中性能フィルターとプレフィルターの関係【メンテナンス方法も解説】

空調システムの効率と品質を保つためには、中性能フィルターとプレフィルターの正しい理解が不可欠です。本記事では、それぞれの機能と役割、さらに適切なメンテナンス方法まで詳細に解説します。フィルターの正しい扱い方をここで学ぶことができます。

   

中性能フィルターとは

中性能フィルターの役割と基本機能

中性能フィルターは、エアフィルターの中でもきめ細かな粒子を除去する役割を担います。主に産業現場やオフィスビル、病院、映画館などの空調システムに組み込まれます。中性能フィルターは、微細な塵やアレルゲン、バクテリアなどの有害物質を捕捉します。特にアレルギー体質や免疫力が低下している人々がいる環境では、中性能フィルターの役割はより重要になります。

中性能フィルターは空気中の異なるサイズの粒子を効率的に捉えることができます。通常だと、1㎛から5㎛程度の粒子を捉えることができ、これには花粉やダニ、細菌などが含まれます。また、フィルターの材質や構造は多種多様で、それぞれが特定の用途に最適化されています。空気の流量や除去したい物質の種類に合わせて中性能フィルターを選定することが大切です。

中性能フィルターの空調システム内での位置と役割

中性能フィルターは、多くの場合、空調の吸収口の近くに設置されます。
中性能フィルターには空気を綺麗にするだけではなく、システム自体の保護（コイルや送風機などの部品にダストやその他の微粒子が付着することを防止する）により、装置の寿命を延ばす役割もあります。また、保守メンテナンスのコストや手間を削減することもできます。

中性能フィルターとプレフィルターの適切な設置方法

プレフィルターとは：重要性について

プレフィルターとは、主に大きな粒子を捕らえるために使用されるフィルターで、中性能フィルターよりも前段に設置されることが一般的です。プレフィルターは初期段階でダストや毛髪、大きな粒子を捕捉することにより、後段の中性能フィルターの負荷を軽減します。これにより中性能フィルターの寿命を延ばし、効率を維持することができます。プレフィルターは性能維持のために定期的な清掃や交換が必要です。そのため、交換作業が容易に行えるような設置が推奨されます。

設置の手順

中性能フィルターとプレフィルター上手く組み合わせることは重要で、組み合わせにより大気中の粒子や汚染物質を効率よく除去できます。では、これらのフィルターをどのように適切に設置すればよいのでしょうか。

①フィルターが設置される場所を清潔にし、フィルターがぴったり収まるようにサイズを確認します。
②プレフィルターを設置し、その後に中性能フィルターを取り付けます。この時、フィルターの気流の方向に注意して取り付けます。また、フィルターの周囲に隙間ができないように、フレームやパッキンを装着します。

フィルターのメンテナンスについて

フィルターの交換・清掃について

中性能フィルターの交換時期
交換時期は使用環境やフィルターの種類によって異なりますが、一般的にはフィルターの汚れ具合や劣化状況によって決定されます。

中性能フィルターの交換時期のサイン
空調の風量が急激に落ちた場合や、特定の嫌な臭いがする場合は、フィルターが詰まり始めているサインです。また、空調システムから異音が聞こえるようになったり、室内のほこりが目立つようになったりした場合も、フィルターの交換時期が近いことを示唆しています。これらのサインが見られたら、早急に専門家に相談するか、メンテナンスマニュアルなどを参照して、メンテナンス作業を行うべきでしょう。

フィルターの清掃とメンテナンスの頻度
清掃の頻度は使う環境によって異なりますが、一般的には3か月に1回が目安とされています。ただし、空気の汚れ具合や、フィルターが捕集する粒子の種類にもよって、清掃するタイミングを調整する必要があります。例えば、花粉の多いシーズンや、砂埃が舞う地域においては、より頻繁な清掃が必要になるでしょう。

フィルター寿命を左右する要因とは
空気中の汚染物質の濃度、空調システムの稼働時間、気候や使用環境の条件などがあります。高濃度の汚染物質が存在する場所や24時間稼働しているような施設では、フィルターはより頻繁に交換する必要があります。また、湿度が高い環境や塵埃が多量に発生する環境も、フィルターの劣化を加速させるため、注意が必要です。

メンテナンスで気を付けること

圧力損失が過度に大きくなると、エアハンドリングユニットの能力を超えてしまうことがあります。圧力損失とは、空気がフィルターを通過する際に生じる抵抗のことで、フィルター材質の種類、密度、空気の流速などによって変動します。中性能フィルターやプレフィルターが汚れてくると、その抵抗が増し、圧力損失も大きくなります。圧力損失が大きくなるとシステムの効率を著しく落とすため、メンテナンスでは圧力損失を測定し、フィルターが汚れている場合は、その交換や清掃を行なうことが大切です。フィルターの清掃や交換のタイミングは、圧力損失の数値を定期的に監視することで判断ができます。

フィルターの効率を上げる方法

フィルターが詰まると、空気の流れが阻害され、冷暖房装置が必要以上にエネルギーを消費することになります。こうした無駄なエネルギーの消費は、光熱費の増加のみならず、環境への影響も懸念される問題です。詰まりを未然に防ぎ、フィルターの性能を長持ちさせるための方法をいくつかご紹介します。

①フィルターを定期的に点検し、汚れが見受けられたら、適切なタイミングで清掃あるいは交換する
②多くのホコリや花粉が飛び交う季節には、それに合わせたメンテナンスを行う
③フィルターの目詰まりを避けるために、空気中の大きな粒子を先に除去するプレフィルターを活用する

エアフィルターの効率を最大化するコツ
フィルターを定期的にチェックし、適切なタイミングで交換を行うことはもちろん、フィルターの種類や設置環境に応じた選定が大切になります。また、空調システム全体のメンテナンスを怠らないことも、フィルター効率を長期間キープするためには重要です。

効率を決定する要素
効率を決定する要素にはフィルターの種類と品質があります。また、フィルターの目の細かさ、材質、そして捕集する粒子のサイズといった特性も重要な要素です。

効率的なフィルターシステムの設計
設計には、フィルターの配置の仕方、使用するフィルターの種類、そして空調システムの要求性能を満たすための適切なフィルター選定などが含まれます。フィルターシステムを効率的にするには、システム全体での空気の流れをスムーズにし、フィルターが十分な性能を発揮できるよう、適切なサイジングと配置を検討しなければなりません。また、フィルター自体の保守が行いやすい設計にすることも、長期的な効率維持には不可欠です。こうした細かい点に配慮したフィルターシステムの設計により、清潔な空気を効率よく提供し続けることができるのです。