フロン排出抑制法とSDGsやパリ協定との関係|フロン点検とは

事業者へ点検義務が課せられるフロン排出抑制法は環境問題、気温上昇、SDGs、パリ協定等と大きく関わってきます。
こちらは日本だけでなく、世界的な環境問題への動きとリンクしている法律です。
SDGsやパリ協定等のフロン抑制法に関わる世界の動き、日本のフロン排出抑制法とは、そしてフロン点検に関してご説明しております。
フロン点検に関して意義など幅広く知りたいという方は是非ご確認ください。

   

フロン排出抑制法に関わる世界の動き(ウィーン条約とパリ協定)

ウィーン条約とモントリオール議定書

●ウィーン条約とは
そもそもオゾン層とは地球を覆うように存在している空気層でして、地球上に到達する有害な紫外線の大部分を吸収し、紫外線から地球を守る役割をしております。しかし、1970年代ごろからオゾン層の破壊が指摘されており、オゾン層の破壊に伴う有害な紫外線の増加により皮膚がん等の人体への影響や自然生態系への影響を示す研究結果が出てきました。
そこで国際的な議論が行われるようになります。初めて国際的議論が行われたのが、オゾン層の保護を目的とする基本的枠組を設定するウィーン条約になります。
「オゾン層の保護のための ウィーン条約」、これがウィーン条約の正式名称です。1985年3月に採択、1988年9月に発効。オゾン層の保護を目的とした国際的対策の枠組み条約で、日本は1998年に加入しました。


●オゾン層を破壊する物質に関する モントリオール議定書
ウィーン条約に基づき、同じくオゾン層の保護を目的として、門徒りおーす議定書は1987年に採択、1989年に発効された規制措置になります。
日本は1998年に加入しました。ウィーン条約が大まかな枠組みで、モントリオール議定書はより具体的に規制対象物質や削減スケジュールを策定したものになります。特定フロン、ハロン、四塩化炭素などの全廃期限が策定されました。

※モントリオール議定書は7回もの調整・改正を繰り返している!?
モントリオール議定書は規制の追加とスケジュールの前倒しを繰り返しています。
1987年に採択されたモントリオール議定書はその後、1990年ロンドン→1992年コペンハーゲン→1995年ウィーン調整→1997年モントリオール改正→1999年北京改正→2007年モントリオール調整→2016年キガリ改正と今日に至るまでに7度の調整・改正を繰り返してきました。下の年表は産業革命からの簡単な年表です※当社調べ

●キガリ改正(2016年)
先進国(日本を含む)は、2019年から2036年までにHFCの生産量を85%、段階的に削減することが義務付けられました。【基準値は2011~2013年の平均数量】



2015年のSDGs採択とパリ協定の採択

●MDGsとSDGsの採択
2000年にはMDGs、通称ミレニアム開発目標【Millennium Development Goals】が採択され、8つの目標、21のターゲット、60の指標が定められました。これはいわばSDGsの前身となります。2015年にはごぞんじ、SDGs【Sustainable Development Goals】が採択され、8つの目標が17の目標に増えました。2030年までに持続可能な世界を目指す世界目標の誕生です。
SDGsは、「人々が平和で繁栄し、地球が持続可能な状態になるように」という目標を追求し、全世界で取り組むべき課題を17の目標と169のターゲットに分けて明示しています。これらの目標やターゲットには、気候変動問題、貧困や格差の解消、労働の質の向上など、多岐にわたる課題が含まれています。目標達成のためには、政府レベルだけでなく、企業やNGO、市民一人ひとりの意識改革や行動が求められています。
フロン抑制法では「13.気候変動に具体的な対策を」の目標がフロン排出抑制法と大きく関わってきます。

●パリ協定の採択
SDGs採択の前年、2014年にはRE100が発足しました。これは企業の自然エネルギー100%を推進する国際ビジネスイニシアティブで、2050年までに再生可能エネルギー100%を目指す企業が増えてきました。2015年に採択されたパリ協定では、世界共通目標として気温上昇を2℃未満に抑制するという具体的な指針が決まりました。よって日本も温室効果ガスの削減に取り組む必要があり、温室効果ガスである二酸化炭素、メタン、フロン類はより厳しく輩出抑制を行う必要が出てきました。

フロン排出抑制法と日本の動き

フロン排出抑制法とは

前述した通り、温室効果ガスの削減に取り組むことが世界的に進められています。
その中で日本国内では、温室効果ガス削減の具体的な対策としてフロン排出抑制法という法律があります。
フロン排出抑制法とは、オゾン層を保護するために制定された法令の一つです。フロンは実は冷媒として広く使われており、クーラーや冷蔵庫などの冷却装置に不可欠な存在です。

しかし、仮にこのフロンが大気中に放出されると、太陽の紫外線によって分解されて塩素を生成します。この塩素がオゾン層と反応してオゾンを破壊することから、フロンはオゾン層破壊の一因とされています。また、フロンは長寿命であるため、一度大気中に放出されると長期間にわたって塩素を供給し続けるため、オゾン層の回復には長い時間が必要とされています。

このフロン排出抑制法の法令は、フロンの製造、使用、回収、処分の全過程にわたって、その排出を抑制する取り組みを推進しています。各事業者は、この法令に基づいた対策を進めることが求められています。

