設備のメンテナンスとは|目的・メリット・種類・保全との違い

多くの建物には設備機器が設置されています。設備機器は実はお手入れが必要です。
何もお手入れせず使用してしまうと、気づかないうちに性能がきちんと発揮できていない状態になっているかもしれません。
実際に建物全体や営業に大きな影響を及ぼし、慌てて対応したというお話をお聞きすることがあります。
そのようにならない為に、設備のメンテナンスが重要になってきます。
この記事では、設備のメンテナンスとは何か、保全・保守との違い、設備メンテナンスのメリット・デメリット、種類・目的に関して解説しております。

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設備メンテナンス・保全とは

設備メンテナンスの目的と保全・保守との違い

●設備のメンテナンスとは
設備メンテナンスとは設備を保守・保全をすることです。
設備機器は使用していくうちに経年劣化による部品の不具合や消耗品の劣化、故障等様々な不調が発生してきます。
設備メンテナンスはその老朽化のトラブルリスクを抑える為に行う点検・修理作業です。
「メンテナンス」「保守」「保全」は似たような言葉ですが、
設備を安全に性能に問題なく使用できるように維持していく目的であることは共通しています。
設備メンテナンス・保守を実施できる対象は、ほぼすべての建物が該当します。学校やオフィスビル、商業・公共施設、工場等の普段する目にする建物で必要になります。

●設備メンテナンスと保守・保全との違い
設備の「メンテナンス」「保守」「保全」は意味合いが若干異なってきます。
・設備 保守
 設備を正常な状態に保つことを目的とし、状態を確認する点検作業や設備が故障した際に修理対応などが含まれます。
・設備保全
 設備が壊れないようにすることを目的とし、壊れる前に前持った部品の交換対応等が含まれます。

設備メンテナンスは上記の「保守」「保全」をまとめた意味合いで使用されることが多いです。しかし、明確な定義などはなく、きちんと「保守」「保全」の意味合いに関わらず、メンテナンスを行う目的を明確にすることが重要です。

メンテナンスのメリットと設備の分類

●設備メンテナンスの目的
設備のメンテナンスの目的は2つあります。
①設備機器の故障リスクの最小化
設備機器が故障や不具合で停止してしまう場合があります。しかし、停止してしまうことで営業や生産などの建物使用の大きな目的に支障が出る場合は、事前に防ぐことが重要になります。点検作業や保全を行うことで、設備故障による営業や生産支障のリスクを最小化することが可能です。

②設備の耐用年数を伸ばす
老朽化した設備機器は性能の効率が落ちてしまう場合が大半です。また経年劣化で不良気味な状態で使用してしまうと設備内での部品不具合の連鎖が生じる可能性があります。定期的なメンテナンスで設備の不良にいち早く気づき、更には既存設備を利用したリプレースを行うことで設備の寿命を延ばすことも可能です。リプレースは一部の部品を新しくすることで、新しい部品での修繕が可能となり修理対応できる期間を延ばすことができるかもしれません。メーカーの部品供給期間に左右されづらくなります


●設備の種類
設備の種類は大きく2つに分けることができます。
①機械系
工場などに多く設置されている生産機械が該当します。具体的にはコンベアや加工機械、加熱・冷却機械等があります。
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②インフラ系設備
一般的に設備と言われる人の生活に欠かせない設備です。具体的には給排水、空調換気、電気、防災、厨房、搬送、通信、監視設備と多岐に渡ります。

機械系設備は不具合を生じてしまうと生産が止まってしまい利益に大きな影響を与える可能性が考えられます。急に機械設備が止まってしまうことがないようなメンテナンスが重要です。
インフラ系設備は建物一つでも多種多様な設備が導入されています。一つ一つの入念にメンテナンスすると莫大な人員・時間を要してしまいます。
建物の使用用途に応じて重要な設備を重点的にメンテナンスを行うことが重要です。
重要な設備をピックアップする際には、思いもよらぬ設備の故障が重要な設備にも影響を及ぼす場合や、建築物衛生法等の法律の項目の抜け漏れの可能性もありますので、専門家の知識を借りることも重要です。

設備保全・メンテナンスの種類

設備メンテナンスの種類

メンテナンスは3種類に分けることができます。
①定期的メンテナンス
 こちらは日常点検や年次点検などが該当します。フロン排出抑制法や消防法による防災設備の点検など法律で決められた義務的な点検から、管理者が任意で決めた各設備の定期的な点検作業も該当します。
②予防的メンテナンス
 こちらは先程の保全作業を指しており、安全に設備が稼働する為のメンテナンス作業になります。計画的な保全作業を行うことで、設備の故障を防ぐことを目指します。先ほどの定期的メンテナンスと同時に実施することもあります。
③緊急メンテナンス
 こちらは設備の故障や不具合の修理・復旧作業のことを指します。緊急性が高いことが多く、迅速な対応が求められます。故障した時に直すことで、無駄な費用がかからないメリットがあります。

