厚生労働省から『「換気の悪い密閉空間」を 改善するための換気の方法』の発表がありました。
こちらには推奨換気量の基準の記載があります。
しかし馴染みのない方は、今本当にその基準を満たしているのか、確認するのも大変だと思います。
そこで本記事では知識はないけれど換気量の確認をしたい方・軽く知っておきたい方へ
簡単にわかりやすく換気量とは何か、換気の計算方法をご説明しております。
ご自身で換気の基準をクリアしているのか確認してみましょう。
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換気量とは
換気量の単位
皆様ご存知の通り、換気とは室内の空気を外の空気と入れ替えることを言います。
換気は部屋の中の異物や臭気、湿気、有毒ガスなどを屋外に排出して、健康維持の観点から室内環境を整える目的で行われています。
昨今の感染症対策もウィルスを外に排出して、感染対策を実施している一つの指針として注目を集めていました。
また換気量とは外の空気と室内の空気を入れ替えた空気量のことで、どのくらい換気をしたのかの一つの指標になります。
換気量を示す単位としては、㎥/hと回/hの2種類がございます。
●単位「㎥/h」
換気量の指標㎥/hはCMHでも表します。
㎥/hの単位は共に1時間当たりに、どのくらいの空気体積が入れ替わっているのかを示しています。
例えば、20㎥/hであれば、1時間に20㎥の空気が入れ替わっています。
稀に単位が㎥/hではなく、㎥/minの表示の場合があります。
㎥/minは1分間当たりに、どのくらい空気体積が入れ替わっているかを示しております。
こちらは先程の1時間単位との違いがあるため、以下の計算で単位を揃える必要があります。
●㎥/h=㎥/min×60分
●㎥/min=㎥/h÷60分
こちら計算する際には、注意が必要です。
実際の風量は換気設備の仕様表記、もしくは測定することで確認することができます。
●単位「回/h」
もう一つ換気量を表す際に使用する単位換気回数(回/h)について説明します。
こちらは部屋の空気を、1時間で何回分入れ替えることができるのかを示しております。換気回数2回という使い方をします。
部屋の容積を基準とした考え方になり、部屋の大きさにあった換気量が確保できているのかより明確にできる基準です。
例えば、10㎡のお部屋で2mの高さがあったとします。
部屋の容積は20㎥になり、20㎥/hの換気ができていたとします。
その場合は、1時間に部屋容積1回分の空気量が入れ替わっていることになり、
換気回数1回/hとなります。
お部屋のサイズを基準にした単位になります。
こちらは基本的に1時間あたりの単位が一般的となっており、
㎥/minの単位となっている場合、単位を合わせるための計算が必要となります。
記事:換気の能力とはを解説【換気量と静圧の確認の仕方】
換気量の計算方法
人数で必要換気量を算出する方法
では、実際にどのように換気量の計算はできるのでしょうか。
誰でもできる基礎的な計算の例を元に見ていきましょう。
感染症対策で一般的に推奨換気量は30㎥/h・人と言われております。
こちらは厚生労働省が発表している基準となり、この基準で計算していきましょう。
そもそも30㎥/h・人とは、一人当たりにつき1時間に30㎥の換気をしてくださいという意味になります。
一つの部屋に2人居る場合
30㎥/h・人×2人=60㎥/h
こちらは必要換気量と言われ、感染症対策を満たすのに必要な換気量になります。
対象の部屋に関して、感染症対策を満たす必要換気量を確保するには、1時間当たり60㎥の空気を換気してください、ということになります。
対象の部屋に最大で何人入るのかを決めてしまえば、人数の部分を置き換えることで簡単に必要な換気量が求まります。
こちらを換気回数の単位に計算する場合は、
例えば、対象の部屋が10㎡のお部屋で2mの高さがあったとします。
部屋の容積は20㎥となり、部屋の換気量は60㎥/hとなります。
60㎥/h(換気量)÷20㎥(部屋の容積)=3回/h
以上のように、60㎥/hの換気を行うことで、部屋3個分の容積の空気を1時間で入れ替えることがわかります。
60㎥/hの換気量が対象の部屋に対して十分な換気量なのかが、判断しやすくなります。
既存換気量から人数を算出する方法
先程の計算式とは逆に、既存の換気量から人数を求める方法もあります。
こちらは「換気を増やすことができない」「すぐに対応できない」という方にお勧めの方法です。
こちらの計算を行うことで、感染症対策を行いたいができない場合に、
感染症対策における必要換気量の基準で満たされた人数の人数制限を設けて円滑な対策を可能とします。
まず現状の換気量の確認をする必要があります。換気量の確認は実際に測定を行うか、機器本体もしくは設備資料に記載されている仕様表示で確認ができます。
記事:風量測定の仕方を解説
例えば、ある部屋の換気量が90㎥/h現在あったとします。
感染症対策の換気基準を満たそうとした場合、
現在の換気量から何人まで部屋に居られるかを求めることができます。
ある部屋の現在の換気量が90㎥/hだった場合
90㎥/h÷30㎥/h・人(換気基準)=3人
この部屋は感染症対策の換気基準を満たす場合は、3人まで同時入室が可能です。
こちらを計算することで、換気量を増やす対策をしなくても、在室人数に規制をかけて基準を満たすことが可能です。
まとめ:現在の換気量又は入室人数を確認しよう
換気には㎥/hと回/hの2つの単位があることはご理解いただけたでしょうか。
最後の現在の換気量に合わせて人数制限を設けてしまうことが、簡単にできる感染症対策です。
しかし、そちらには現在の換気量の確認もしくは測定が必要となります。
調べてもわからない場合は、専門家にご相談することをお勧めいたします。
また換気を増やす際にも、容量を大きくしたファンに入れ替えるだけでは不十分な場合もあります。
計画時点で一度お問い合わせください。
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普段は換気・全熱交換器に関わる工事、他には劇場関係の空調換気設備の修繕・保守を担当しております。
他にない換気・空調に関する情報をわかりやすく発信していきます。
●菱熱工業株式会社 社員
●開発商品(全熱交換器)の新聞社掲載情報(日本経済新聞社、月間HACCP、日刊工業新聞社)
●主な仕事内容:空調更新工事・保守メンテナンス・換気改善提案
●設備工事の妥当性を見極めるには、ある程度の設備知識が必要です。そんな知識を提供してより良い設備の保守・工事のご参考にしていただけますと幸いです。