落ちないカビの効果的な落とし方|カビの種類・発生メカニズム・防カビまで理解

今回はなかなか落ちないカビについて、発生の原因、防カビ対策、落とし方の具体例、注意点をお話していきます。
適切な落とし方を知ることで、今まで落ちなかったカビがきれいになり、物が長持ちし、再発も防ぐことができます。

   

カビが発生してしまう原因

カビの種類・細菌との違いとは

・カビの種類について
よく見られるのはアオカビ、コウジカビ、クロカビですが、それぞれの場所の湿度によって生えるカビの種類が違います。 比較的湿度の高い水周りには黒色酵母様菌、フォーマ、ススカビ、クロカビなどが、湿度の低い所にはユーロチウム、コウジカビ、アズキイロカビなどが生えやすいです。
以下が代表的なカビとなります。

赤カビ:「フザリウム」と呼ばれる植物病原菌のひとつ
青カビ:空気中に常に浮遊しているため、パンやお菓子等に真っ先に生える
黄カビ:「カワキコウジカビ」といい、ガラスやフィルムなどに発生
緑カビ:木材に生えている「トリコデルマ(ツチアオカビ)」というカビ
白カビ:食べ物や建材等、いたるところに発生するが、青カビや黄カビの仲間であることが多い
黒カビ:「クラドスポリウム」と呼ばれる。そのほか、黒色酵母様菌、ススカビも黒色系カビで、繁殖場所が最も多岐にわたる

・細菌との違い
カビは、酵母、キノコを含めて真菌と呼ばれる微生物の一群であり、糸状の菌糸先端から栄養や水分を吸収しながら、伸びていきます。
「細菌」は大きさが0.5~5μmで、DNAを包んでいる核をもたない原核生物であるのに対して、「真菌」の菌糸の太さは5μm以上で核をもつ真核生物です。

カビの発生方法と発生条件について

・カビの発生条件について
カビの生育には水分が不可欠です。
低い平衡相対湿度でも生育可能な黒コウジカビでも平衡相対湿度が80%以下になると極めて発芽しにくくなることがわかっており、平衡相対湿度を60%以下に保持すれば、カビは全く生育できなくなります。
酸素濃度、ペーハー、圧力の調節で生育を押さえることは可能ですが、人が生活する環境においてあまり得策ではありません。
温度に関しては、カビの生育可能な温度領域が0~45℃となり、生育最適温度 (25~28℃)を避けたとしても生育を止めることはできないため、急激な温度変化が起こらないようにだけ気を付けましょう。
以下が主要な条件となります。
温度: 0~40℃(特に20~30℃)
湿度: 80%以上
栄養: 特に食物・埃・垢などあらゆるものが対象(無機物ですら対象となる)
酸素: 1%以上
上記の条件の中でいずれかを満たさないようにすればカビは発生しにくくなります。

・カビが増えるメカニズム
カビは大気中の胞子が落ちると、その場で根を張り始めます。そしてその場に水分と栄養がある限り、菌糸が伸び続けます。カビに胞子が出来ると胞子は大気中に飛び散ります。

防カビ対策

まずは体制の見直しから

カビの胞子は外気とともに流入し、栄養分と水があればどこでも繁殖してしまいます。繁殖予防には、水分制御と清掃が欠かせません。
継続した監視、記録と設備が必要です。設備については常に稼働状況を監視し、適宜更新が必要です。また、従業員が研修などを通して常に情報を集め、多様な対処法を身につけることができるようバックアップしていくことが必要です。

段階的なカビ対策

以下の4つに分けて解説していきます。
回避:利用できる水分量の抑制 例)水分流入阻止、空調、室間の差圧調整
遮断:栄養物/塵埃の低減 例)清掃、フィルターによる浮遊粉塵除去
監視:早期発見 例)点検
対処:除菌あるいは殺菌の選択 例)薬剤塗布、栄養物除去のクリーニング、換気・送風による高湿度防止、温度差解消、外部からの搬入物の除菌処置

