基板修理(リワーク)の活用事例|業務用空調機の供給不可基板の故障修理

業務用エアコン、空調機には基板という大変重要度の高い電装部品が搭載されています。
基板は重要度の高い部品だからこそ汎用性が大変低く、部品の供給が終了すると直せなくなってしまう場合が考えられます。
結果、空調機の電源もつかず、室内が暑すぎて営業ができないとお悩みの方もいらっしゃるかと思います。

こちらでは基板を修理(別名:リペア、リワーク)により空調機を復旧させた事例を紹介しております。
基板修理することは一般的な修繕方法ではありません。その為、基板修理には細心の注意が必要です。
空調機の基板に焦点を当て、基板とはそもそも何か、故障の原因、基板交換できない場合とは、基板修理の活用と注意点に関して説明しています。
直せなくなったら更新工事を行う以外の選択肢として、是非ご参考にしてみてください。

基板修理のリスクが不安な方向け必読のフロー資料

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空調機の基板修理を用いた修理は通常の修繕とはフローが異なり、把握すべき注意事項があります。基板修理までの流れを解説してます。

   

空調機の基板の役割と故障の原因(基板修理の基礎知識)

空調機の基板の種類と役割

普段使用している空調機(エアコン)には基板と言われる部品が内蔵されています。
基板とは空調機内の他の部品へ電力を送ったり、必要な状況に応じて信号を送る、いわば人間の脳のような司令塔の役割があります。
空調機の基板は役割で二つに分けることができます。
●電源基板
 室外機に送られた電力を室外機内の部品の圧縮機(コンプレッサー)やファン等に電力を送る役割があります。
●制御基板
 測定した温度に対して、室外機内の部品の圧縮機やファンへ出力の信号を送る役割があります。

基板は空調機の司令塔の役割があり、基板が故障してしまうと信号が上手く送れず、空調機が動かなくなってしまいます。
基板が故障した際は通常であればリモコンにエラー番号が表示されたり、赤ランプが点灯を確認することで、
故障を確認することができます。

基板の取り付け位置は空調機メーカーによって詳細は異なります。
しかし、一般的に屋外に設置される室外機に基板は取り付けられています。
カバーを外さないと見えない場所に取り付けられている為、目視で確認しようとするとカバーを外すことは避けられません。
室外機には強力な電気が流れている為、専門知識がない方が空調機のカバーを外すことは大変危険です。
専門知識を要する方に確認してもらうことが重要です。

空調機の基板の故障の原因

空調機の基板が故障してまう主な原因は以下の通りになります。

●経年劣化
経年劣化とは、部品の時間経過と共に徐々に劣化していき、部品寿命を迎えることです。こちらは機器を正しく使用している場合でも、消耗していく部品があり時間共に劣化してしまうことが原因となります。
特に基板のような電装部品にあたる部品の故障の原因の多くはこちらの経年劣化が該当します。
空調機における基板の経年劣化の場合は、急にエラーが発報されて空調機が動かなくなってしまう、誤作動により一時的にエラーが出てしまう等様々なパターンが考えられます。

●過電流が流れる
過電流 ショート(短絡・絶縁不良)等の異常な電気によって基板が壊れてしまうこともあります。
こちらは最悪の場合焼け焦げたりしてしまう場合もあります。

●水に触れてしまう
基板の人為的な故障の原因としては、部品が水に濡れてしまい故障してしまう場合もあります。
電装部品は湿気・水に大変弱く基板を壊す原因になります。
具体的に空調機においては雨天の中、無理に基板を交換する作業を実施することで故障を招いてしまう可能性が考えられます。

空調機の基板が故障してしまうと空調機が全く使用できなくなってしまいます。
基板が誤作動してしまう場合には、一時的に復旧する時もありますが、しばらくすると基板が完全に故障してしまう(空調機の電源が入らない)ことが大半です。
空調機のリモコンにエラー発報が表示されて、いつのまにか解消されていた場合でも、
エラー番号を控えていただいた上で、一度空調機の点検を行うことがおすすめです。

