ご遺体安置冷蔵庫の種類と費用を解説|工事軽減冷蔵庫とは

コロナ禍により葬儀は増々縮小傾向にあります。
家族葬や直葬が増え葬儀場ホールも家族葬専用ホールが目立つようになってきました。
とはいえ、多死社会にある現在から今後、確実に死者の数は数年増え続けます。
住宅事情の変化により、ご遺体を自宅へ安置される方も少なくなり、葬儀社にてご遺体をお預かりする機会も増えています。
そういった中、ただご遺体を安置するだけでなく、ご遺族に安心してご遺体をお預けしていただける設備を整えることもご遺体を扱う方の重要な役割だと考えます。

こちらの記事では、ご遺体の安置の冷蔵に関する基礎知識を説明しております。
ご遺体安置とは、ご遺体安置の冷蔵方法とは、ご遺体用の冷蔵庫に関して説明しておりますので、是非お役立てください。

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ご遺体安置と冷蔵とは

ご遺体安置とは

ご遺体安置とは何かご説明致します。
ご遺体の安置とは、臨終から葬儀までの間、ご遺体を保管することを言います。

ご遺体の安置に関して現状特に法律はございませんが、
火葬に関しては、厚生労働省の「墓地、埋葬等に関する法律」があります。
リンク:厚生労働省「墓地、埋葬等に関する法律」
そこには「死後24時間以内に火葬してはいけない」という記載がございます。
仮死が見過ごされてしまう可能性を考えた決まり事ですが、
安置に関する記載はなく特に決まり事はありません。
しかし、死後24時間はご遺体を安置する必要が出てきます。

ご遺体はそのままにしておくと腐敗をしてしまう為、安置する際は、どのような環境でも良いわけではありません。
葬儀までの間、ご遺体を綺麗に保つことがご遺体安置の重要な観点です。
腐敗は細菌の繁殖と共に起こり、進行具合にはご遺体毎の個人差(体格や栄養状態、病気の有無)がございます。
ご遺族や関係者が安心してお別れを伝える場を提供する為には、どのような個人差があってもご遺体をお葬式の最後のお別れまで綺麗に保つご遺体の安置はとても大切な事柄です。

では、ご遺体の安置にはどのような方法があるのでしょうか。
大きく分けて方法は2つございます。

①ご遺体を冷蔵・冷やす方法
一般的には腹部の臓器から始まり、腐敗臭が発生します。
腐敗を起こす細菌類は血管を通って全身に広がりお顔にも影響を及ぼします。
細菌の繁殖は5℃で抑制され、0℃で停止すると一般的には言われており、
ご遺体を冷蔵・冷やすことで腐敗の進行を止める、もしくは遅くすることができます。
特にドライアイスや保冷材を腹部に当てることは効果的とされています。
冷蔵の仕方や周辺環境によって異なりますが、2日~1週間程度のご遺体の保管が可能になります。

②エンバーミング
 日本では火葬を行いますが、土葬が主流の国では馴染みのある遺体の保存技術になります。エンバーミングはご遺体の殺菌を行い、内蔵の残留物の除去や血液の排出を行い、防腐剤等の保存液をご遺体に注入する方法です。
10日~2週間程度のご遺体保管が可能となります。
ご遺体を綺麗なまま保つ部分では冷蔵・冷やす方法より優れておりますが、、ご遺体に傷をつける・比較的高額であるデメリットがございます。
特にご遺体を海外からの移送等、どうしても葬儀まで時間を要してしまう場合に用いられます。

ご遺体と冷蔵の仕組み

一般的なご遺体を冷蔵・冷やす方法の仕組みを更に解説していきます。

前述したようにご遺体の腹部臓器から細菌の繁殖により腐敗が進んでいく為、腹部を冷やすことが重要になります。
しかし、腹部を冷やすだけでは十分とは言い切れません。
腹部以外のご遺体全体を冷やすことで、より良好な状態で保存ができます。

最も簡易的にできる方法としては、ご遺体を安置する部屋の室温を低く設定することでご遺体を冷やすことが可能です。
仮の部屋に安置する場合は夏場でも冬場でも、ドライアイスで腹部を冷やす方法と組み合わせ、室温を18℃以下にすることが良いとされています。
こちらは部屋にエアコンがあれば、ドライアイスのみで比較的安価で実施ができることがメリットです。
しかし、室温が下がるまで時間を要したり、建物の構造上室温にばらつきがあることで、ご遺体の安定した安置は難しいことがデメリットです。
自宅での安置ですと、ご家族の通常生活の室温と大きくズレが生じる為、体調を崩してしまう可能性もあります。
またご遺体は加湿や直接風を当てることも傷める原因となりますので、ご遺体に適した環境を作り出すのは大変気を遣います。

