食品工場は調理の過程や食材から様々な臭気が発生してしまします。
その臭気から工場内での臭い移りや近隣住民からの苦情に繋がる場合があり、食品工場においての臭気対策は大変重要な課題となります。
こちらの記事では、食品工場における臭気の原因、臭気の管理基準、食品工場における臭気対策、脱臭装置の事例を紹介してております。
是非臭気でお悩みの方は、ご参考にしてみてください。
食品工場向け気化式コンパクト脱臭装置
消臭ガスを臭気に接触させることで脱臭する装置です。食品工場における小・中規模の脱臭(厨房排気・工場排気・残渣等)向けにコンパクト設計・圧力損失・環境負荷軽減を加味した設計となっております。臭気による職場環境改善・近隣苦情の対策・臭い移り防止にお悩みの方は、是非お問い合せください。
食品工場の臭気の原因とは
食品工場の3つの臭気の原因
食品工場が運営していく上で、近隣住民から臭気に対する苦情が寄せられることがあります。しかし、原因となる臭気の正確な原因を特定することは難しい状況も珍しくはありません。
食品工場における臭気の原因は主な3つに絞られます。①生産過程で出るガスや蒸気、②食材そのものの持つ独特の臭い、さらには③腐敗を防ぐために使用される化学物質といった大きく3要素に分けることが可能です。
①生産過程での臭気発生
食品工場では、さまざまな加工や調理工程が行われます。この中には、例えば油で揚げ物をしたり、大量に茹でる工程など、必然的に蒸気やガスを発生させるものがあります。スープやソースなどを長時間にわたって煮詰めると、その成分が蒸発し、濃縮された臭気となって周囲に漂います。また肉や魚などを焼くと、焼き煙とともに独特の臭いを放ちます。これらの臭気は、十分な排気処理がなされていないと違う室内へと広がり臭い移りの原因や、排気することで近隣住民への苦情になってしまうのです。
②食品材料の持つ独特の臭い
食材そのものが持つ独特の臭いも、食品工場の臭気の一因です。ニンニクや玉ねぎ、魚介類、肉類などは、その特性上、調理や加工だけでなく、そのままの状態でも食材本体から強い臭いを発します。これを大量に保管したり、一度に大量に加工することで臭気は増長します。また、発酵食品などを製造する際は、製品本来の臭いが工場内外に拡散しやすいです。これらの食材を扱う工場では、臭気対策が特に重要となります。
③腐敗防止処理のための化学物質による臭気
食品工場内での臭気の要素として忘れてはならないのが、腐敗防止のために使用される化学物質によるものです。食品製造では、製品の賞味期限を延ばすため、防腐剤や食品添加物が使用されます。これらの化学物質は、それ自体が特有の臭いを発するものもあります。また、食品に混じり合わせることで予想外の臭いを発生させることもあります。これらの物質が気化すると、工場内では避けられない臭気となるでしょう。
食品工場の臭気の管理基準について
私たちは毎日、様々な臭気に囲まれて生活しています。それらは、私たちの生活を便利にする一方で、害を及ぼす可能性もあります。具体的には、食品工場から発生する様々な臭気が環境問題として認識され、それを解決するための方策として、政策に基づく臭気対策が取られています。ここでは、それらについて詳しく解説いたします。
まずは、食品工場に適用される環境基準について考えてみましょう。食品工場は、生産プロセスで大量の生物性廃棄物を排出します。これらの廃棄物・残渣は、処理されずに放置されると重大な公害を引き起こす可能性があります。そのため、工場はそれらを適切に管理し、公衆衛生を保持するための厳しい基準を遵守する必要があります。
これらの管理基準は、工場の規模や排出物の種類、地域の気象条件など多くの要素によって異なります。それぞれの基準が厳しく定められ、守られることで、工場周辺の住民の生活を保護できるのです。また、食品工場は社会の一員として、環境負荷の低減と持続可能な社会への貢献を求められます。
次に、官公庁の支援制度について考えてみましょう。政府は、食品工場が環境基準を遵守するためのさまざまな支援を提供しています。具体的には、設備の改善や新たな処理方法、教育研修など、多岐にわたる支援を行っています。
これらの支援は、食品工場が公害問題を解決するための重要なツールとなります。また、これらの制度を利用することで、食品工場は自身の環境改善活動を進め、さらには新たなビジネスチャンスを得ることも可能です。そのため、これらの制度は、工場だけでなく、地域社会全体にとっても有益なものと言えるでしょう。
最後に、現行法規との整合性確認について説明します。法令を遵守することは、企業が社会的責任を果たす上で必要不可欠なことです。しかし、法令の解釈や適用は複雑であり、状況によっては専門的な知識が必要となることもあります。