空調機が故障してしまうと、室温が維持できなくなってしまいます。
故障した空調機がお客様のいる区画だった場合、営業への支障や、お客様に不快な思いをさせてしまう場合があります。
また室内の商品を冷やす目的の場合には、商品自体を廃棄せざるを得ない状態になってしまいます。
空調機の早期修繕は、室内の商品への影響を最低限に抑えることができ、快適環境の早期復旧により不快なイメージをお客様に持たれることを防止できます。

また空調機を直すまでの期間、空調ができなくなった空間を営業停止することは、営業スペースを狭めてしまうこととなり大変勿体ない状態です。
他にもスポットエアコンや窓を開けたりの代用の対策も、従業員が行う労力や手間が増えてしまう場合が多いです。
このように空調機は営業や運営にも実は影響があります。

基板修理とは リワーク&リペア【業務用空調機の基板が直せない】

業務用空調機の基板修繕と直せない場合

●業務用空調機の基板故障による修理とは
業務用空調機の基板が故障してしまった場合は、故障した基板を取り外し、新品の基板を取り付けて修理を行うことが一般的です。
基板自体にも様々な部品が搭載されていますが、どの部品が壊れたかの基板自体の診断を行うと
診断が大変複雑となるため、費用も時間も要してしまい、通常であれば基板毎新品交換を行います。

また基板は何でも良いわけではありません。
決められたメーカーの決められた部品で交換することが一般的です。
他の方法やメーカーで定められた基板以外の基板を取り付けてしまった場合、
空調機メーカーからの保証対象外となってしまいますので、一般的には実施されません。
また同じメーカー内の商品においても、同じタイプの商品であっても、製造年代や型式によって基板が一つ一つが異なります。
型式とは構造や性能が同じ空調機に対して、メーカーが指定する分類指標になります。
空調機の型式毎に一つ一つメーカーが基板を設計しており、必ずしも同じメーカーの空調機=すべて同じ基板ではありません。
ですので、同じ年代に製造された空調機でも、型式が違えばそれぞれ違う基板が使用されている状態です。

要するに基板は、空調機の司令塔の役割を担う複雑な部品であり、メーカー以外で代用基板を作ることは簡単にはできない部品です。
メーカーにしか供給できない、替えが効かない重要部品になります。


●業務用空調機の基板の修理ができない場合
空調機の基板故障を直せない場合があります。
それは、メーカーからの部品供給が終了してしまっていることが原因になります。
部品供給の終了とは、空調機が故障した際に修理できる部品を保有する期間を過ぎてしまった場合に、
製造自体を終了、在庫がすべて出荷されてしまうと、部品がなくなってしまい修理部品を供給できない状態になってしまうことです。
別名では補修用性能部品と言われ、メーカーが自主基準で設けた期間、製品の機能・性能を維持することを目的とした部品です。
基板も含め空調機の修理する部品はすべて補修用性能部品です。
空調機の多くのメーカーの保有期間は製造終了後9~10年程度となっております。
注意が必要なのは、購入日基準ではなく、メーカーが製造を終了してからの期間となります。
同時期に設置した空調機でも、部品供給が終了してしまった空調機と修理ができる空調機が混在する場合もあります。

また部品保有期間が過ぎても、部品が供給される場合があります。
その場合、空調機メーカーが保有期間を超えた部品の代わりとなる部品(代替え品)を製造し提供されているからです。
部品保有期間を過ぎている空調機でも一度部品の問い合わせをすることは大変重要になります。

基板の供給ができないとなるのは、部品の保有期間を過ぎており、代替品もない状態です。
更に基板が壊れてしまうと空調機の電源が入らない完全停止をしてしまっている状態であり、
空調機が完全に使用できない状態です。
そうなってしまうと、空調機が設置されたお部屋を使用しないで様子を見る、もしくは空調機の入れ替え・更新を行う2つの選択肢を検討する必要があります。

業務用空調機の基板修理(リワーク&リペア)の活用

前述した通り、基板は空調機の司令塔の役割を担う重要な部品であり、替えが効きにくい部品です。
部品の製造が終了してしまい、供給がされなくなってしまった場合、
そのままにしてしまうか、空調機の入れ替え・更新を行うかの2つの選択を迫られてしまいます。
しかし、空調機の入れ替え工事は設置環境や空調機の種類によって、大変高額となる場合があります。
空調機の更新を行う費用をすぐに準備できないが、すぐにでも復旧させて被害を最小限に抑えたいという場合も考えられます。
その際に、一つの選択として基板自体を修理してしまう方法があります。