もう一つの方法はご遺体用の冷蔵庫を使用して冷やす方法です。
こちらは密閉した空間で、機器で作り出した冷気でご遺体を冷やすので、ご遺体全体を比較的早く冷やすことが可能です。
また密閉された庫内にご遺体を収める為、ご遺体を傷める原因の湿度や不用意な風も防ぐことができます。
まだドライアイスを使用した場合、ご遺体が凍ってしまう場合がございます。
凍ってしまった場合、ご遺体の結露や変色、スタッフによるご遺体の着替えの際に手間取ってしまう場合がございます。
冷蔵庫の場合、一定の温度で冷やすことができ、ご遺体が凍ることを防ぐことができます。
デメリットとしては、冷蔵庫の設置の手間や電源を必要とすることが挙げられます。
また葬儀場やご遺体安置施設に設置を想定した商品が多く、冷蔵庫を使用した自宅での安置は困難となります。

ご遺体用冷蔵庫の種類と冷蔵の仕組み

冷蔵方式の種類

ご遺体用の冷蔵庫の冷蔵方式としては2種類ございます。
ご利用目的に合わせてどちらのタイプを選定するかが重要です。

●強制対流方式
強制対流方式とは、冷蔵庫で作られた冷気をファンで庫内に撹拌させ冷やす方式のことを言います。強制対流方式は扉の開閉などで温度が上がってしまった庫内温度を短時間で設定温度まで下げることできるのがメリットです。
しかし、風を庫内に風を循環させる為、ご遺体に風が当たり乾燥してしまうデメリットもあります。ご遺体が乾燥してしまうとお顔のツッパリや強張りが生じてしまう場合があります。

●自然対流方式
自然対流式は、冷却器で作られた冷気を庫内の温度差から発生する空気の自然な流れを利用して庫内を冷やす方法になります。こちらは風を発生させないので、ご遺体の乾燥を防ぐことができ、より良い状態での保存がメリットとなります。またファンを必要としない為、強制対流式と比較し、運転音が静かで消費電力が少ない傾向にあります。
デメリットとしては、庫内を設定温度まで下げるのに比較的時間を要することが挙げられます。

冷蔵庫の種類

ご遺体用の冷蔵庫にはいくつかの種類がございます。
こちらもご使用目的やオペレーションに合わせて選定することが重要です。

まず形状の観点から2つのタイプに大別されます。
●部屋全体を冷やすタイプ
プレハブや部屋の空間全体を冷やし、部屋の中に安置台を複数台設置する方法になります。部屋は断熱パネルで囲まれており、冷却器で作られた冷気を逃がさないようになっております。多くのご遺体を安置することが出来る為、大規模な安置所であれば効率的な運用ができることがメリットになります。多くの方を預かる場合効率的である一方、ある程度広いスペースが必要な点、ご遺体の臭い移りの可能性、冷やす空間が比較的広いため電気の消費量が多いというデメリットもあります。

●ご遺体毎に冷やすタイプ
ご遺体毎に個別に冷やす方法もあります。
ご遺体を個別に仕切るような、もしくはご遺体一人用の冷蔵ユニットになります。一般的に冷蔵庫にはご遺体毎に扉がついており、密閉された比較的狭い空間な為消費電力が抑えられるメリットがあります。また部屋全体を冷やすタイプよりも比較的狭いスペースで設置可能です。
しかし、一つの冷蔵庫での安置数には制限があり、多数の安置数が見込める場合は多くの台数が必要となり、導入費用が割高となってしまう場合がございます。


冷気を作るシステムという別の観点からでも2つに分類することができます。
庫内を冷やすには、冷媒という冷たい熱を運ぶガスを利用して室内の温度を下げています。冷媒が冷たい熱を運ぶ為には、冷媒を液化・気化させる必要があります。その冷媒の状態を変化させる過程で機器に発熱が伴う為、冷やすと同時に機器に熱を溜めない放熱の仕組みが必ず搭載されています。
今回はその放熱の仕組みの違いです。

◆セパレート型冷蔵庫
セパレート型は冷蔵庫本体とは別に、放熱する機器を別途屋外に取り付ける必要があります。
エアコンの室内機と室外機のようなイメージです。
冷気を作るうえで発生する熱を屋外に放出することで、幅広い設置環境に対応することが可能です。
設置時に関しては、冷蔵庫本体と放熱を行う屋外の機器とを配管で接続する必要があり、建物に穴を開けたりと比較的導入に費用と手間を要します。
 