そのため、食品工場は専門家や相談機関を活用して、自身の活動が法令に適合していることを確認する必要があります。また、不確実性を扱うためのリスク管理も重要な要素となります。適切な法的対策を講じることで、企業は長期的な成功を確保し、持続可能な未来を築くことができるでしょう。
食品工場における臭気対策2つ
①臭気の悪影響を広げない
食品工場における臭気対策の一つは、食品工場内で発生した臭気の悪影響を広げない対策になります。
さまざまな環境で生じる臭気は、快適な空間の有無を決定づける重要な要素です。特に食品工場や工業施設や飲食店など、臭気に敏感な場所では、臭気を如何に抑えるかが課題となります。
その解決策として有効なのがレイアウト改善視点からの対策です。空間を最適に利用し、通風設備の配置、原料置き場の見直し、そして機械設備の配置改善といった要因を組み合わせつつ、最善の環境を作り上げていきます。
①送風設備の配置
まず一つ目に考慮するべきなのが送風設備の配置です。臭気の発生源から適切な距離に送風設備を設置することが必要です。遠すぎると臭気が室内に拡散し、近すぎると逆に空気の流れが局所的となる上手く送風することができなくなります。送風設備の性能や、風向きによる影響も考慮し設計することが重要になります。送風設備は単に空気を排気するだけでなく、室内の空気を循環させる役割も持っています。そのため、配置の工夫と合わせて、建物全体の換気バランスを加味した上で、十分に排気させることも重要になります。
②原料置き場の見直し
続いて臭気発生源の置き場の見直しも臭気対策には不可欠です。臭気発生源自体の収納方法も影響を及ぼします。原料が直接風通しの良い場所に置かれている場合、風向きによってはその臭気が広範囲に広がる可能性があります。また、原料の種類により発生する臭気が異なるため、それぞれに適した条件で保管することが求められます。見直し後の改善策としては、密封容器での保管や、冷暗所としての適切な温度設定などが考えられます。
③機械設備の配置改善
最後に、機械設備の配置改善も効果的な策です。機械設備の中には、熱を発するものや振動により周囲の空気を揺らすものがあります。これらが臭気の拡散を促す可能性があるため、適切な配置を心がけるとともに、必要に応じて遮音・遮熱対策も講じることで臭気問題の改善に繋がります。
②消臭・脱臭装置利用による対策
消臭装置の利用は、安定してより快適で清潔に保つための効果的な手段の一つとして有効です。特に公共の場所や多数の人が使用する場所での臭気対策は、人々の快適さを保つために非常に重要なのです。しかし、消臭装置の種類や使用方法、さらには現在の最新技術まで情報は多岐に渡ります。本稿では、消臭装置の簡単に紹介をしていきます。
①消臭装置の種類
消臭装置の種類は多岐にわたり、用途によって選ぶべき装置も異なります。まず一つ目は、エアフレッシャーと呼ばれるタイプです。これは一般的に空気中の臭気分子に香りで包んで臭いを和らげるタイプです。悪臭だけでなく複合臭と幅広い臭気に効果がありますが、人によっては香りが苦手な可能性がある点がデメリットです。二つ目は、オゾン発生器を使用した装置です。オゾンは強力な酸化力を持ち、臭気分子を分解し無臭化します。高い消臭性・除菌効果を得ることができますが、オゾンを取り扱うことで使用には注意が必要となるため、適用場所を選ぶ必要があります。三つ目は、活性炭フィルターを用いた装置です。活性炭は吸着力が強く、物理的消臭と言われる物理的に臭気分子を吸着させることで臭いを除去します。特定の臭気の除去が難しい、悪臭が再放出されてしまう可能性がある点がデメリットです。これらの装置はそれぞれ特性が異なり、用途に応じた選択が求められます。
②消臭装置の正しい使用方法
消臭装置を最大限に活用するためには、装置の種類と使用する場所に対する理解が必要です。エアフレッシャーは手軽に使用できる反面、香りが好ましくないと感じる人がいる可能性も考慮する必要があります。オゾン発生器は強力な消臭効果がありますが、人体に対する影響もあるため、使用時には空気を十分に換気するようにします。また、使用中は室内に人がいないことを確認し、使用後も一定時間換気を行ってから入室するなど、取扱い注意が必要となります。活性炭フィルターは吸着力が強いので、定期的な交換が必要となります。各装置を適切に操作し、適切なメンテナンスを行うことで、長期間にわたって消臭効果を維持することが可能となります。
③最新の消臭技術(光触媒)
最新の消臭技術としては、光触媒技術が注目されています。紫外線に反応する触媒としてチタン酸化物が使用され、光が当たると臭気成分に酸化反応を起こし分解します。これにより、無臭化だけでなく抗菌、抗ウイルス効果もあるとされています。また、バイオテクノロジーを活用した消臭方法も見られます。特定の微生物を生育させて臭いの源となる成分を分解し、無臭化させる技術です。これらの技術は、従来の消臭装置よりもさらなる高性能と安全性を兼ね備えており、今後の消臭装置の主役となる可能性があります。
