映画館等の興行場における空調・換気設備のリスク回避とは

映画館は換気がしっかりとされているというのは、全国興行生活衛生同業組合連合会(全興連)によってスモークを焚いた換気の実証実験により、映画館がきちんと換気が徹底されている施設ということが世間に知れ渡たりました。
リンク:「映画館における換気実証実験」を実施した際の映像(全興連)
映画館に限らず興業場(映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸等の施設)のような大きな空間の空調換気設備は、普段目にすることができないくらい大規模な設備が入っております。
しかし、大規模な設備だからこそ適切に設備を使用・維持する為にも、点検がとても大切になってきます。
映画館及び興行場で、営業に大きな影響を与える空調設備を適正に使用していき、空調トラブルのリスク回避のポイントをご説明致します。

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映画館の空調換気設備とは

空調換気システムの種類

映画館及び興行場には、多くの空調換気システムが存在します。
エアハンドリングユニット、EHP空調機、GHP空調機、ルーフトップ型空調機と代表的に大別するだけでも4パターンあります。
しかし、4パターンの空調機はどれも大型の空調換気設備でして劇場内から見えるところには設置されていません。
機器用の部屋や屋外に設置されており、そこから空調された空気をダクトと言われる風の通り道を通して、室内に供給しています。
映画館等の施設では換気設備が見えないから換気対策がされていないのではと思われる方もいらっしゃるかもしれませんが、十分な量の空気が静かに入れ替えられています。

空調換気制御設備について

空調換気制御設備(以下制御設備)とは、先程の空調換気システム(空調換気設備自体)とは別の空調換気設備の状態を一括に監視する、空調換気設備の省エネ性を高める等を目的とした設備です。
映画館によってことなるように、制御設備の方式も映画館によって多くの種類があります。極一部の例として、CO2濃度をコントロール、湿度をコントロール等の制御設備によって省エネ性を高めています。
空調機のシステム、オープンした年代や制御メーカー、省エネについての考え方によっても制御の方式が異なってきます。同じ会社が運営する映画館でも、どれか一つが違うだけでも制御方式が異なるため、設備に精通している人間でないとどのように空調換気が行われているのかが理解し辛いという現状があります。

興行場法と設備の課題

映画館の3密対策と興行場法

興行場法とは
興行場は「映画、演劇、音楽、スポーツ、演芸又は観せ物を、公衆に見せ、又は聞かせる施設」と定義されています。該当する施設は各都道府県が定める興行場法の換気・照明・清潔等の衛生基準等に基づいて運営をしなければなりません。
興行場法は各都道府県・市町村ごとに定められていますので、「興行場法 該当地域」で調べ、許可をもらう流れや必要書類の情報を知る必要があります。
ここでは東京都を例にご紹介します。まず、「興行場法 東京都」で調べると「興行場 東京都福祉保健局」と出てきます。
こちらをクリックすると、「営業許可申請・施設の検査」の項目に「興行場のてびき.pdf」
があり、こちらに必要書類や具体的な条件が記載されています。
ただし、手引きをよくみるとわかるように、この手引きで記載されているルールは23区外にのみ適用されます。23区はそれぞれの区でルールがあるため、区で絞って探す必要があります。
このように、各都道府県が換気などの基準を満たしていることを確認して営業の許可が下り、基準に反した際には営業許可が取り消される為、営業するために基準を満たした換気設備が導入されています。一般的に高い換気基準となっており、基準を満たす為に空調換気設備が大規模になってしまうという一面もあります。

3密対策の換気とは
『「換気の悪い密閉空間」を 改善するための換気の方法』(令和2年3月9日及び3月19日厚生労働省公表)では必要換気量(一人あたり毎時30m3)を満たすことにより「換気が悪い空間」には当てはまらないと考えられております。
興行場は空調換気設備を設計する段階から、興行場法により大きい能力を持つ換気設備が導入されている為、3密対策の換気量を満たしている可能性が高く、もしくは近しい量の換気ができていると考えられます。

