大豆ミートとは【代替食品のメリット・デメリットも解説】

あなたが今、口にしているその一口が、健康だけでなく地球環境にもやさしい選択となる可能性があります。植物由来で持続可能な食生活への興味が高まる中、「大豆ミート」の存在は無視できないものになっています。その魅力と、食の未来における役割を深掘りし、メリットとデメリットを解説します。本記事では大豆ミートの基本から、栄養価、環境影響、動物福祉、さらに市場での動向に至るまで、この代替肉の全貌がわかります。

海外の代替肉のイギリス訪問レポート

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2023年11月にイギリスで開催された世界最大級の代替食品展示会の訪問レポートです。代替食品が豊富なイギリスの最新事情です。

   

大豆ミートとはそもそも何なのか?

そもそも大豆ミートって何?【大豆ミートの材料と製造】

「そもそも大豆ミートとは何なのか?」という一番初めのところからお話していきます。大豆ミートとは、文字の通り大豆を原料として肉のような見た目と食感に加工した“代替肉”です。別名で「ソイミート」とも呼ばれています。大豆ミートを作るときには、一般的な豆粒の状態からではなく、“脱脂大豆粉”と呼ばれる大豆そのものから油分を取り除いた粉末状のものを使います。
ちなみに“きな粉”は同じく大豆を粉末状にしたものですが、一度煎じた大豆を使用します。“大豆粉”は一般的に生の状態の大豆を粉末状にしたものを指し、その中でも脱脂されたものを“脱脂大豆粉”と言います。
専用の機械を使用して高温高圧の状態で脱脂大豆粉に水を加えて練りこむことで肉のような繊維質になった大豆ミートが出来上がります。ここで出来上がったものをハンバーグや唐揚げなど食品の状態に加工していくことで、飲食店や店頭で見る大豆ミート食品の完成となります。

大豆ミートの位置【植物ベース食品の台頭】

大豆ミートは大豆を素材として製造された植物ベースの代替肉製品です。特にタンパク質が豊富である大豆は、筋肉の維持や生成に不可欠な栄養素であり、ベジタリアンやヴィーガンの人々にとっては貴重なタンパク質源となっています。大豆ミートは見た目や食感が本物の肉とよく似ており、肉を食べたいけれども倫理的、環境的な理由で控えたいという人々にとって、まさに理想的な代替品と言えるでしょう。加えて、動物性食品を一切使用していないため、コレステロールが含まれておらず、健康志向の人々にも注目されているのです。このヘルシーな代替肉は、サステナブルな食生活を考えていく中で多くの人々の食卓に変化をもたらしています。

近年、気候変動への懸念や動物福祉、健康への関心の高まりと共に、植物由来の代替食品市場は急速に成長しています。その中心的存在である植物ベース食品は、動物由来の材料を使用せず、大豆や豆類、穀物などを使用しており、環境に配慮した選択肢として人気を博しています。大豆ミートは、植物ベース食品の中でも特に肉類をリプレイスすることを目的としており、その開発には、持続可能な農業や水資源の適切な管理など多岐にわたる取り組みが要求されます。これらの食品がますます多くの人々の生活に取り入れられている現状は、植物ベース食品が単なる一過性のトレンドではなく、将来の食品産業を変革していく可能性を秘めていることを示しています。

大豆ミート以外の様々な代替食品(代替食品のメリット・デメリット)

身近な代替食品の例

先程、大豆ミートを“代替肉”であると説明しましたが、他にも代替食品は意外と皆さんの身近なところで活躍しています。
例えば、マーガリンはもともとバターの代替品として考案されたものです。バターは動物系の原材料(牛乳)から作られるのに対して、マーガリンは植物系の原材料(大豆・コーン油等)から作られてるという違いがあります。
他には蟹の代替食品の「カニカマ」、ビールの代替食品の「発泡酒」など、本来の食品と同じくらいの需要があるような代替食品も世の中には出回っています。
「マーガリン」はバター不足の背景から生まれ、「カニカマ」はクラゲを輸入禁止から(諸説あり)試行錯誤した結果生まれた商品です。
また「発泡酒」は手に取りやすい価格で美味しくビールを提供する思考の元で生まれています。その時代の供給状況やニーズに合わせて食品も発展を遂げており、大豆ミートも今の時代に沿った新しい食材といえます。

代替食品を活用するメリット・デメリット

代替食品を活用する事には以下のようなメリットがあります。
・本来の食材に比べて低コストでの購入が可能である
・アレルギーのある方やヴィーガンの方でも、味や食感の類似した代替食品なら食べられる
・本来の食品から代替食品に置き換えることで摂取カロリーなどを抑えられる

