全熱交換器の選定方法と計画時の注意点【設備計画入門】

全熱交換器は省エネの換気設備として、注目を集め続けております。
様々なメーカーが全熱交換器を発売しており、迷う方もいらっしゃるかもしれません。

全熱交換器を選ぶ際の基本となる、全熱交換器の種類を説明しております。
また全熱交換器を選ぶ際には、工事内容も加味して選ぶ必要があります。
初めて検討される方、知識がない方でも、選ぶ際の注意点を学ぶことができます。

最後の章には数多くの全熱交換器を扱ってきた設備会社が居室や事務所に特にお勧めできる業務用全熱交換器メーカーを2つご紹介させていただきます。
今回ご紹介させていただくメーカーはラインナップも多く、条件に合う全熱交換器が見つかるかもしれません。
取敢えず全熱交換器の有名なメーカーを知りたい、業務用全熱交換器で迷っているという方にお勧めの内容です。

   

全熱交換器の種類

全熱交換器の形状による種類

全熱交換器には形状や設置場所によって、簡単に4つにわけることができます。
どこに設置できそうか確認した上で、設置場所に合う形状の全熱交換器を選ぶことができます。
①天井埋め込み型
天井内に全熱交換器を設置し、室内からは完全に全熱交換器が見えない状態にできるのが、天井埋め込み型の全熱交換器です。設備機器が見えてしまうのは見栄えがよくない等、内装にこだわりがある場合に多く使用されています。しかし、天井から見ることが出来ないため、状況によってはメンテナンスに手間がかかる可能性もあります。
②天井カセット型
天井埋め込み型と同様、天井に全熱交換器本体を埋め込みますが、異なるポイントは機器の一部が室内から見ることができ、また天井と一体化することで目立たなくしている全熱交換器になります。天井埋め込み型も同様ですが、こちらは天井内に設置できるスペースがあるかが重要になってきます。
③壁掛型
室内側の壁に取り付けるものを壁掛型と言います。こちらはコンパクトな機種が多く、小さな空間に適することが多いです。
④床置き型
こちらは床に機器本体を設置できる形状のものになります。設置スペースにより室内が狭くなりますが、比較的目につきやすい為、換気アピールに使用できる場合もあります。

全熱交換器のエレメントによる種類

全熱交換器のエレメントにはいくつかの種類があります。
全熱交換器の対象とするエネルギー、エレメントの方式の2つの観点から分類することができます。
①対象とするエネルギー
全熱交換器の対象は顕熱と潜熱を合わせた全熱を、排気から給気へ移し替えることができます。顕熱と潜熱は温度と湿度のことであり、温度も湿度の両方の室内の変化を抑えたい時に有効です。
また顕熱(温度)だけを対象とした顕熱交換器というものもあります。こちらの機器は湿度はそのまま排気してしまいますが、温度だけ給気に移し替えることができます。
例えば室内の湿度が高いプールなどは、湿度を排出する為に顕熱交換器が有効になります。
②エレメントの方式
エレメントの形状には「回転式」と「静止式」の2種類あります。
回転式はエレメントをモーターで回転させることで熱交換を行う方式になります。
回転式のエレメントは蓄熱・蓄湿と放熱・放湿する性質を持っており、給気の空気の通路と排気の空気の通路の間を交互に通過することで熱交換を行うことができます。
処理する風量が大きい大型の全熱交換器で多く搭載されております。
静止式は名前の通りエレメント部分が静止した全熱交換器です。
静止式は温度・湿度の透過性を持つエレメントを使用しており、給気と排気は完全に別々の通路を通る為、給気と排気が完全に分けられています。
また回転させる為のモーター等の部品が搭載されていない為、比較的メンテナンス負荷が少ない方式になります。

全熱交換器工事の注意点

ダクト工事の注意点

全熱交換器の工事において、ダクト工事はとても重要な項目となります。
ダクトは空気の通り道となる設備です。全熱交換器を取り付ける際には、最多で4本のダクトの通り道を作らなければならなくなります。全熱交換器と室内を結ぶ給気用と排気用のダクト2本、全熱交換器と屋外とを結ぶ給気用と排気用のダクト2本の計4本のダクトが必要になります。
例えば新しく全熱交換器を取り付ける際、天井内に4本分のダクトを新しく設置すると、施工範囲が広い&工事期間が長くなる傾向にあり、それに伴い費用も割高になりやすい傾向にあります。

もし換気設備から全熱交換器に入れ替える場合には既存のダクトをそのまま使用できないか、換気扇の場合には換気扇の開口部分をそのまま使用できないかの検討をすることが重要になってきます。
外壁に近くの部屋であればダクトレスの全熱交換器を検討するのも有効です。
またダクトと接続する場合、部屋が外壁から離れておりダクトが長くなってしまう場合には、ダクトによる圧力損失を加味した機器選定を行う必要があり、ダクトが長ければ長いほど空気はダクトによる抵抗が増え圧力損失が増えます。抵抗の強さに合わせて機器の能力を大きくしなければならず、機器代が想像よりも高くなってしまったという場合もありますので、確認が必要です。
どのタイプが適しているかは専門業者に相談することをお勧め致します。

またダクト工事をする際に、結露防止・ダクト内のエネルギーを逃さない為に、保温材を巻く保温工事という工事が必要となる場合があります。
こちらは必ずしもすべてのダクトに必要ではなく、ダクト内の空気の温湿とダクトの周りの温度の差の状況によって取付けを行います。
こちらも抜け漏れがないかチェックが必要です。

全熱交換器のメーカー【お勧め】

ダイキン製の全熱交換器

ご存知の方も多いはずダイキン製の全熱交換器をご紹介します。
「空気で答えを出す会社」のCMをご覧になった方も多いはず
「環境負荷を減らしながら健康で快適な社会」の実現を目指し、環境課題へ挑み続けている会社さんです。
ダイキン製の全熱交換器では、省エネ換気機能が進化していることが、特徴の一つです。
人感センサーが搭載されており、不在時の無駄な運転を省く等が可能です。
またラインナップも多く、条件に適した全熱交換器が見つかるかもしれません。

写真引用元:ダイキンHP 高機能換気設備ベンティエール

三菱電機製の全熱交換器

もう一つ代表的なメーカー、三菱電機製の全熱交換器をご紹介します。
こちらは「ロスナイ」と言われることが多く、1970年に世界で初めて紙でできた全熱交換器です。
こちらも住宅向け、店舗・飲食店、学校向けと幅広い商品のラインナップが特徴です。
また約5~8割の熱エネルギーを回収することができ、省エネ効果が期待できます。

三菱電機には虫侵入防止用のユニットがオプションとしてございます。
虫の侵入を防止したい際には、そちらも併せてご検討ください。

写真引用元:三菱電機HP 業務用・設備用ロスナイ

まとめ

全熱交換器を設置する際には設置スペース、金額、どのくらいの風量が欲しいのか、空気の通り道はあるのか等環境条件から、トータルで判断しなければなりません。
その中でも工事費を削減することは、設置コストを抑え投資回収を早めることが出来る重要な項目です。全熱交換器でどのくらい光熱費を抑えることができるかと同じくらい、取付工事の費用は慎重に検討してみてください。
一度専門業者に工事のご相談をいただくことをお勧め致します。

作者名
設備
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