
換気設備により換気をすると室内が冬場は寒い・夏場は暑いという状況になったことはありませんか。
換気は室内の空気を捨て、屋外の新鮮な空気を取り入れる為、室内の温度が外気温度に近くなってしまいます。
しかし、換気は室内を保つ為に必要必要不可欠な存在でして、換気をしない状況は埃や煙、二酸化炭素や有害なガスにより人体に悪い影響を及ぼす可能性があります。
だからといって、換気による室内温度が暑くなる、寒くなることを諦めてしまっておりませんか。
これから解説していく全熱交換器はそのような場所にとても有効な対策手段となります。
まずは全熱交換器とは何かの仕組みを、次に全熱交換器における費用・コストを説明していきます。
全熱交換器を導入・使用する際には、コストがかかります。
そのコストはどのような項目か、項目毎にご説明しております。
また良い意味でのコストもあります。
全熱交換器の最大のメリットの省エネ効果により、どこまで光熱費を節約することができるのかの確認も重要です。
換気設備の普通換気から熱交換器への入れ替えをお考えの方、全熱交換器の新設をご検討の方は是非ご確認ください。



全熱交換器でお悩みでしたら、是非ご相談ください。
弊社では全熱交換器の導入・交換工事からメンテナンス、点検の維持管理までの実績がございます。 他にはできない全熱交換器の導入工事や工事不要の全熱交換器のご提案まで、現場に合わせたご提案を強みとしております。 是非お問い合せください。
換気の暑い・寒いのリスクと全熱交換器の仕組み
換気により室内が暑い・寒くなるリスクとは
冒頭でご説明した通り、換気をすることで室内と屋外の空気を入れ替えてしまう為、室内が夏場は暑く、冬場は寒くなってしまうことがあります。
こちらは換気をすると発生してしまう現象ですが、エアコンを運転しているのに暑すぎて、寒すぎて支障をきたしてしまう場合は対策が必要です。
換気により部屋が暑くなりすぎる、寒くなりすぎる状態を放置してしまうリスクは以下の通りになります。
●部屋の温度が高くなりすぎる、低くなりすぎることにより人体・保管物への影響
室内の温度が夏場高くなりすぎると人は不快に感じる為、営業を行うスペースであればクレームになりかねません。
また暑さに慣れていない方やお体が丈夫でない方の場合、熱中症等の体調不良が起きてしまう可能性があります。
室内に保管物がある場合には、保管の適温を超えてしまい保管物を傷めてしまう場合もあります。
また夏場は室内に冷たい物質があると、その周りが結露してしまい室内が濡れてしまう場合があります。
逆に寒すぎる場合には、お年寄りの場合ヒートショックが生じることもあります。
ヒートショックとは温度の差により血圧の急上昇・急低下することにより、心臓・血管の疾患を招くことをいいます。
温浴施設の脱衣所と浴場の室温の差が大きすぎてしまうという場面が考えられます。
●室温が高すぎる、寒すぎるときにエアコン・空調機の電気代が上がってしまう
換気により夏場は上がりすぎた室温を下げようと、冬場は下がりすぎた室温を上げようとエアコン・空調機は稼働します。
エアコンが稼働している間も、換気により外の空気は常に給気され、空調された空気は捨てられてしまいます。
エアコンが常に稼働している状況になりかねません。
このように常にエアコンが全力で稼働している状態では、エアコンのエネルギーの電気代も高くなってしまいます。
昨今電気代は高騰しており、少しでも省エネしたいところ勿体ない状況となってしまっております。
このように換気により室内が暑すぎる、寒すぎる状況を放置してしまうと環境的にはコスト的にもリスクが生じてしまいます。
全熱交換器の仕組みと導入効果
室内が換気により暑い・寒い状況に対して、全熱交換器の効果を説明する前に、まずは全熱交換器の仕組みをご存知でしょうか。
全熱交換器は大きく分類すると換気設備に該当します。換気設備には室内に空気を送り込む給気ファン、屋外へ空気を排出する排気ファンが搭載されています。
換気設備に搭載されているファン以外にも、全熱交換器には熱交換エレメントが機内の空気の通り道に搭載されていることが大きな特徴です。
そちらの熱交換エレメントとはどのような役割でしょうか。
熱交換エレメントは特殊な板を重ねて構成されたエレメントでして、そこに排出する空気を通すことで熱エネルギー(温度と湿度)を取り出し、その熱エネルギーはエレメントを通して給気する空気に移し替えることができます。
換気により綺麗な空気に入れ替えつつ、熱エネルギーは再利用する為の構造を持つ換気設備が全熱交換器です。
記事:「全熱交換器とロスナイ」「全熱交換器と空調機」との違いを解説
全熱交換器の主な導入効果は、省エネを望めることです。
前述した通り、熱を再利用することでエネルギーの無駄を省くことができます。
通常の換気設備と比較し、換気しながら冷暖房維持費用を削減することができます。
換気では排出してしまう熱を回収して再利用するため、エアコンやストーブ等の空調のエネルギー費用を抑えることができ、省エネになります。
換気により室内に送り込まれる外の空気を、排出される空気の熱を再利用することで、より快適な温湿度に近づけて給気することができる為、最適空間を維持できる効果もあります。
換気によって室内が寒くなったり、暑くなったりすることを軽減することができ、ヒートショック現象対策や細やかな室温維持が必要な場面で有効です。
記事:全熱交換器のメリット・デメリットを更に詳しく解説