一方で以下のようなデメリットも挙げられます。
・味はどうしても本来の食品に劣る
・栄養バランスが悪くなる
・調理方法が限られる

大豆ミートのメリット・デメリット

大豆ミートのメリット

大豆ミートには以下のようなメリットがあります。

●低コストでの購入が可能
大豆ミートはそぼろ・ブロック等の形状にもよって異なりますが、1㎏あたり1300~2300円程度でネットにて販売されています。
また唐揚げを想定した場合、鶏もも肉は100g当たり80~120円、
1㎏あたりに換算した場合800~1200円となります。
大豆ミートの乾燥状態で比較した場合、1㎏あたりは割高となってしまいますが、調理する前に水で戻す必要があります。
その際に3倍に膨れ上がる為に、水戻しをした状態での1㎏換算した場合は435~770円程度となり低コストでの購入が可能になります。
また大豆ミートは必要量だけ水に戻すことで、乾燥状態のものは通常のお肉よりも長く保存することができるのも魅力です。

●ベジタリアンやヴィーガンの方でも、お肉の味や食感を楽しめる
ヴィーガンやベジタリアンのライフスタイルを選ぶ人々の増加は、食品産業に大きな変革を促しています。大豆ミートをはじめとする代替食品は、こうした食の選択肢を広げる重要な役割を担っています。ヴィーガンは動物性のものを一切摂取しない厳格な食事スタイルですが、適切な代替食品があることで栄養バランスの問題を解決でき、魅力ある食生活を送ることが可能です。また、ベジタリアンも、動物を傷つけない選択として、大豆ミートを日々の食事に取り入れています。こうした食生活は、動物福祉を重んじるとともに、自分自身の健康や地球環境にも考慮したもので、これからも多くの人に受け入れられるでしょう。

●脂質摂取を抑える、栄養バランスを整える
大豆ミートは植物性タンパク質になります。通常の鶏肉・豚肉・牛肉は動物性たんぱく質と言われ、大豆ミートと比較すると脂質が多い傾向にあります。
こちらの2種類のたんぱく質には、それぞれの良い部分があり、バランス良く摂取する事が最も重要になります。
大豆には悪玉コレステロール(LDL)の低下に貢献する可能性があるフィトステロールが含まれているため、脂質を抑えながらタンパク質を摂取する、もしくは食事の植物性タンパク質が不足している際の選択肢として活用することができます。
また動物性たんぱく質には含まれていない、食物繊維や大豆イソフラボンが含まれていることも大きなメリットになります。腸内環境を整えることができ、便秘解消に繋がります。また大豆イソフラボンはエストロゲンという女性ホルモンに似た構造を持つため、女性の健康や美肌を助ける効果があるとも言われております。
他にも大豆には必須アミノ酸、繊維質、ビタミンB群、鉄、カルシウムなどの栄養素が豊富であり、これらは肉と同等か、それ以上の栄養価を持っています。
このように、代替肉は健康的なライフスタイルをサポートするだけでなく、動物性脂肪と比較して、心臓病や肥満などのリスクを低減する効果が期待されてます。クオリティの高いタンパク質源として、また健康的な食生活の一翼を担うとして、大豆ミートに注目が集まる理由がうかがえるのです。

大豆ミートのデメリット

大豆ミートのデメリットは以下が挙げられます。

●大豆の臭みを感じる場合がある
昨今では大豆ミートの製造や調理方法が進化しており、あまり聞かれることは少なくなりましたが、大豆の臭みを感じる場合があります。
また大豆の臭みを消すために、味付けや調理方法がある程度縛りが出てきてしまいます。
しかし、例としてスパイスやハーブを使った調理法は、大豆ミートに深みと複雑性をもたらし、本物の肉に近い風味を引き出してくれます。そして、こうした調理の工夫は食文化の多様性を示し、新しい食の楽しみ方を提案していきます。大豆ミートを用いることで、伝統的な料理でも新しい風を取り入れることができ、味覚の冒険に役立つでしょう。

●調理に手間がかかる
大豆ミートは乾燥タイプの場合、下味をつける前に、水に戻す、茹でる、洗う、絞る等の調理の手間が増えてしまいます。
乾燥タイプは長期間保存ができる分、食べるまでの手間が増えてしまうことがデメリットになります。

大豆ミートへの期待と課題

大豆ミートには多くの期待が寄せられていますが、同時に多くの課題も存在します。消費者はよりリアルな味わいと食感を望んでおり、この点での改良が進んでいるのは確かですが、まだまだ一部の消費者にとって違和感があるようです。また、価格面では従来肉に比べてまだ高価と感じる人も多く、広範な普及にはこの点の改善も必要とされています。さらに、大豆ミートが実際に環境に優しいものとして認識されている一方で、製造プロセスにおける環境負荷の透明性や、原材料の持続可能性についてより明確な情報提供が求められています。これらの課題を乗り越えることで、大豆ミートの魅力はさらに高まり、代替食品市場における主要な存在としての地位を固めることでしょう。

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