建物内には空調、換気、給排水、電気と多種多様な設備があります。
その中でも空調換気は快適な室内環境を作り出すには必要不可欠な設備です。
空調機は定期的な維持管理の手間がかかります。
機械なのでメンテナンスや維持管理は不要のように思われますが、
設備によっては消耗品あったり、気づいたら故障していたなんてことがあります。
エラーが出なくても他の部分が壊れている場合も起こり得ます。
また空調機は点検義務もあります。
こちらの記事では空調機の保守メンテナンスの重要性・メリット、点検義務、点検方法を説明しております。
また外注先をご検討いただく際の注意点など、メンテナンスでお困りの方にお役立ていただけます。
是非ご参考にしてみてください。
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空調メンテナンスとは
空調とメンテナンスとは
空調とは空気調和設備の略称になります。
空調調和設備(以下 空調)は室内の空気を使用目的に適した状態に保持する設備です。
下記の機能を持つ機器は空調に該当します。
・温度調整(冷却・加熱)
・湿度調整(除湿・加湿)
・空気の流れの調整(速さ・方向等の換気機能)
・空気の浄化(粉塵の除去等)
お家にあるようなエアコンも空調設備の一つの種類になります。
また加湿器も湿度調整機能を持つので、空調設備に該当します。
空調機のメンテナンスを行う場合には、上の4つのいずれかの機能を持つすべての機器が
対象の検討に入れる必要があります。
抜け漏れがないように注意が必要です。
メンテナンスとは保守のことを指します。
保守とは人工物が正常な状態を維持できるように手入れすることを指します。点検や整備、補修や交換等も含む場合もあります。
では、空調機の保守による管理はなぜ重要なのでしょうか。
経営や営業の現場で空調機が故障してしまうと空調が停止、室温が快適な状態を保てなくなります。
そのような状態でお客様に室内やサービスを行う場に滞在してもらうことが難しくなり、
最悪の場合営業を停止しなければならない状態になります。
また無理にでも営業を続けてしまうと悪い口コミや評判、クレームになりかねません。
更には空調機は、稼働率の上がる真冬や真夏では故障確率が上がる傾向にあります。
「空調機が壊れやすい時期=室温と外気温との差が大きい時期」となる為、
お客様に室温に注意が向きやすいタイミングです。
そして、故障から修理までの速さも長引いてしまう傾向にあります。
人手の問題や部品供給状況等の要因によって、暑い状況が思ったよりも長い期間強いられる可能性もあります。
そこで大切なのが、保守メンテンナンスにより事前の点検です。
実際に真夏や真冬に入る前に点検を行い、異常が見受けられた箇所を故障する前に交換することも可能です。
その中でも1年間単位で点検回数等を定める定期的な点検は保守の重要な要素であり、
故障や故障の原因は何かを探る等の設備の状態を確認することから始めて、保全や修繕へとステップを進めていきます。
空調設備の点検は保守の第一ステップです。
空調機は使用していくうちに経年劣化や故障等が生じてきます。
経年劣化とは運転するとともに空調機内に各所に摩耗や汚損、部品の動作不良等を生じることです。
最悪の場合には空調機が不具合・エラーを発報し、停止してしまう場合もあります。
そのような好ましくない状態が起こらないようにメンテナンスを行う必要があります。
メンテナンスにはいくつかの種類があります。
メーカーや管理会社によって様々な種類がありますので、
予算や空調停止のリスクを踏まえて上で、適切なメンテナンスを選ぶことが重要です。
●通常メンテナンス
定期的な決められた頻度で点検・メンテナンス作業を行う方法です。
必要な分のみの経費で抑えられ、また点検項目もある程度自由が利くため、
現場に合わせた内容で実施することができますが、
緊急時や不具合時の対応は全て有償となることが一般的です。
●セミフルメンテナンス