食品工場の修繕・設備投資による臭気対策
食品工場の臭気対策の手順
臭気対策は、快適な職場を創り出すし、近隣との関係性の上で最も重要な要素の一つです。適切な臭気対策には、適切な設備投資と修繕が欠かせません。現行の設備が時代遅れであったり、故障や老朽化が進んでいると臭気処理の効率が著しく低下し、結果的に快適性が損なわれる可能性があります。
では実際にどのような臭気対策手順が必要なのか確認していきます。
①必要な設備投資の洗い出し
臭気対策に適切な設備投資を行うためには、まず現在の設備状況を把握し、その上でどのような解決策・選択しがあるのか、必要な設備投資を洗い出すことが大切です。そのための一つの方法として、プロの診断を受けることがおすすめです。設備の専門家が正確に現状を把握し、優先度を決定しながら行うべき設備投資を見つけ出すことができます。
②コストパフォーマンスの良い設備選択
設備の選択においては、投資コストと運用効果のバランスを見極めることが重要です。一方で最先端の技術を導入することで高い効果が期待できますが、導入コストやメンテナンスコストが高くなる可能性もあります。他方で、あまりにも安価な設備を選択すると機能性や耐久性が低く、結果的に修繕費用が増大する恐れもあります。リーズナブルな価格で確かな性能を持つ設備を選ぶためには、商品の比較やレビューのチェック、メーカーを比較検討をすることが重要になります。
③設備のメンテナンスと管理
設備が新しくても、適切なメンテナンスと管理を行わないと、その性能は短期間で失われる可能性があります。特に、臭気対策の設備は、常に高いパフォーマンスを維持するために定期的なメンテナンスが必要です。そのための一つの方法として、メンテナンスマニュアルを作成し、それを守ることが大切です。また、専門的な知識が必要な場合や高度な設備の場合は、専門業者による点検やメンテナンスを定期的に依頼することも重要です。
食品工場の脱臭装置の事例
食品工場において脱臭装置は様々な場所での使用が想定されます。
製造を行う大空間のお部屋の脱臭や消臭を行うのか、排気の臭いや局所的な脱臭・消臭を行うかによって、
脱臭装置の機器選定は異なってきます。
大規模な場合は脱臭プラントを準備致しますが、小・中規模の脱臭には小型の脱臭装置がおすすめです。
今回ご紹介させていただく事例は小・中規模向けの脱臭装置になります。
厨房排気や工場排気、残渣等の局所的に脱臭を行いたいという要望に対して、
消臭ガスを発生させる脱臭装置をご提案させていただいております。
活性炭のような物理的消臭の場合、既存の排気ファンに対して風を送る際の抵抗(圧力損失)となり、
ファンを見直す必要があります。
しかし、消臭ガスをダクト内に供給することにより圧力損失がなく、決められた予算での消臭対策を後付けしたい場合は、コストを抑えられる可能性があります。
また厨房や食品工場の排気には、油煙等の異物を空気中に含む場合があります。
そちらの場合脱臭用のフィルターを採用してしまうと、汚れが付きやすくメンテナンスを定期的に実施しないと劣化を早めてしまう可能性があります。
こちらの場合も消臭ガスを用いた脱臭装置の場合は、メンテナンス頻度を抑えることに繋がります。
もちろん臭気の強さや規模、予算によっては適切な脱臭装置は異なってきます。
状況を把握した上で専門家にご相談することが重要になります。
まとめ
食品工場において臭気は切っても切れない問題になります。
その中で適切な対策を計画していく必要があります。
安定的な臭気対策を望むのであれば、消臭設備や脱臭設備を導入することをお勧め致します。
脱臭装置も様々な種類や規模間、対象となる臭気の違いがあります。
状況を的確に把握し、どの方法が最も効果的かを検証することが重要になってきます。
食品工場向け気化式コンパクト脱臭装置
消臭ガスを臭気に接触させることで脱臭する装置です。食品工場における小・中規模の脱臭(厨房排気・工場排気・残渣等)向けにコンパクト設計・圧力損失・環境負荷軽減を加味した設計となっております。臭気による職場環境改善・近隣苦情の対策・臭い移り防止にお悩みの方は、是非お問い合せください。
普段は換気・全熱交換器に関わる工事、他には劇場関係の空調換気設備の修繕・保守を担当しております。
他にない換気・空調に関する情報をわかりやすく発信していきます。
●菱熱工業株式会社 社員
●開発商品(全熱交換器)の新聞社掲載情報(日本経済新聞社、月間HACCP、日刊工業新聞社)
●主な仕事内容:空調更新工事・保守メンテナンス・換気改善提案
●設備工事の妥当性を見極めるには、ある程度の設備知識が必要です。そんな知識を提供してより良い設備の保守・工事のご参考にしていただけますと幸いです。