認して判断してください。

3.自分でおこなう結露対策の注意点(まとめ)

①換気量、給排気バランスは変えない
 先述した通り、換気には法定換気量があり、一定の換気量を確保することでシックハウス症候群の防止やCO2濃度を一定値以下にするなど安全上の目的があります。また、調理機器の排気は熱気や燃焼ガスの排出を目的としています。いずれも換気をむやみに停止することはやめましょう。

②カビは取り除いてからおこなう
 一度生えたカビは結露が止まっても除去しない限りなくなりません。カビの胞子は飛散し、人体に取り込まれると感染症などの健康被害を引き起こすことがあります。カビを放置してファンの風を当てることはやめましょう。結露対策の効果をきちんと図るためにも、まずはカビの除去からおこないましょう。

③まずは小規模でやってみる
結露はいろいろな原因が重なって起こっていることがありますので、精通している人でないと結露対策は難しいものです。ご自身の判断や創意工夫でおこなう場合は、まずは対策エリアを決め、小規模に実施することをおすすめします。

 以上が誰でもできる天井の結露対策でした。結露は原因が見えづらく対策もどんなものがいいか迷うと思います。建築関係に関わる人でも、同じ結露の現場で原因の解釈が異なったり、対策も違うものを提案することが多くあります。それだけ結露は理解が難しいものです。今回ご紹介した対策は簡単でも効果をしっかり感じられるものですが、それでも結露が収まらないときはぜひ弊社がご提供する結露診断を受けてみてください。

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