通常のメンテナンスに加えて、不具合が生じた場合の点検費や技術料が不要となるメンテナンス契約です。
多くはメーカーや管理会社と契約を締結する必要があり、
部品や材料費のみは有償となります。
メンテナンス契約を行うことで不具合時に比較的優先的に対応されること場合が多いです。
●フルメンテナンス
こちらもメーカーもしくは管理会社と契約を締結する必要があります。
通常のメンテナンスに加え、不具合が生じた点検費・技術料・部品代・材料費が全て無償となるメンテナンス契約です。
こちらは一般的には定額の年間メンテナンス料金を支払うのみで、その後の費用の管理等の手間が不要となることがメリットです。
セミフルメンテナンス同様に比較的優先的に対応が行われることが一般的で、
空調の早期復旧が求められる現場で適した内容になります。
1点気を付けたい点としては、
フルメンテナンス、セミフルメンテナンスは期限が設けられる場合が大半です。
設置からの経過年数次第では、メンテナンス契約が出来ない場合がありますので、
細かな条件や契約可能かの確認は予めメーカーもしくは管理会社へご相談ください。
関連記事:設備全般のメンテナンスの目的・種類・メリットとは
空調メンテナンスの点検義務と頻度
空調設備のメンテナンス義務と頻度について説明していきます。
空調設備に関わる主な義務としては下記の2つになります。
①フロン排出抑制法
こちらはフロン類使用機器の管理者を対象としたオゾン層を守る法律です。
そもそもフロントは人工的に開発された人体に無害な物質です。
主にものを冷やしたり、暖めたりする際の冷媒として使用されています。
人体に無害なものの、地球のオゾン層を破壊する原因となることが明らかになり、モントリオール議定書等により世界的にフロンを減らす動きになってきております。
関連記事:モントリオール議定書・SDGsについてはこちら
オゾン層は太陽光の有害な紫外線から地球を守る役割があり、オゾン層破壊により地球に多くの有害な紫外線が到達してしまうと
細胞内のDNAと傷つける等様々な生物への影響が考えられています。
「フロン類の使用の合理化及び管理の適正化に関する法律(フロン排出抑制法)」は、フロン類の回収・破壊に加え、フロン類の製造から廃棄までのライフサイクル全体にわたる包括的な対策を行う為の法律になります。具体的には、大気中に放出されるフロンガスの殆どが、経年劣化などによる設備不良等の漏えいによって引き起こされており、これを規制するためにできたものです。
フロン類使用機器とはエアコンや冷蔵庫、製氷機、冷蔵ケース、冷水器、チラー、冷凍機等の機器を指し、
冷媒用途としてフロンが使用されています。
通常であれば機内の配管等にフロンが密閉されていますが、
もし何かしらの原因で漏れてしまい大気に流出した場合には、オゾン層の破壊や地球温暖化の原因になります。
フロンの大気への流出を防ぐために所有者・管理者に対象機器の点検やフロン漏えい量を報告する義務が課せられています。
原則として、当該製品の所有権を有する者(所有者)が管理者となり、フロンに関して適した処置を行わないと罰金が科せられるようになりました。
管理者の定義は以下の通りになります。
●対象機器を所有する者も管理する者も同じ
➡所有者が管理者となる
●対象機器がリースやレンタル
➡所有者ではなく、日常的に使用もしくは管理している者が管理者となる
●賃貸等により対象機器がの所有も管理もしていない
➡テナント等の借主ではなくビルのオーナー等の所有者が管理者となる
点検方法としては日常的な点検として簡易点検と定期点検の2種あり、記録を保管することも求められています。
・簡易点検
3ヶ月に1度以上の頻度で実施する点検となり、点検者に制限はありません。
主に目視点検となり、室内機・室外機の異常振動や異常音、油にじみの有無や傷・腐食具合を確認していきます。
またフロンが漏れている場合には、室内機内に霜が付くこともあるので、抜け漏れないように確認します。
・定期点検
