空調換気の省エネ方法とは|設定温度と設備計画

電気代が上がり続ける今、省エネをお考えの方も多いと思います。
こちらでは省エネの基礎知識、主に空調換気に絞った内容でわかりやすく解説しております。
空調換気の省エネの基礎知識を載せておりますので、是非ご参考にしてください。

   

空調の電気代と省エネ技術

空調の電気代が高騰傾向の理由

空調の省エネを検討・計画する前に、一度空調機のエネルギー費用に関係する推移を確認していきましょう。

空調機の主なエネルギーは電気になります。
電気代は近年上がる一方になっております。
下の表からは、2010年から2019年にかけて産業用の電気料金は25%も上昇しております。
2010年の13.7円/kWhから2019年の17.0円/kWhの変化を、オフィスビルの電気使用量が1630kWhの条件で試算してみると、
①2010年
 13.7円/kWh×1630kWh=22,331円
②2019年
 17.0円/kWh×1630kWh=27,710円
差額で5,379円が出てきます。こちらが使用量や年月が積み重なると大きな差額となってきます。
電気代の高騰の原因の一つとしては、火力発電の際に必要な燃料の輸入価格の上昇が考えられます。今後も燃料の輸入価格が上がれば、電気代も共に上がっていく可能性は十分に考えられます。
特に設備機器の多い施設・工場は、更なる電気代の高騰も予め予測していくことが大切になります。

また日本の年平均気温に関しては、様々な変動を繰り返しながら上昇しており、長期的には100年あたり1.28℃の割合で上昇しています。特に1990年代以降、高温となる年が頻出しています。(引用元:気象庁HP「日本の年平均気温偏差の経年変化」)
このように電気代高騰以外にも、夏場においても外気温を冷やす負荷が高まっており、そちらも電気代が上がってしまう一つの原因となっております。
先程の電気使用量の試算では、同じ使用量で計算していましたが、実際には使用量自体が増えている場合が考えられます。

空調設備は生産設備と違い、電気使用量を増えても直接利益には結び付かない機器になります。如何に空調設備の電気使用量を抑え、経費を抑えるかが大切になります。

写真出典:発受電月報、各電力会社決算資料を基に作成原油CIF価格:輸入額に輸送料、保険料等を加えた貿易取引の価格

空調の省エネ技術

空調機の電気代を削減するには、省エネが大切になります。
省エネには様々な方法がありますが、空調機の省エネも年々良くなっております。
空調機を最新の機種に更新するだけでも、省エネ効果が見られる場合もあります。

人の状況や温度を見極めて風を送る高性能の省エネ空調機も出てきております。
昨今ではAPF値が省エネの基準となる指数にもなってきております。
従来まではCOPという指標に基づいて考えられておりました。
COPもAPFも共に空調機の運転効率を示す指標になっております。
COPとは定格冷房・定格暖房時の消費電力1kW当たりの冷房・暖房能力を示したものになります。
COP=定格能力(kW)÷定格消費電力(kW)
で求められます。
しかし、こちらのCOPはある一定の温度条件での指標であり、それに対してAPFは年間を通した能力と消費電力で計算する為、実際により近い運転効率を示すことができます。
APFは1年を通して、一定条件のもと空調を使用した場合の消費電力1kWh当たりの冷房・暖房能力を示したものになります。
APF=1年間冷暖房で発揮した能力(kWh)÷1年間冷暖房の消費電力(kWh)
で求められます。
APFもCOPも共に数値が大きいほど、効率の良い空調機となります。
より高い省エネ性能を求められる方は、参考値としてご確認ください。
また補助金の対象機種の基準となることもありますので、注意が必要です。
記事:企業が行う省エネメリットと補助金とは

空調の省エネ計算と設定温度

空調の省エネ計算(設定温度)

環境省の「温室効果ガス排出削減等指針」によれば、一般的に冷暖房温度を1℃緩和することで、熱源設備で消費されるエネルギーは約10%削減できると言われております。
過剰な冷暖房の設定温度を利用者の快適性を損なわない範囲で緩和し、CO2排出の削減を図ることを目的としています。
【概要】
建築物における衛生的環境の確保に関する法律、及び、労働安全衛生法における温度基準の範囲内(17℃以上28℃以下)の室温となるよう冷暖房機の設定温度を見直すとともに、設備運転のこまめな調整を継続的に行う

推奨の室温としては、夏期28℃、冬期20℃とされております。
しかし室温=エアコンの設定温度ではないので、注意が必要です。
設置環境や周辺環境によっては、28℃の設定にしても必ずしも28℃にならない場合があります。正確に室温を28℃に保ちたい場合は、別途温度計を準備して確認しながら温度設定を行うことが大切です。
特に人が常時滞在していない共有部等の積極的な検討が勧められています。
無理のない範囲で取り組むことを是非ご検討してみてください。

空調の省エネ対策・方法

続いて、実際の省エネの方法を確認していきましょう。
建築・設備の基本的な省エネ計画の考え方は、
①建物自体の熱負荷を軽減すること
②自然を活用すること
③性能の高い設備システムを構築すること
④適正に運転管理をすること
になります。
①と②は主に建築側、③と④は主に設備側の計画と運転管理からの見直しが必要になります。
省エネを考える際は、建築と設備の両面から考えなければなりません。

建築側での対策としては、風除室の設置や、屋上壁面緑化、屋上散水、ガラスの断熱性の向上、日射の遮蔽、気密性の高さ等が考えられます。

設備側での対策は以下の通りです。
抜粋してご紹介している為、詳細はお問い合せください。
①全熱交換器
換気による捨てられる空気と、室内に送り込む外気の間で熱回収を行い、外気による空調負荷を軽減させる方法です。お手洗いや厨房等では使用できない為、注意が必要です。

②取入れ外気量の制御
外気取入れ量を制御により減少させることで、空調負荷を軽減させることができます。
例えば、二酸化炭素濃度や人の在室の有無によって、不必要な場合には外気を取り入れないシステムの導入することもできます。

③外気冷房
室内よりも外気温の方が低い場合、外気を利用して室温を下げる方法です。

④コージェネレーション
コージェネレーションシステムは、燃料でエンジンなどの原動機により発電し、同時に発生する排熱を利用して蒸気供給、温水供給、冷水供給を行うものです。

他にもファンやポンプ関連の無駄なエネルギー消費を抑える、各設備の設定を変更することでも省エネを図ることができます。

記事:映画館の空調制御システムとは</a>
記事:全熱交換器の基礎知識|メリットと仕組み
記事:コージェネレーションとは|排熱から発電を!
記事:カーボンニュートラルから考えるバイオガス発電の未来

まとめ

電気代が上がっている今、省エネを無視できない存在になってきています。
建築や設備など多角的に見直すことができ、検討の幅も広いです。
省エネシステムを導入したほうが良いのか、それとも設備運用の見直しが必要なのか、
エネルギーの無駄がないのかを見直すことが重要になってきます。

私達の生活で必ず電気を使用しており、時間経過とともにエネルギー費は積みあがっていきます。省エネ対策はお早目にご検討いただくことも重要です。

作者名
設備
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