◆ユニット型冷蔵庫
家庭用冷蔵庫と同じ仕組みでして、冷蔵庫本体で冷気を作りながら、放熱も冷蔵庫本体から行う方法になります。
セパレートタイプが一体型になったイメージです。
庫内を冷やしつつ、設置したお部屋に熱を放出してしまう為、ご遺体用冷蔵庫を多数設置する場合、部屋の排熱設備がない場合、部屋にエアコンがない場合はお部屋の温度が高くなる可能性があります。
しかし、ユニット化されている為、セパレート型と比較して設置が容易・安価、建物を傷つけずに設置することができます。

ご遺体冷蔵庫の費用と最新動向

冷蔵庫の工事とメンテナンス

ご遺体用の冷蔵庫に関わる費用は、大きく導入時の工事費用とメンテナンス費用に分けられます。

①ご遺体用冷蔵庫の工事費用
工事費用は下記の内容に大きく分けられます。
しかし、必ず全てが必要なわけではなく、ご遺体用冷蔵庫のタイプ次第では不要になる内容もございます。
是非設置環境に応じて確認するようにしてください。

●断熱パネル工事(部屋全体を冷やすタイプのみ)
 冷気を外に逃がさないよう断熱パネルで囲む工事です。
●搬入・据付作業
 ご遺体用冷蔵庫は大型で重量物になります。ご希望の設置場所まで冷蔵庫を移動するには、
 専門知識を持つ者による搬入・据付作業が必要となります。
●冷媒配管工事(セパレート型のみ)
 冷媒を循環させる為の配管の工事です。
●ドレン配管工事
 空気を冷やす際に結露水(=ドレン水)が発生します。ドレン水を排水する為の配管工事で
 す。
●電源工事
 ご遺体用冷蔵庫に適した電源を供給する為の電源の工事です。
 機器により単相100V、単相200V、三相200Vと電源が異なります。また電源の種類によっては
 工事費が大幅に上がってしまう場合も想定されます。

ご遺体冷蔵庫のタイプによっては他の工事も発生する可能性はありますが、主となる工事は上記になります。
様々な作業が必要となりますので、設置費用を如何に抑えられるかも重要なポイントになります。

②ご遺体用冷蔵庫のメンテナンス
●ご遺体用冷蔵庫の耐用年数
 ご遺体用冷蔵庫の一般的な耐用年数は10年程度になります。(減価償却年数は6年)
 しかし、使用状況や設置環境によって実際の使用年数は異なります。
●庫内のふき取り清掃・水洗い
 ご遺体用冷蔵庫は使用後に清掃が必要となります。機器によっては水洗い不可等条件がございます。
 こちらはご使用時に定期的に実施いただく内容になります。
●フィルターのお手入れ
 機器にフィルターが取り付けられている場合、1カ月に1度程度の定期的なフィルター清掃が必要になります。

ご遺体用冷蔵庫の最新動向

ご遺体用冷蔵庫は今後ご遺体の保管以外にも、スタッフのオペレーションを加味した設計が必要となってきます。
ご遺体を冷蔵庫からの移動はスタッフにとって大変負担のかかる作業です。また現代の多忙な方々のスケジュールに合わせた面会にスタッフが対応に追われることも今後増えてきます。

ご遺体用の冷蔵庫のまま面会できるよう新たな進化を遂げています。冷蔵安置したまま面会する環境を作り出すことで、多様なニーズに対応・スタッフの負担軽減につなげることが可能です。冷蔵庫のまま面会することで、面会会場のセッティングやご遺体の移動等の作業を軽減することを目的にしています。
またスタッフ目線を更に追求し、納棺前後にも関わらず使用できるサイズの冷蔵庫や面会に必要なステップ台を新たに設ける必要のない冷蔵庫等もございます。

ご遺体用の冷蔵庫と言えばステンレス製の銀の無機質なイメージがあると思いますが、面会対応可能なご遺体用冷蔵庫は木目調など場の雰囲気を壊さない外装対応が可能な場合が多いです。

導入の際には冷蔵庫そのものの機能に加えて、導入施設全体の運営上のメリットや面会用途の検討も視野に入れることが重要です。

まとめ

ご遺体用冷蔵庫には様々な種類があることはご理解いただけたでしょうか。
ご遺体用冷蔵庫を設置できる環境や、何を重要視するかによって選ぶタイプはそれぞれだと思います。
しかし、似たようなご遺体用の冷蔵庫は沢山あり迷われる方もいらっしゃるかもしれません。
その際は、ご遺体への配慮や冷蔵庫の機能以外のオペレーションの効率化や面会用途等のプラスの価値も検討することでピッタリな冷蔵庫が見つかるかもしれません。是非ご参考にしてみてください。

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