こちらは空調機の仕様に応じた適切な点検頻度があります。
圧縮機に用いられる電動機の定格出力によって点検頻度は判断され、また点検は有資格者が行う必要があります。
空調設備の場合は、圧縮機の電動機定格出力が7.5kw以上50kw未満の場合は3年に1度以上、
圧縮機の電動機定格出力が50kw以上の場合は1年に1度以上の点検が必要となります。
また冷凍・冷蔵機器の場合には、7.5kw以上の場合で1年に1度以上の点検が必要となります。
空調設備・冷凍・冷蔵機器において、7.5kw以下であれば定期点検は不要です。
フロン排出抑制法に対応する場合は、上記の2種の点検を満たす必要があります。
また故障等により使用できない状態においての機器も、フロンが充填されているた為、
点検は必要となるので、注意が必要です。
②建築物衛生法
建築物衛生法とは、特定建築物(興行場、百貨店、店舗、事務所、学校等の用に供される建築物)の所有者・占有者等に対して、
「建築物環境衛生管理基準」に従って維持管理をすることを義務づけた法律になります。
維持管理の監督には「建築物環境衛生管理技術者」という国家資格が必要となります。
この「建築物環境衛生管理基準」は、「空気環境の調整、給水及び排水の管理、清掃、ねずみ、昆虫等の防除その他環境衛生上良好な状態を維持するのに必要な措置について定める」と規定されており、高い水準の快適な環境の実現を目的とした基準です。
建築物環境衛生管理基準について:厚生労働省HP
空調換気設備に関する衛生必要な措置としては加湿器や冷却水・排水ドレンなどの清掃点検が定められています。
こちらも該当する施設では抜け漏れなく確認することが必要です。
関連記事:興行場の空調に関わる法律をチェック
関連記事:シネマにおけるガスヒートポンプエアコンのメンテナンスポイント
空調メンテナンスのメリットと点検方法
空調メンテナンスのメリットとは
空調メンテナンスを行うメリット・重要性2つを説明します。
①機器の寿命延長
機器は使用し続けると経年劣化や部品の不具合により、故障してしまう場合があります。
故障した後に部品交換を行うことで、更新時期の目安の10~15年使用することができます。
※一般的な目安となりますので、実際には運転状況によって異なります。
しかし、経年劣化により部品を交換しても効き具合が悪い現象が起き、改善が難しい状態になることもあります。
また、メーカー毎に修理部品の保有保証期間を設けております。
こちらはメーカーとして、修理部品を提供を保証する期間となり、一般的に製造終了から○○年保有という基準となっています。
期限が過ぎてしまうと部品が手に入らず、修理ができないという状態も考えられます。
空調機のメンテナンスを行うことで、不具合の早期発見・早期修繕によって空調機を健康な状態に維持しようとすることで、
不要な劣化や故障を予防することができます。
また定期的に空調機を確認することで、運用実績とメーカーの部品供給状況を加味した上で、
計画的な保全作業を行い、早めに部品を交換することで機器寿命の延長に繋がります。
②空調機器の不具合の急なリスク
メンテナンスによる不具合の早期発見・早期修繕により、空調機不具合の急なリスクを防ぐことができます。
空調機の使用用途によっては、空調機が完全に停止した際に、営業を止める必要がある場合や、
室内の物を傷ませる原因になる場合等、リスクが生じることもあります。
そのような重要度の高い空調機も含めた停止リスクを防ぐことにもつながります。
一般的には空調機で故障が生じた場合、リモコンにエラーが表示されます。
しかし、エラー表示が出ていないにも関わらず空調の機器が悪い原因、エラーが発報される予兆が点検時に見つかる場合があります。
例えば、エラーは出ていないが、何故か空調の効きが悪いという現象に対して、
点検を行ったことで、早期に不具合を発見できたケースも多々ございます。
故障発報する前に、機器の運転が適切ではない状態に気づくことができるのもメリットです。