環境負荷低減をめざすフロン排出抑制法

フロン排出抑制法は、地球温暖化やオゾン層の破壊を防ぐために制定されたものであり、フロンがエアコンや冷蔵庫などの冷媒として大量に使用されている現状を踏まえ、その排出を抑制する取り組みが管理者に求められています。

●フロン排出抑制法の対象機器
冷媒としてフロンが封入されている業務用エアコン・空調機及び冷凍・冷蔵庫が全て該当します。
法律上では第一種特定製品と表記されております。
尚、家庭用エアコン・冷蔵庫、車のエアコン等は該当しません。別途、家電リサイクル法によってフロンの扱いが取り決められています。
また業務用と家庭用の識別は、使用場所(業務・家庭)に関わらず、製造側が業務用エアコンとして製造販売している場合は、
全て業務用エアコンに該当します。業務用エアコンを家庭で使用している場合にも、フロン排出抑制法に該当します。

●フロン排出抑制法の管理者とは
フロン排出抑制法の管理者は原則として対象機器を所有する所有者が該当します。
ただし、契約リース等などの所有者以外が対象機器の保守や修繕の責務を負う契約がなされている場合は、保守修繕の責務を負う者・法人が管理者とされます。
テナントとして対象機器を使用している場合にも、対象機器自体がテナントが所有権を持つ時にはテナントが管理者となります。
また以下の通り、管理記録を残しておくことも求められます。
「適切な機器管理を行うため、第一種特定製品ごとに点検・修理、冷媒の充塡・回収等の履歴を記録し、その第一種特定
製品の廃棄等を行い、冷媒の引渡しを完了した日から 3 年を経過するまで保存することが必要です。」(法第16条)

●フロン排出抑制法の罰則
フロン類をみだりに放出した場合、「 1 年以下の懲役又は50万円以下の罰金」が科せられます。

フロンが使用されているエアコンや冷蔵庫は通常、冷蔵庫外やエアコンの機外に放出されないように密封されています。
しかし、設備機器を使用していくうちに経年劣化等で設備機器からフロンが漏れ出してしまう場合があります。
また漏れた状態で設備機器を使用していくと、大気にフロンを放出してしまうだけでなく、機器が壊れるきっかけになり、
冷暖房等の温度管理ができなくなってしまいます。
またフロンが漏れてしまっている状態でエアコンや冷蔵庫の効きが悪いという理由で追加で封入してしまうと、更に多くのフロンが大気に放出してしまいます。
このような管理不足・不備によるフロン排出が起こらないようフロン排出抑制法は管理を行う内容となっております。

フロン法定点検とは

フロン定期点検とフロン簡易点検とは

フロン排出抑制法では、フロンの管理を行う為に定期的な点検が求められています。
点検方法は2つあり、定期点検と簡易点検に分けられます。
対象機器のうち、機器の仕様によって定期点検が必要な機器なのか、不要なのかの判断をしていきます。
尚、定期点検を実施することで簡易点検の内容を兼ねることが可能です。

【簡易点検】
こちらは第一種特定製品のうち、全ての機器が点検対象となります。
3か月に1度以上、錆や腐食がないかの目視点検・異常音がないかの簡易的な点検が義務付けられています。
点検者に決まりはなく、管理者自身が行うことも可能です。

【定期点検】
こちらは第一種特定製品のうち、圧縮機の定格出力が一定以上の機器のみ実施する点検になります。
冷凍・冷蔵庫に関しては、圧縮機定格出力が7.5kw以上の場合は、1年に1度の点検、
7.5kw未満の機器は定期点検の対象とはなっておりません。
空調機に関しては、圧縮機定格出力が7.5以上~50kw未満の場合は、3年に一度の点検、
50kw以上の場合は1年に1度の点検が義務付けられています。
尚、こちらの定期点検は簡易点検同様の異音・目視検査に加え、フロン漏洩を確認する為の直接法・間接法と言われる技術を必要する点検を実施致します。
こちらの点検は十分な知見を要する者が実施する必要があり、多くは外注する場合が多いです。

定期点検のうち、1年に1度の点検なのか、又は3年に1度の点検でよいのかは、機器本体の銘板やシールに記載されている圧縮機定格出力を確認することで、判断が可能です。しかし、冷媒回路が異なることがあり、記載の出力で本当に正しいのかは専門家への相談が必要となります。
点検外注先に確認をお願いしてみるとよいかもしれません。

尚、使用できない・使用していない機器であっても冷媒ガスが封入されている場合は、簡易点検が必要となります。
また使用しない・できない期間においては、定期点検は不要となりますが、再度使用し始める時に定期点検が必要となります。

さいごに

オゾン層保護とかフロンの規制、自分には関係ないと思う方も多いかも知れません。ですがこのフロン、どこにでもある「エアコン」の中に入っています。エアコンの効きが悪くて業者を呼んだら「冷媒が漏れてました」と言われたことはありませんか。この冷媒と呼ばれるものが二酸化炭素よりもはるかに地球温暖化に悪影響を及ぼします。企業や工場で使われるエアコンは「第一種特定製品」と呼ばれ、フロン排出抑制法の対象となります。点検義務が存在します。これはビールサーバーや自動販売機も例外ではありません。まずは自分の勤め先など気にかけてみてください。