上記の3つのメンテナンスは設備の使用状況や重要性に合わせて、使い分けることが重要です。定期的メンテナンスで対象外にすることで、劣化に気付けない場合もあります。
それでも問題ないようであれば、壊れたら直す緊急メンテナンスのみで対応するなど、各設備で維持したい最低ラインを決めることが重要です。
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設備メンテナンスの計画手順

また設備のメンテナンスの計画する際の手順を説明します。

①定期的・予防的・緊急メンテナンスの対象機器を決める
先程の目的が異なるメンテナンスの3種類「定期的」「予防的」「緊急」の内、メンテナンスしたい設備はどちらが適切かを決める必要があります。
設備の種類だけではなく、故障した時に受けるリスクや使用用途も加味して考えることが大切です。また他の設備が故障したことで、他の設備に影響が出る場合もあります。
周辺設備にも気を配ることを忘れないように気を付けてみてください。

②メンテナンスシートを作成する
メンテナンスしたい設備の種類(機械系かインフラ系か)、メンテナンスの種類によってメンテナンスの項目シートを作成します。どこを点検チェックするのかの項目や評価基準をきちんと設定することで誰が確認しても問題ないように明確にすることが重要です。

③メンテナンスマニュアルを作成する
メンテナンスの実施手順のマニュアルを作成します。項目だけではなく、実際にどの設備のどの部分を見るのか、誰が実施してもできるようにしてきます。
その際に安全対策や設置場所や作業時間のルール等細やかに記載すると親切です。


設備が多くなるほど計画に時間と人員を要します。
外部の力を借りながら進めていくことも検討してみてください。

インフラ設備のメンテナンス・保全

インフラ設備のメンテナンスと特徴

インフラ設備のメンテナンスを行う際のポイントを説明します。
1つの建物に対して、建築基準法に則った様々な設備が設置されています。
前述したように種類は多岐にわたります。
●給水排水系設備
給水設備、排水設備、温水設備、蒸気設備、衛生設備(お手洗い等)
●空調換気設備
熱源機器、エアコン、送風機、加湿器
●電気設備
受電設備、変電設備、電灯設備、動力設備
●防災設備
 火災報知器、消火設備、スプリンクラー
●厨房設備
 コンロ、レンジフード、冷蔵庫、冷凍庫、フライヤー
●搬送設備
 エスカレーター、エレベーター
●通信設備
館内放送設備
●監視設備
 中央監視設備、防犯カメラ

これら全ての設備を網羅的に確認することも可能ですが、予算に応じて各項目で設備の重要性で優先順位をつけることが重要です。
防災設備は安全性を確保する為には無視できない設備である、衛生設備はお手洗いがいくつかあり代替できるから重要性は低い等、一つ一つ検討することが重要です。
また建物全体に給水する部分に関わる部分は、故障してしまうと建物全体に影響を及ぼすから重点的に行う等、影響範囲の観点からも確認することが重要です。
メンテナンスの計画時に必要なポイントは下記の観点から優先順位を付けることです。
・緊急時の安全性に関わる部分か
・故障時の代替策はあるか
・故障時の影響規模・範囲はどのくらいか
・点検を法律で定められていないか
・故障時に売上・営業にどのくらいの影響を及ぼすか

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メンテナンス会社依頼のメリット・デメリット

メンテナンス会社に設備メンテナンスを依頼するメリットを確認します。

【設備メンテナンス外注のメリット】
①設備メンテナンスの人件費削減
設備メンテメンテナンスの実施や計画、取り纏めなどの業務を外注することで人件費を削減することができます。また調整業務の負担も権限され、半自動的にメンテナンスが進められていくメリットもあります。

②設備教育の手間が不要
メンテナンス人員が不要となることで、ノウハウを引き継ぐための社内教育の手間を省くことができます。また外注時の会社次第では、部品調達方法を多く持つ会社や最新情報を提供してもらえることもあり、大変な労力がかかる部分の負担軽減ができます。


【設備メンテナンス外注のデメリット】
①設備ノウハウが蓄積されにくい
外注化してしまうことで設備に関するノウハウが社内で蓄積されづらいデメリットもあります。また外注先自体にも技術力やノウハウのばらつきがあるので、見極めることが重要です。社内では報告書をきちんと受け取り保管や、経緯等の記録をきちんと残しておくことが重要です。

②外注費が発生する
こちらは人件費との比較検討が必要ですが、外注のコストが発生します。規模が大きく社内での人員と時間をかなり必要とする場合、人件費と外注費を比較して費用メリットを改めて確認することが重要です。

まとめ

設備を保有することは、それなりの費用や管理維持の義務の負担が伴います。しかし、設備は生活を便利に安全にする為に必要不可欠なものでして、安全に使用できることが当たり前になっています。
そのような責任がある中でも、すべきこと・過剰な部分を見極めて維持管理していくことが重要です。インフラ設備の管理維持、保守メンテナンスは是非専門会社に相談してみることをお勧め致します。

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