※点検項目により発見できる不具合の範囲が異なりますので、詳細は専門業者にお問い合せください。
衛生的な適切な空気環境作りには空調機は欠かせないものです。
急に空調機が使用できなくなった際に、室内の物への傷み・結露・体調不良・臭気等のデメリットや影響を考えることで、
メンテナンスを行うメリットが確認することができます。
空調メンテナンスの点検方法とは
空調機のメンテナンスの点検方法は大きく分けると3つに分類されます。
①異音・振動点検
空調機の部品が摩耗や劣化することで、運転時に異音や振動を生じる場合があります。
異音や振動が激しい状態は、その時点では空調機が停止してしまうことはありませんが、
経年劣化のサインもしくは将来的にエラーが発報すると考えられます。
②目視点検
こちらは空調機内部・外部共に目視で異常がないか点検する方法です。
主にガス漏れが生じている際に見受けられる油の跡や、錆・汚れ・傷みがないかの確認をします。
機内の汚れがひどい場合、ドレン水が正常に排水されず水漏れが生じてしまうこともある為、
定期的に目視で空調機を確認することは重要な点検です。
③データ測定
空調機に関わるデータ測定を行う点検方法です。
空調機の効きの確認の吸込み・吹き出し温度の測定や、冷媒温度や圧力測定を行います。
測定状況によってはガス漏れに気づく場合も考えられます。
またセンサー類のデータを確認することで、センサー類の異常を見つけることもできます。
こちらの点検方法は基礎的な点検方法です。
メンテナンスの点検方法によって、様々な部品の点検確認を行うことができます。
空調メンテナンスの項目と注意点
空調メンテナンスの点検項目
空調機のメンテナンスの点検項目は一般的に下記の内容が考えられます。
①機器本体の設置状態
機器本体が適した環境・状態で設置されているか、きちんと固定されているかを確認します。
特に室外機は風通しが悪い場所や熱がこもる場所に設置してしまうと、空調の効きの悪さに影響が出てしまいます。
また外観の腐食や錆がないかの確認を行います。外観部分の板は機能を持つ部品ではありませんが、
機内の部品を雨風から守り、機内で各部品を固定する為の重要な役割を担っています。
空調機には雨に弱い電装部品や配線が沢山あり、無視できない点検項目です。
また機器は運転の振動且つ地震により機器が動いてしまわないように建物に固定をされています。
その固定されている基礎・吊り金具・防振架台がそれぞれ確実に固定されているかの確認も重要です。
設置場所から大きく動いててしまった場合、人が怪我してしまう可能性や配管が折れてしまう可能性等、様々なリスクが考えられます。
②ファン廻りの部品
ベアリング、ファン、シャフト、プーリーなどの部品はファン周辺部品であり、
風を送るファンが稼働する際の大切な部品になります。
ファンは運転時は常に電動機によって回転しています。その電動機の力をファン本体に効率よく伝える役割を持つ部品の為、
経年劣化や摩耗しやすく、最悪の場合激しい異音や振動を発する可能性があります。
また経年劣化や摩耗した状態での使用は、風が上手く送ることができず効率の悪い運転状態となり、
電気代が無駄にかかってしまう可能性も考えられます。
③ファン廻りの消耗品
ファンの消耗品としてベルトがあります。
こちらは電動機の力をファン本体に伝える機能であることは他の部品と同じですが、
ゴムでできた部品の為、使用していくうちにベルトが伸びる、ヒビが入り、上手く電動機の力をファン本体に伝えることができなくなります。
こちらは消耗品として定期的な交換が推奨されています。
またベルトが激しく緩む、切れてしまうことでファンの機能が全く発揮されない場合が考えられ、
更にはベルトの不具合はエラーとして発報されないことも含め、定期交換・点検は大変重要です。
※ファンのタイプによってベルトが無いタイプもありますので、確認が必要です。
④ファンモーター
ファンの電動機(モーター)はファンの動力源になります。