興行場の設備の課題とは

①空調換気設備の課題
前述した通り、映画館の設備は大規模で大きな機器です。よって興行場では1台あたりの機器の値段も比較的高額となり、空調換気設備が壊れた時に対応できる予備が備わっていることは稀です。
敢えて設備を2~3台に分けることで、リスクを分散する仕組みになっているところはありますが、それでも機器に不具合が生じた場合には室温が上昇しやすくなります。
また、機器を直そうと計画しても部品が大きく、工事も大掛かりになってしまい、復旧まで時間がかかるということも珍しくありません。
機器に不良が生じる前に対策をするということが重要になります。

②制御設備の課題
空調換気設備とは異なる制御設備もあることで、興行場の設備は複雑化しております。
空調の効きが悪い、扉から音がする、Co2濃度が上昇しがちである等の空調や換気に関係する不具合には、制御設備が原因となる場合があります。
原因が空調換気設備なのか制御設備なのかの見極めは専門知識がなければ困難です。
空調換気設備と制御設備の両方の知識があれば、すぐに原因が判明するかもしれません。

興行場の安定した運営には保守点検が必要

保守点検の重要性

興行場の空調換気設備は、興行場によって導入されているシステムや制御がことなるため、設備に知識のある人間でないと、適切に空調換気が行われているかが確認できません。かと言って、設備専門の従業員を映画館毎に雇う訳にもいきません。
また、不具合が発生してしまうと複雑な為に原因特定に時間がかかる、予備設備が備えられていない可能性が高い、修理完了までに時間がかかる等の営業に支障が出るリスクが多く潜んでおります。
 そこで、重要になってくるのが、興行場の設備を統括的に診断することができる事業者による保守点検です。空調換気設備の不具合一つで多くのリスクが考えられる為、壊れる前に対策をする=定期的な点検で空調機が使用できない状態を事前に防止してしまう方法が有効です。また保守点検を実施することで、今の空調換気設備の状態を把握することができ、計画的にメンテナンスを実施していくこができます。
 
 「空調換気設備でエラーが出たからメーカーサービスを呼んで点検修理をした。」
 「施設のビル管理の人間が巡回で異音発生していたのを発見してもらった。」

上記は点検ではありません。不具合や異常が発生していたものを機械的か人的かの違いでたまたま発見できただけとなります。

保守点検をしていない興行場は、今動いている空調換気設備機器の劣化・摩耗具合もわからない。どのタイミングで何にお金を掛けてメンテナンスした方が良いかも分からない。いつ大きな空調トラブルに見舞われるかも見当がつかないまま、ある日突然、空調換気が機能しなくなる。という状態に陥ってしまいます。
営業告知を出していたのにも関わらず、急な空調トラブルで1劇場分を休館せざる負えないという可能性もあります。
保守点検を実施することで、設備投資の計画を立てやすくなり、営業リスクの軽減につながります。

何を点検するのか

 保守点検の重要性は説明させて頂きましたが、映画館で空調換気が適正にされているかについて、何を点検すればよいのかを少し説明させて頂きます。

・空調機
パッケージタイプ、ルーフトップタイプ、エアハンドリングユニットタイプ等、映画館によって異なりますが、エラーに繋がる不具合が起きていないかを確認します。

・送風機
異音や異常な振動が発生していないか。駆動部はしっかりと駆動しているか。

・制御装置
センサーは正常値になっているか。換気量をコントロールするダンパーは問題なく動くか

上記の3つを点検し、総合的に換気ができているかを判断する必要があります。

まとめ

映画館の空調換気が無事にできているかどうかは、
日々の運用管理だけでは、確認ができません。

映画館の特性上、平日は来場者が少なく、週末や連休になると多くの来場者が訪れます。
来場者が沢山来て、機械が100%運転ができているかどうかの確認が、
平日の運用ではわからないからです。

運用されている映画館の空調換気が適正かどうか、
確認する方法がわからない場合は、↓のお問合せフォームからご連絡ください。

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作者名
アミューズメント
設備の仕組み解説の館