全熱交換器の費用①
全熱交換器に関連する光熱費
全熱交換器に関連する費用は3つございます。
①光熱費
②メンテナンス
③工事費
まずは①光熱費はどのような内容でしょうか。
先程の省エネ効果により空調エネルギーを節約することができます。
導入することで、どの程度光熱費が節約できるのか確認することが重要です。
また気を付けなければならないことは、
全熱交換器を運転する電気代がかかるということです。
○通常の換気設備を全熱交換器に入れ替えた場合は、ランニングコストの試算比較
○換気設備がない中で全熱交換器を増設した場合は、運転する分のランニングコストが増える
上の2つを確認する必要があります。
折角導入したけれど、全熱交換器の省エネ効果を上回るランニングコストがかかる
ということもあり得るかもしれません。
こちらは導入のキーポイントなので、確認は必須です。

いくら光熱費を節約できるのか
では実際にはどのくらい光熱費を節約できるのでしょうか。
夏(例:外気温度34.7℃、室内温度28℃)で24時間換気の想定で見てみましょう。
(電気代は18円/kWを想定)
●全熱交換器導入前 (通常の換気機器の場合)
【400㎥/hの給気ファン1台・排気ファン1台、エアコン有の想定】
換気により室内の28℃の空気を換気機器により屋外に捨ててしまいます。また捨てた分の空気を外から送り込む必要があり、34.7℃の外気が室内に送り込まれます。
給気ファン、排気ファンのそれぞれ消費電力が0.035kWとすると、合算で0.035kW×2台分=0.07kWになります。24時間運転により、0.07kW×24h=1.68kW/日となり、
1日当たりの電気代は30.24円(1.68kW/日×18円/kW)、年間にすると11,037円の電気代がかかります。
換気により常に暖かい空気が室内に入る中、エアコンは空気を冷やそうと動き続けます。
外気を冷やそうとするエアコンのエネルギーはおおよそ0.94kW/hとなり、電気代にすると16.92円/h、年間に換算すると148,219円になります。
※人体による発熱や、躯体を通じて発生する負荷は含まれておらず、換気による入ってくる外気を冷やすのに必要なエネルギー分のみを計算しております。
年間の換気・空調による光熱費は11,037円(換気)+148,219円(エアコン)=159,256円になります。
●全熱交換器導入後
(全熱交換効率42%の想定)
換気により室内の28℃の空気を全熱交換器により屋外に捨てる際に、熱エネルギーの回収を行います。回収したエネルギーを34.7℃の外気に移し替えることで、実際の給気される温度が34.7℃より低い温度で送り込まれます。回収できる効率を全熱交換効率と言い、今回は42%で計算をしてみます。
全熱交換器の運転消費電力が0.124kW/hの場合、1日当たりに換算すると2.98kW/日になります。電気代にすると53.64円/日、更に年間当たりの電気代は19,578円になります。
次の全熱交換器の省エネ効果で抑えられるエアコンの電気代を確認していきます。
換気により室内に入る空気の温度が比較的低くなる為、エアコンのエネルギーは0.4kw/hで想定できます。電気代にすると7.2円/h、年間換算にすると63,072円になります。
年間の換気・空調による光熱費は19,578円(換気)+63,072円(エアコン)=82,650円になります。
こちらの簡易計算では年間76,600円の削減が見込まれます。
※超簡易計算になり、条件により節約費用は変わってきます。
詳細の計算は専門業者に落ち合わせください。