電動機の経年劣化によりモーター不良や絶縁不良が生じ、ファンが停止してしまうことがあります。
日常的なモーターの運転音の確認や絶縁測定を行うことが重要になります。
また機器によってはファンモーターをコントロールしている部品も同時に故障している可能性がありますので、
専門業者による点検確認も重要になります。
⑤フィルター関連
空調機には空気中に含まれる汚れや埃、砂を除去するために、フィルターが搭載されています。
フィルターは汚れが溜まっていってしまう為、定期的な交換もしくは清掃が必要となります。
メーカー毎にフィルターの清掃頻度や運転時間の記載がありますが、
運転状況や設置環境によって適切な回数は異なりますので、実際にメンテナンスで目視確認をすることが重要です。
フィルターの汚れを放置してしまうと、風が正常な量送ることができず、空調が効きづらくなる、運転時間の増加により
電気代が上がってしまう可能性が考えられます。
また空気を正常な量を送ることができず、ファン廻りの不具合を招く可能性もゼロではありません。
⑥熱交換器(フィンコイル)
熱交換器は実際に機内で空気を温める・冷やす熱交換を行う部品です。
こちらは薄い板を細かく重ねたフィンと言われる部分に風を通す為、汚れてしまう場合があります。
特に設置環境によっては、油や埃まみれになってしまい、熱交換が上手くできず空調の機器が悪い、
運転時間が長くなってしまう、更には熱交換器の劣化の原因となってしまう場合もあります。
全熱交換器の状態も省エネの観点から目視確認することが重要であり、状態によっては適切な頻度で洗浄することを推奨いたします。
⑦加湿器
加湿器も全熱交換器同様に、汚れが付着しやすい場所です。
汚れた状態にしておくと、カビの発生原因や臭気の原因となる場合があります。
また汚れにより加湿器が詰まってしまい、風が正常な量送ることができず、運転時間が長くなる、
ファン故障の原因となる可能性があります。
また冬場使用を基本としている為、夏場を含めた半年は使用しない期間がある為、
汚れが放置されやすい傾向があり、気づけは異臭が流れ出てくるということも考えられます。
⑧ドレンパン
加湿用として吹出した水や結露水の排水用の受け皿として、ドレンパンという部品があります。
空調機内や熱交換器や加湿器に付着した汚れが水と共にドレンパンに落ちることで、
ドレンパンが汚れてしまうことがあります。
汚れが気づかない間にひどくなってしまうと、排水に繋がる部分が汚れで詰まってしまい上手く排水されない状況になります。
上手く排水されないと、ドレンパンから水があふれ出し、空調機から水が垂れてくる現象が起きます。
多層階の建物の場合、下の階に迷惑をかけてしまう・空調機したの食品がダメになってしまう可能性も有る為、
定期的にドレンパンの汚れ具合や排水がきちんとできているかを確認する必要があります。
⑨計測器(温度計・圧力計)
温度計・圧力計が正常な数値であるかの確認を行います。
計測器類は経年劣化と共に、計測値と実際の数値にズレが生じてくる場合があります。
もしくは、故障してしまい正常な数値を全く測定できなくなり、
計測値に基づいて制御している部分に影響を及ぼす可能性があります。
こちらも空調に影響が出る可能性があるので、定期的な点検や校正を行います。
⑩電動弁・サーモスタット
電動弁・サーモスタットとは、共に温度調整に関わる部品になります。
こちらが上手く動作していないと設定温度に到達しない状態になります。
⑪空調機内保温材
空調機のタイプによっては空調機内に保温材が貼り付けられているものがあります。
保温材は経年劣化により剥がれたり、カビが生えてしまう場合があります。
カビ菌のばらまきや臭気の原因となります。目視で定期的に確認を行い、
状態によっては清掃もしくは交換を検討する必要があります。
⑫空調機廻り設備(キャンバス・ダンパー・金網)
こちらも空調機のタイプによって、空調機周辺に重要な関連設備がございます。
キャンバス・ダンパー・金網は空気の通り道に設置された設備でして、
