食品工場の冷却とロス削減と美味しさの関係【真空冷却・冷却装置】

コンビニで目にするおにぎりやお弁当がどのように製造されているかご存知でしょうか。
そこには食品の安全性を守る為、様々な工夫がされております。
その中の一つに食品の冷却がございます。
食品を冷却しなければならない理由、どのような冷却方法があるのか、
冷却が及ぼす食品への影響・課題をご紹介していきます。
冷却ひとつで食品工場は大幅な改善が可能です。

食品の冷却で悩まれている方に是非見ていただきたい内容となっております。
冷却の重要性、最適な製造との両立に関して、ご理解を深めていきましょう。

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食品工場における冷却とは

食品を冷却する理由

普段コンビニや外食店舗で目にする食品の内、食品工場で生産された食品が実は多く存在しています。厳しい衛生管理の中、大量に食品を製造するために様々な工夫やルールが設けられています。
そのルールの一つに食品の温度管理というものがあり、作り立てのホカホカの食材も敢えて冷却する必要があることをご存知でしょうか。

なぜ冷却するのか、理由を説明致します。
まず食品工場の重要工程を管理し製造食品の安全性を確保するために「HACCP」というルールが設けられ義務化されることになりました。
HACCPでは食中毒予防の三原則の有害な微生物を「付けない」、「増やさない」、「殺す」ことが重要であり、温度管理は食中毒予防の「増やさない」「殺す」に関わります。
温度管理には加熱と冷却で大きくわけることができます。
・加熱
加熱は高温で一定時間熱を加えることで、菌を死滅させることができます。身近な例では、普段スーパーで購入する肉は半生で食べると体調を崩すことがあります。ですが、しっかりと加熱できていれば肉の中の最近は死滅して体調を崩すことはありません。
・冷却
冷却は低温で一定時間食品の熱を逃がすことで、菌の増殖を抑えることができます。身近な例で言いますと、余った料理を近々食べる予定がない場合に冷凍庫に保存しておくことがあるかと思います。冷蔵庫よりも長く維持することができ、低温が菌の増殖を抑えるのに影響しているかはイメージがつきやすいと思います。
また前述した加熱をした後で、冷却する場合もあります。加熱した後に食品を室温でおいておくことで、食品の温度がある程度下がってきてしまうと微生物が増殖する可能性があります。微生物が繁殖しやすい20~50℃の間の時間を如何に短く冷却をするかの冷却スピードも大切です。
こちらで食の安全に冷却が重要だということはお分かりいただけたでしょうか。

食品の冷却方法

次に食品の冷却方法を簡単に説明致します。
●温度差を利用した冷却
冷たい空気や水により食品を冷却する方法があります。最もポピュラーな冷却方法でして、冷蔵庫等も冷やされた空気が庫内にある製品との温度差により冷やされています。また工場では冷水を溜めた水槽で食品を冷却する方法もあります。

●圧力による冷却
真空冷却と言われ、食品を真空状態にすることで、食品を冷却する方法です。真空にすることによって、食品に含まれる水分が沸騰・蒸発し、その時の蒸発する熱(気化熱)で食品の熱を取り除き冷却する仕組みです。

具体的な真空冷却の仕組みを見ていきましょう。
水は圧力が下がると、蒸発温度も下がっていく性質があります。
よって圧力を下げた状態での水は、低い温度でも蒸発することができます。
また蒸発する際に熱が必要となる為、周囲の物体から吸収した熱(=気化熱)を利用して気体への変化します。
真空冷却器はこちらのメカニズムを利用し、気化熱により冷却しています。
あえて真空・減圧にすることで、蒸発しやすい環境にし、気化熱により食品を冷却する方法です。


今回は2つに大別しておりますが、食品の冷却方法は細かくは様々な種類があります。
冷水につけることのリスクが確認とれているか、
冷蔵庫で温度ムラは問題ないか、
衛生管理面で微生物の繁殖のリスクが最も防げるか、
の様々な視点での検討が必要となります。

次は実際に冷却工程がどのように生産工程に組み込まれているのか、どのようなことが重要なのか例を載せております。

製造工程(おにぎりの場合)

お米の下処理工程

続いて実際の冷却までの製造工程をおにぎりの例で見ていきましょう

まずはお米の下処理を行います。
●洗米
まずは精米された白米を洗米機で洗います。家でお米を研ぐのと同じ工程です。ヌカをを洗い流す為に行い、各工場によって回数やお米を傷つけないこだわりが見られます。
●浸漬
耳なじみのない言葉かもしれませんが、洗ったお米をタンクの中で水に浸す工程です。お米の内部まで水を浸透させることを目的としており、より美味しいお米を炊く為に必須の工程です。

おにぎりの製造工程

続いておにぎりの製造工程へと移ります。
●炊飯
お米と水を釜の中に入れ、炊飯機によって炊き上げます。季節に応じて水の量の設定を工夫するなど、最良の仕上がりになるよう細やかに量が決められています。炊きあがったご飯は手早くほぐし粗熱を取ります。
●HOT成型
成型は、御飯をおにぎりの形にする事を指します。その中でもHOT成型は、御飯を温かいうちに成型する事でおにぎりを食べた時の「食感の追求」と「おにぎり1個当たりの歩留の向上」を目的に行われます。
●冷却
最後にご飯を冷却することで菌の発生を防ぎます。安心して食べられる食品を提供するには必須な工程です。

その後包装や検査が行われます。またおにぎりの具材は御飯の冷却後に入れます。これも具材の温度上昇による菌の増殖を抑える為です。また具材自体も消費者の手に届くタイミングでご飯と具材がなじむように工場の段階では味付けに工夫がされています。

実は食品の冷却はとても難しく、課題が多く存在しています。冷却による食品の中心と表面の温度のバラツキ、歩留りの悪化や食感の悪化・食品自体の分離、冷却効果を得る為の別食材添加等、様々な事象がある中で食品製造(下処理・加熱・成型・冷却)は研究・開発され、皆さまの食卓に届けられてます。
食品の冷却は一筋縄ではいかないですね。
温かい食事を頂くことが一番かと思いますが、様々なロケーション上では冷却された加工食品を頂きます。安心・安全な食品の提供には冷却は欠かせません。

まとめ:食品の冷却は製造コストと美味しさの鍵

食品の安全性を守る為、冷却が重要であることはご理解いただけたでしょうか。
安全な食を提供するために、食品工場では厳しいルールに乗っ取って食品が製造されております。

しかし、食品の安全性を守る為の冷却が製造工程において、新たな課題を生み出すこともあります。おにぎりの例では、固まりになりやすかったり、計量が不均一になりやすい事による製造ロスの発生にもなっていたりします。ですが、昨今の食品流通では冷却工程は絶対に無視できない存在です。
おにぎりの場合、冷却方法を変えたことで解決できた事例もあります。
冷却一つ変えたことで、歩留りの向上や添加物の削減と大きな変化をもたらしております。
食品工場における冷却を見直す機会にしていただけたら幸いです。

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