植物工場生産性向上のために
植物工場の生産性を向上させるためには
前回のコラムで、植物工場の生産コストの中で電気代が多くを締めており
なかでも光合成を促すためのLED照明の電気代の割合が大きいことを示しました。
植物工場の収支の安定、黒字化のためには、いかに生産コストを下げるのかが大事だと考えられます。
具体的には単位消費電力量あたりの収量をいかに向上させるのか、という点が重要です。
植物工場生産の複雑性
植物工場という技術自体は30年ほど前から研究されていますが、まだ確率されていない部分も多く、様々な情報が飛び交っているのが現状です。
野菜に求める品質も、工場によって多種多様なため、求められる栽培ノウハウや必要な技術も生産現場によって異なります。
その多様性が状況をさらに複雑にしてしまっています。
また、「工場」という名称がついていますが、工業製品とは異なり、生き物を扱うために個体差も大きくなります。
さらに、生産期間の長さが更に状況を複雑にします。
通常では種まきから収穫までに1ヶ月ほどの期間を要します。
この1ヶ月の間で多くの環境要因の影響を受けることになります。
生産性向上ためのプロセス
それでは、生産性向上のために具体的にはどのようなプロセスをふめば良いのでしょうか。
生産性に影響を与える環境要因を一つずつ変化させ、どの条件で収量があがりエネルギーコストが下がるのか、
検証していくのは大変重要で間違いない方法であると考えられます。
ただしこの検証の課題としては、条件分岐の数が多くなりすぎて検証内容が膨大になってしまうことです。また前述の通り生産期間が長いために
一つ一つの検証に長い時間を要してしまいます。通常の工場生産を続けなからも多くの検証をしていくのは限界があります。
環境測定データ、工場生産プロセスの構造化
それでは、上記の課題を補う生産性工場生産性向上のプロセスについて考えてみます。
多くの植物工場では日々、野菜を生産、出荷されています。
生産の過程で温湿度などの環境要因を測定しており、収穫時には重量などが測定されますが
それらのデータは設備が問題なく稼働しているかどうかのチェック項目として活用されているにすぎません。
しかし、これらのデータを構造化して蓄積でき、日々の生産、出荷を毎回検証結果として蓄積できることを想像してください。
特に余計なコストをかけずに多くの検証結果を得られることになり、結果として生産性向上につながるはずです。