空調機本体の部品ではないものの室内空調には重要な役割を担っています。
・キャンバス・・・空気の通り道のダクトと言われる部分と空調機本体を繋ぐ設備
空調機の運転振動をダクトに伝えないように、柔らかな素材でできてお
り、屋外設置のものは紫外線や潮風の経年劣化により穴が開いてしまう
こともあります。
・ダンパー・・・空気の量を調整する為、ダクトに差し込まれる設備です。
ダンパーには風量を調整する為シャッターのようなものが付いており、
シャッターの開閉度合を示す開度目盛りの表示があります。
ダンパーには人を介さずに自動的に量を調整するタイプと、
人が任意で調整して固定されるタイプに分かれます。
特に自動調整のダンパーは室内の状況に応じて調整するよう計画されてお
り、ダンパーが固着してしまい動かなくなってしまうと室温に影響を及ぼ
す可能性があります。
またダンパーの固着が自動で動かすためのモーター部分の故障を招く可能
性もあります。
・金網・・・空気を外に排気する、又は外から取り入れる際に、防虫網・防鳥網と言われる
網を設置します。
大きなゴミや鳥・虫の侵入を防ぐ目的で取り付けられ、屋外の空気環境や排気
する空気状況によって、網が汚れてしまう場合があります。
最悪の場合、網が詰まってしまい正常に空気が排気されない、
取り込めない状況になってしまう可能性があります。
空調機の方式や現場によっては、ない設備や他に確認すべき設備があるかもしれません。
また予算に合わせて点検項目を調整することも重要です。
詳細は専門会社にお問合せください。
関連記事:企業が行う省エネ対策の効果とメリットとは
関連記事:飲食店における空調機のエラーとメンテナンスの重要性
空調メンテナンス外注を行う際の注意点
空調機のメンテナンス外注を行う際の注意点をご紹介いたします。
①保全延命の提案ができる
空調機の更新をすぐに進めてくるメンテナンス会社もあります。
しかし、メンテナンスで重要なのは、機器寿命の延長であり計画的な延命提案(オーバーホール等)を
行えるような提案ができることが重要です。対応の柔軟性を確認は必要です。
②設備の総合判断ができる
空調機だけではなく、換気・衛生設備等の近しいインフラ設備を総合的に確認できることも重要です。
大きな建物になればなるほど、様々な機種・メーカーの設備となる可能性が高く、
確認できる設備の種類やメーカーに縛りがあると、原因を突き止めることに時間を要したり、
最終的なコストが高くなったりする可能性があります。
総合的な幅広い知識を持つかの確認も重要です。
関連記事:空調メンテナンスの費用と会社選び|外注時の注意点
まとめ
空調機のメンテナンスには様々な点検方法や点検項目があることはご理解いただけたでしょうか。
建物には空調機以外にも多くの設備があり、適切な室内環境を作り出すには欠かすことのできない大切な設備です。
空調も含む設備を点検義務等の決まりや重要性によって優先順位を決めてメンテナンスを行うこと、
意図に沿えるメンテナンスの協力会社に相談して維持管理することが重要になります。
空調換気設備のメンテナンスでお悩みの方は、是非下のお問合せからご連絡ください。
【工場・食品・商業施設用 限定資料】風切り音と扉が閉まらない原因を図解!
風切り音や扉が閉まらない原因のエアバランスと調整の仕方の例について説明しています。 調整時の注意点も是非ご確認ください。
普段は換気・全熱交換器に関わる工事、他には劇場関係の空調換気設備の修繕・保守を担当しております。
他にない換気・空調に関する情報をわかりやすく発信していきます。
●菱熱工業株式会社 社員
●開発商品(全熱交換器)の新聞社掲載情報(日本経済新聞社、月間HACCP、日刊工業新聞社)
●主な仕事内容:空調更新工事・保守メンテナンス・換気改善提案
●設備工事の妥当性を見極めるには、ある程度の設備知識が必要です。そんな知識を提供してより良い設備の保守・工事のご参考にしていただけますと幸いです。