建築基準法・ビル管理法の必要換気量を解説|感染症対策の推奨換気量と比較

感染症の注目が高まると共に、換気の注目も高まりました。
厚生労働省から推奨される換気量が発表されたのを、ご存知の方も多いはずです。

どの建物にも換気機能があります。
そちらの換気機能は以前より定められていた法律が基準となり設置されております。
今回の感染症の換気対策の基準が、そちらの既存の換気基準とどのように変わったのか、「建築基準法」「ビル管理法」に焦点をあて、ご説明していきます。

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法律で定められた換気基準

建築基準法

換気基準に関わる法律はいくつかありますが、
建築基準法で定められた基準を簡単に説明致します。

建築基準法とは日本で安全に快適で暮らせるよう、建物や土地に対してルールを定めたのが建築基準法です。建築基準法の対象は、建築物、建築物の敷地、設備、構造等、建築物に関わる全般的な内容となり、建築物を建設する際に必ず守らなければならない法律になります。

建築基準法28条第2項では、
「居室には換気のための窓その他の開口部を設け、その換気に有効な部分の面積は、その居室の床面積に対して、1/20以上としなければならない。但し、政令で定める技術的基準に従って換気設備を設けた場合においては、この限りではない。」
と記載があります。
要するに、居室には基準を満たした窓、もしくは換気設備を設けて必ず換気ができるような基準が設けられております。

建築基準法の規定では、換気設備における換気量は「一人当たり1時間につき20㎥」と定められております。(20㎥/h・人)
こちらは成人の人が静かに腰かけている状態のCO2発生量を基準としております。実際に設計する際には、居室の使用実態に見合った換気量の設定が必要です。

ビル管理法

続いてビル管理法に関して、簡単にご説明致します。

ビル管理法は略称であり、建築物衛生法(ビル衛生管理法)とも言います。
正式名称では「建築物における衛生的環境の確保に関する法律」と言います。
ビルに関して、衛生環境の基準を設けて、利用者が衛生的・健康的に過ごせるように管理することを義務付けている法律になります。
建物の所有者・占有者は建築物衛生法に規定される「建築物環境衛生管理基準」に従って当該特定建築物の維持管理をしなければなりません。

管理基準の項目として➀空気環境の調整、②給水及び排水の管理、③清掃、④ねずみ・昆虫等の防除が定められています。建築物としては、映画館、劇場、百貨店、ホール、会館、図書館、レジャー施設、飲食店、小売店、事務所、ホテル等が一般的に該当します。

こちらでは室内の衛生環境の条件として、一酸化炭素濃度(10ppm以下)や二酸化炭素濃度(1000ppm以下)の基準を設けることで、適切な換気量を確保することを求めています。
この基準を実現するために、空気調和・衛生工学規格では、人体から発生する二酸化炭素に基づき、「一人当たり1時間につき30㎥」の換気量が必要と示しております。

感染症対策の推奨換気基準

「換気の悪い密閉空間」のための換気基準

では、新たに発表された感染症対策の推奨換気量を説明していきます。

『商業施設における「換気の悪い密閉空間」を改善するための換気の方法』という推奨換気が厚生労働省から発表されました。
集団感染のリスク要因の一つとして挙げられる「換気の悪い密閉空間」を改善するために、多くの人が利用する商業施設等においてどのような換気を行えばよいかが纏められています。

こちらでは「一人当たり1時間につき30㎥」を満たす換気量が推奨されています。
要するにビル管理法(建築物における衛生的環境の確保に関する法律)の基準と同じになります。ビル管理法に該当する建築物では、基準が満たされていることを確認し、換気設備の清掃メンテナンスを適切に行うことが大切になります。

まとめ:現在の換気設備の換気量を確認しよう

感染症対策における換気量(30㎥/h・人)は、ビル管理法に該当する建物と同等の換気量が必要なことをご理解いただけたでしょうか。
建築基準法のみ基準とした建築物(20㎥/h・人)は、感染対策における換気量に足りておらず、換気量を増やさなければいけません。

まずはビル管理法に該当する・しないに関わらず、全ての建物で現在の換気設備の換気量を確認してみてください。基準を満たす換気設備が設置されているか、正常に運転しているかを確認することは重要です。
例えば、基準は満たす換気設備だが、劣化や汚損があり換気量が確保できていなかったということもあります。
また換気量が足りない場合は、現在の換気量に合わせ一部屋当たりの在室人数を減らすことで、換気基準を満たす方法も厚生労働省から発表されています。
まずは、現状の換気量を把握することが大切になります。

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設備
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