「全熱交換器とロスナイ」「全熱交換器と空調機」の違いを解説

「全熱交換器を調べていたらロスナイという言葉が出てきた」
「一般的な住宅・居室にあるような空調機・ルームエアコンでは換気ができないの?」と疑問をお持ちの方がいらっしゃると思います。

この記事では誰にでも分かりやすく全熱交換器とロスナイの違い、全熱交換器と空調機の違いをご説明しております。
それぞれの役割や意味をご理解いただける記事となっております。
全熱交換器が何か、他の設備と何が違うのか知りたいという方にお勧めです。
では、実際にどのような違いがあるのか確認してみましょう。

   

全熱交換器とロスナイの違い

全熱交換器とは

全熱交換器とは換気の役割を担う設備になります。
送風機を用いて換気する機械換気のうち、第1種換気に該当します。
第1種換気とは、給気用と排気用の2つの送風機が搭載された換気方式のことを指します。
詳しくは下記の記事をご覧ください。
記事『換気の種類を解説【第1種換気とは】』

全熱交換器とは換気により捨ててしまう空気の熱を回収し、給気に熱を移し替えることで、換気による室内温度の上昇・低下を抑えることができます。
結果として、エアコンの消費電力の削減に繋がる省エネ換気設備になります。
高機能換気設備と言われることもあります。

全熱交換器は一般的に4つの空気の流れを作っております。
●給気(SA)・・・換気設備から室内に供給される空気
●排気(EA)・・・換気設備から屋外に捨てる空気
●還気(RA)・・・室内から換気設備に送られる空気
●外気(OA)・・・屋外から換気設備に送られる空気

ロスナイとは

ロスナイとは、三菱電機製の全熱交換器のことを指しております。
全熱交換器の一つの区分けの意味合いになります。
1970年、特殊紙で構成された熱交換エレメントを始めて作り、三菱電機が販売開始した全熱交換器になります。
他の全熱交換器と同じく、熱を再利用することで省エネを図ることができる換気設備です。
引用元:ロスナイとは|三菱電機HP

またベンティエールという言葉をお聞きになった方もいらっしゃるかもしれません。
ベンティエールとは、ダイキン製の全熱交換器を指します。
引用元:ベンティエールとは|ダイキン・全熱交換器ユニット


各メーカーが全熱交換器に独自のブランド名を付けて販売しており、
それが三菱電機は「ロスナイ」、ダイキンだと「ベンティエール」になります。

全熱交換器(換気)と空調機(エアコン)との違い

全熱交換器(換気)とは

まず人が生活する空間における空気環境は、大きく2つの基準があります。
一つ目は快適な温湿度であるかの空気の温湿度環境、二つ目は空気中に含まれる粉塵や臭気、有害ガスなどの汚染に関する空気環境の2つの視点に分けることができます。

全熱交換器(換気)は二つ目の空気環境を維持する為に導入されております。
室内の空気は、下記の要素等により実は常に汚染されております。
・人の新陳代謝による熱・水分・二酸化炭素の発生、酸素の減少
・その他臭気や粉塵、喫煙
・機械から発生する熱やガス・蒸気

このような室内の室内の空気を清浄に保つ為には、空気中の汚染物質を十分に除去し、新鮮な空気に入れ替える必要性があります。
全熱交換器及び換気は汚染物質の室内からの除去と、新鮮な空気の入れ替えを目的とした室内の空気と外気を入れ替える役割を担っております。

空調機(エアコン)とは


全熱交換器及び換気は空気の浄化を目的としておりましたが、空調機は1つ目の温湿度環境の維持を目的としております。空気の温度・湿度を使用目的に合わせた状態に保持する役割を担っております。

一般的に室内温度は外気の温度に影響されて変化しています。夏場はエアコンをつけないと、外気の温度が高くなるにつれて室内も暑くなり不快に感じます。
そこで空調機は室内の温湿度を、人が快適に生活や仕事ができるように保つ役割を担っております。
他にも、人以外の物品の製造や貯蔵に必要な室内の温湿度に保つ役割でも使用されます。

空調機は室内の空気を吸い込み、吸い込んだ空気を空調機内で温度を調整し、再び室内に吹出す循環の空気の流れになります。
それに対して、換気は空気の入れ替えであり、外気と室内の空気を入れ替え室内の空気を清浄に保っております。
空調機は室内の空気を循環させているだけなので、空調機では換気できていないことがわかります。

ところで、空調機が吸い込む空気を外気にすれば、温湿度の調整をしながら換気もでき一石二鳥ではと考えられる方もいらっしゃるかもしれません。
ですが、家庭用の空調機ではそのような商品はほぼございません。
何故でしょうか。

理由は省エネ性が関係していきます。
例えば、夏場に冷房したい時に、ある程度冷やされた室内の空気25℃と外気35℃をそれぞれ冷やした場合、どちらが多くのエネルギーを使用するでしょうか。
25℃の空気を15℃に冷やすエネルギーと、35℃の空気を15℃に冷やすエネルギーは前者の方が少なくて済みます。エネルギーは電気代と考えていただいて大丈夫です。
要するに外気を冷やすよりも、室内の空気を改めて冷やす方が、少ない電気代で済むということになります。

他にも建物の開口を大きくしなければならないという工事費用のデメリットもあります。

このようなデメリットから多くの空調機に換気機能がついておらず、
一般的に換気と空調機はそれぞれ別の機器を設置しているのが一般的です。
※全ての空調機が該当するわけではございません。

※番外編 顕熱交換器・外調機との違い

顕熱交換器とは、全熱交換器の熱エネルギーのうち温度エネルギーのみを再利用する換気設備になります。湿度はそのまま排出することが出来る為、全熱交換器と比較して室内が高湿度の浴場やプールなどに向いている商品となります。

外調機とは外気処理空調機の略称であり、名前の通り取り入れる外気の温湿度を調整する空調機です。外気を取り込みつつ、外気の温湿度を調整することで、外気負荷を下げる専門の設備になります。公共施設や劇場など多くの外気量を取り入れなければならない場所で導入されており、全熱交換器との大きな違いは温湿度を調整する為の熱源が他に必要になります。
※全熱交換器はエレメントを通して熱交換を行っており、空気を温めるもしくは冷やす為の熱源は搭載されていない

まとめ

全熱交換器とロスナイ、全熱交換器と空調機の役割の違いをご理解いただけたでしょうか。
昨今の感染症対策において、室内のウイルスの除去という意味合いにおいて、換気を注目されましたが、空調機との違いも同時に注目を集めるきっかけとなりました。
全熱交換器に似た顕熱交換器、外調機など様々な商品があり、悩むことも多くあるかと思います。一度、専門家に問い合せる方が良いかもしれません。

※今回は一般的なよく目にする空調機の場合でしたが、他にも様々な種類の空調方式がございます。ここでは触れておりませんが、実際に省エネ性の課題をクリアした空調機能と換気機能を組み合わせた業務用の空調機もあります。

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