・回避
クリーニングは専門の技術者に頼み、水分量を低減して、温度設定を見直しましょう。クリーニングを行わないと、繁殖していた微生物の死骸が保湿層を作り、新たな栄養となって次の被害を招きやすい点に注意が必要です。
外からの水分の流入を阻止するには、建物外周の水回りの始末に注意し、扉などの開口部をふさぐことが大切です。
また室内側を正圧にしておけば空気の流れが常に内から外に向けて作られ、水分や塵埃の流入を阻止できます。
除湿可能な送風装置で室内の温度むらを一様にできれば、カビ発生にもっとも影響する結露や高湿度たまりを解消できます。

・遮断
汚染物の持ち込みを抑制し室内のカビの量を低減することの他、空調機にHEPAフィルターを組み込む、空気清浄機を増設するなど、遮断には機器類のサポートも必要です。
塵埃発生の程度についても把握しましょう。

・監視
カビ被害の早期発見は、カビの生えやすい場所を集中的に監視する点検と、空間の各種計測などから空間の特性を把握してカビ被害の受けやすさを評価する方法があります。 
点検にも適した時期があり、当日の気候条件を検討して適している場合に行うことが重要です。

・対応
カビ被害の拡大を防ぐために、隔離する必要があります。カビが生えている区画への無駄な立ち入りを制限して、カビの生えている区画との空気交換を防ぎます。
湿度調整・換気・清掃などの適正な管理を怠ると、時間経過に伴い急激にその発生の危険性は増していきます。例えば、結露が原因であれば、温度差がなくなるように断熱補強や空調温度設定の変更などの方法で、空間全体をほぼ等温にするように変えていく必要があります。また空気溜まりを作らないようにする、全体的に湿度を下げるように除湿器を増強するなど、気流の確保と湿度管理も有効です。一般環境で見られるカビは大気中に含まれた土壌粉塵などが発生源であり、清掃による除塵、空調ダクトからの吹き出し空気の清浄化などの対策が必要です。

カビが発生してしまったら:落とし方

やってはいけない落とし方の具体例

防カビをしっかり行っていてもカビが発生することはあります。
カビを落とし始める前に、カビが発生してしまった時にやってはいけないことを紹介します。
・スプレーの吹きかけ(カビの胞子が広がります)
・掃除機(排気口から胞子が出ていき広がります)
・濡れた布でふき取る(水分はカビの好物です)
・お酢でふき取る(お酢はカビの栄養源です)
上記のように吹きかけたりむやみに擦る行為はあまり適切ではありません。

正しい落とし方の具体例

正しい対処法のポイントは薬剤の浸透と乾燥です。
・壁や天井は塩素系漂白剤(色がある場合は重曹、エタノール、クエン酸)を染み込ませた紙を貼り、浸透させる
・フローリングは無水エタノールを染み込ませた布で乾拭きする
・衣類や布製品は重曹水とエタノールを浸透、乾燥、天日干し
・水回りは水気を取ってから塩素系漂白剤を染み込ませたスポンジを押し当てる
カビには塩素系漂白剤が一番効果的ですが、素材を傷めやすいデメリットがあるため、中性・酸素系の薬剤を適宜使うことが重要です。

まとめ

・カビの悪影響
美観を損ねたり、カビ臭くなるだけではなく、アトピー性皮膚炎や喘息などのアレルギー疾患の原因になったり、稀に免疫力が低下した人へ感染を引き起こすことがあります。
また、カビ毒を産生する種類のカビが食品に発生し、それらを食べてしまうと健康に悪影響を及ぼす可能性やカビ自体がダニのエサにもなり得るため、衛生面で注意が必要です。

・カビがどうしても落ちないとき
薬剤をしっかり染み込ませた、それでも落ちない。そういう時は専門の方に相談するのも手です。
むやみに試すと繊細なものや大事なものが傷んでしまったり、汚れが悪化する原因にもなります。
専用の薬剤・方法で落とすことは快適な環境をつくり、モノを長持ちさせます。