飲食店におけるエアコンのエラー

 飲食店において、エアコンは夏場の生命線です。しかし、エラーが発生して数週間の間冷房が使えない…ということも珍しくありません。エラーを未然に防ぐにはこまめな清掃が欠かせませんが、「ただでさえ忙しいのにエアコンなんて気にしていられない…」という声もあるでしょう。
 本記事ではエアコンを掃除しないと何が困るのか簡単に解説しています。効率の良い対処法も紹介しているので、ぜひご覧ください。

   

エアコンを掃除しないとどうなるか

電気代が上昇

 エアコンを掃除せずにいるとほこりが内部にたまり、電気代が上がってしまうことがあります。
 店舗などにみられるエアコンは、一般的に熱交換器と呼ばれる金属の管と板を組み合わせた部品が入っています。夏の場合、管を通った冷たい液体(冷媒)が、熱交換器全体を冷やし、その熱交換器に触れた空気を吹き出すことで、冷房の冷たい風が出てくる仕組みになっています。
 しかし、ホコリがこの熱交換器を覆ってしまうとせっかく冷やした熱交換器が空気としっかり触れ合わないので、空気が十分に冷えなくなり、効率が落ちてしまいます。
部屋が冷えないとエアコンは頑張り続けるので、効率が落ちたまま運転し続け、結果電気代が上昇してしまいます。

カビや菌の温床に

エアコンはカビが発生する可能性が非常に高いです。エアコンは冷房運転時に内部で結露水が発生します。湿気がおおいためとてもカビが発生しやすくなっています。数年清掃せずにいたエアコンはかび臭いだけでなく、カビの胞子が風に乗って拡散してしまうこともあります。
また、特殊な例ですがエアコン内部で細菌が増殖する可能性もあります。レジオネラ症は加湿器や浴槽からの感染が報告されていますが、空調機の結露水うけ(ドレンパン)もレジオネラ属菌が増殖する可能性があります。そのためもあって、一部のビルなどではエアコンのドレンパンを月に1回チェックし、必要なら清掃するように定められています。https://www.mhlw.go.jp/bunya/kenkou/seikatsu-eisei10/

エラーにつながることも

ドレンエラー

エアコンの清掃を怠るとドレンエラーが発生することもあります。代表的なエラーはドレンエラーです。店舗に多く見られる天井カセット型エアコンでは、発生した結露水(ドレン)は、ドレンパンにたまり、ポンプによって排出される仕組みになっています。
しかしドレンパンを掃除しないと、菌やカビが殖え、スライムと呼ばれるヘドロ汚れが発生することがあります。スライムが多くなるとドレンポンプが詰まってしまい、水の排出ができなくなります。これがドレンエラーです。ドレンエラーは水漏れが発生することもあり、飲食店などの悩みの種となっています。

飲食店の事情

飲食店においては、オフィスや一般家庭以上にドレンエラーが発生しやすい環境であるといえます。来客が多いということはそれだけほこりや繊維が舞いやすいということで、エアコンに吸い込まれる空気は悪くなっていきます。加えて飲食物由来の物質がエアコンに悪影響を及ぼすことがあります。
例えば、ステーキやハンバーク業態では、お客様に提供された肉が常に油煙を発しているので、エアコンにも油煙が吸い込まれていきます。この油煙がエアコン内部に蓄積していきスライムの栄養となってしまうので、ドレンエラーの発生率は高まるといえます。

エアコン汚れの対策

エアコン洗浄

以上のようなカビ発生、エラーなどの問題を解決するには、やはりエアコンのクリーニングが欠かせません。特に飲食店ではエアコンの台数が多く、一般家庭より汚れが多い傾向にあるので、より必要性は高まります。とはいっても店のクルーでできる清掃には限界があります。
専門業者ならば、エアコンを分解して熱交換器の洗浄からドレンパンの清掃までやってくれることがほとんどです。1年に1回程度の定期的な清掃を行うことで、エアコンを清潔に保ち、寿命を延ばすことが期待できます。

フィルターの清掃

洗浄以外にも、エアコンを快適に使用するために店舗でできることがあります。エアコンのフィルターを定期的に洗うことです。フィルターはほこりなどですぐに目詰まりするので、完全に詰まって風が通らなくなる前に適宜洗ってあげることが大切です。
そしてもう一つ有効な対策が、不織布フィルターを導入することです。エアコンのフィルターに挟むようにして不織布フィルターを取り付けると、エアコンにホコリや油煙などが入りにくくなるので、エラー発生を低減することができます。また、上述のフィルター自体の汚れも少なくなるので、掃除の手間も省けます。不織布フィルターは使い捨てなので数週間ごとに取り換えるだけで済むので、時間もとりません。費用対効果に優れた対策と言えるでしょう。

エラーが起きる前の対策が重要

エアコンは掃除を怠ると電気代が上がる、カビが繁殖するといったデメリットがあるだけでなく、エラーが発生すると大きな損害になります。
日ごろの清掃に加えて、業者による空調機洗浄、不織布フィルターの採用などによって事前に対策をうっておくことが大切です。