全熱交換器の費用②
全熱交換器のメンテナンス
全熱交換器を導入後には、メンテナンス費用が発生してきます。
主に下記の内容で費用が発生していきます。
①点検費用
機器を長期間使用し続けることで、劣化や摩耗等が生じていきます。気づかないうちにフィルターが詰まっていた、異音がしていた等も考えられます。こちらにいち早く対策できるように、また安全に使用していただく為にも定期的な点検が必要になります。
②フィルター・エレメント清掃
全熱交換器にはフィルターとエレメントと言われる部品が搭載されております。
こちらの部品は空気が通過する為、大変汚れやすい部品であり、定期的な清掃が必要となります。また古くなってきたら、フィルター・エレメントの交換が推奨される場合もあります。汚れた状態を放置してしまうとフィルター・エレメントが詰まってしまい、風量が出なくなる・機器の故障を招く可能性がございます。
詳しくは専門業者に確認してもらうことが大切になります。
メンテナンスの詳細【フィルター・エレメント】はこちら
③故障
機器を長期的に使用していくうちに、全熱交換器が故障してしまう場合もございます。
特に全熱交換器内に搭載されているファンは、モーター不良により振動や異音が発生したり、部品交換が必要な故障が生じることもあります。
故障防止には定期的なメンテナンスが重要になります。

全熱交換器の工事
また導入時には全熱交換器の設置工事の費用、初期費用が発生します。
全熱交換器の設置費用は、取付場所により異なってしまう為、専門業者に問い合わせすることを推奨致します。
また現在の換気設備の状況から、費用削減を検討することも重要です。
例えば、既存の換気設備を全熱交換器に入れ替える場合、
既存の換気設備用のダクトを再利用して使用することで、ダクト工事費を抑えられるかもしれません。
また既存に換気設備がない場合、ダクトレスの全熱交換器を選定することで、ダクト費用を削減も可能です。
既存の設備を如何に再利用できるか、工事費用を抑えられる全熱交換器を選定できるかが重要となります。
また応募時期や工事時期に制約が生じてしまう可能性がございますが、
助成金制度を利用し導入し、取付費用を抑えるのもひとつの方法です。
全熱交換器は省エネを対象とした助成金・補助金が該当する場合がありますので、
計画されている方は検索することで良い助成金に出会えるかもしれません。

まとめ
室内が換気により暑い状態、寒い状態に全熱交換器が有効な一つの対策であることもご理解いただけたでしょうか。
また全熱交換器を使用していく上で、検討すべき費用の概要をご理解いただけたでしょうか。
省エネ効果の削減費用だけでなく、ランニングコストが発生すること、メンテナンスが必要なこと、故障する可能性があることを計画しておくことで、今後の予想外の出費を防止することができます。
また初期費用も抑えることも重要です。
初期費用を抑えられれば、投資回収を早めることができます。
工事費を抑えたいというご相談は専門業者にすることをお勧め致します。
また換気による暑すぎる、寒すぎる状態を改善したいという方は、是非お問合せください。
全熱交換器でお悩みでしたら、是非ご相談ください。
弊社では全熱交換器の導入・交換工事からメンテナンス、点検の維持管理までの実績がございます。 他にはできない全熱交換器の導入工事や工事不要の全熱交換器のご提案まで、現場に合わせたご提案を強みとしております。 是非お問い合せください。




普段は換気・全熱交換器に関わる工事、他には劇場関係の空調換気設備の修繕・保守を担当しております。
他にない換気・空調に関する情報をわかりやすく発信していきます。
●菱熱工業株式会社 社員
●開発商品(全熱交換器)の新聞社掲載情報(日本経済新聞社、月間HACCP、日刊工業新聞社)
●主な仕事内容:空調更新工事・保守メンテナンス・換気改善提案
●設備工事の妥当性を見極めるには、ある程度の設備知識が必要です。そんな知識を提供してより良い設備の保守・工事のご参考にしていただけますと幸いです。