この基板修理を基板のリワーク、リペアとも言います。
基板のリペア、もしくはリワークとは基板自体に搭載された半導体や電子部品等の部品の故障箇所を調べて、故障した基板の部品を取り換えて直していくことです。
これは空調機の基板でも利用することができます。
故障してしまった基板を修理(リペアもしくはリワーク)を行い再利用して、空調機を修理することができるのです。
基板の修理を行う会社は様々ありますが、修理回数や出来高報酬等、各社それぞれの料金体系があります。
また基板修理の会社は製造の知識を活用して修理を行っており、基板部品専門の会社が多いです。

こちらの基板修理を活用を行うことで、基板を直せずに空調機の入れ替えを行うか、
故障したままにしておくかの選択肢以外にも、基板リペアの選択肢が生まれてきます。


空調機の基板修理の注意点

空調機における基板修理(=リペア)にはいくつかの注意点があります。

●基板が激しく焼損してしまっていた場合、基板修理が行えない
基板の故障原因によっては、基板を焼いてしまう場合があります。
もし基板が焼ける、もしくは焦げてしまっていた場合は、基板修理でも直すことができません。
一度基板修理検討する前に、一度基板の状況を確認しておくことが重要になります。

●修理基板の確認方法
基板修理を終えた基板は部品単体で検品を行いますが、空調機本体に取り付けて初めて本当に問題なく動くかの判断ができます。
よって、一度空調機に取り付けて改めて基板に問題がないかの診断を行う必要があります。
しかし、その際に基板の交換を行う方に経緯を十分にご理解いただいた上で行うことが、トラブル防止につながります。
なぜトラブル防止になる理由は、メーカーの正規の基板を利用して修繕を実施したとしても、基板自体を修理することをメーカーは推奨しておりません。
基板の中の部品において、故障した箇所のみを交換して無事に修繕できたとしても、他の基板内の部品が劣化しており、時間と手間をかけたにも関わらず、少し経った後に再び基板が壊れてしまう可能性があるからです。
メーカーは空調機の機能を維持するために、また基板の全部品の診断が困難なために、基板毎の交換しか行いません。
メーカーが行わないことを実施してしまう為、通常の診断通りにいかないイレギュラーな事態が発生する可能性があります。
実施者と依頼者の双方がイレギュラーな作業である理解をしていることが大変重要になります。

まとめ:空調機の基板修理の事例

過去に三菱重工製の業務エアコンのインバーター基板のリペア修理を実施した際の事例を紹介致します。

【某サービス業態のお客様の場合】
三菱重工のEHP空調機のインバーター基板の故障により空調機が動かなくなってしまっておりました。
しかし、営業に直結する空調機の為、早期復旧を望まれておりましたが、
15年を経過していた機種であり製造終了部品・代替え品もなく、修繕ができない状態が続いておりました。
実際に快適環境が重要になるサービス業の業態であった為、やむ終えず営業を停止する期間が続いておりました。
しかし、基板が焼け焦げておらずリペア修復可能な状態を確認できた為、急ぎリペア作業を依頼しました。
リペア作業は1か月弱(繁忙期)にて終えて、空調機に基板を取り付けて電源が復旧、エラー解消がされました。
※リペア作業期間は時期によっては短縮可能です。
空調機が復旧したことにより、全く売り上げがゼロであった状態から営業できる状態まで復旧させることができました。

空調機の早期復旧は企業においてのマイナスイメージの防止や営業・運営に重要な要素になります。
空調機の基板が直せなくなった時には、更新工事以外にも基板修理のプランを一度ご検討してみてはいかがでしょうか。
ご不明点がございましたら、是非お問い合わせください。

基板修理のリスクが不安な方向け必読のフロー資料

基板修理のリスクが不安な方向け必読のフロー資料

空調機の基板修理を用いた修理は通常の修繕とはフローが異なり、把握すべき注意事項があります。基板修理までの流れを解説してます。