食品工場に初めて入るとき
「なんでこんなに手を洗わないといけないの」
と思ったことはないでしょうか。
「食品工場なので衛生環境を保ちたいのは分かるが何回もやる必要ある?」
今回は様々な洗剤で何回も手洗いをする理由について解説していきます。
使う洗剤の役割について
石鹸・ハンドソープの役割
石けんやハンドソープは家庭用、業務用問わず様々な場所で使用されています。
ではなぜこれらは衛生管理の厳しい食品工場でも採用されているのでしょう。
その秘密は「泡」にあります。
石けんや洗浄剤をよく泡立てることで
1.皮膚のしわなど細部に洗浄剤がいきわたること
2.汚れを浮かび上がらせることで少ない摩擦で効率的に汚れを落とせること
3.泡による体積の増大で少ない洗浄剤で広い面積を洗うことができること
4.かつ皮膚に接触する洗浄剤の濃度が低くなり肌への刺激が少なくなること
などがあります。
つまり効率よく除菌ができるわけです。
日本が周辺諸国に比べてコロナウイルスの感染拡大を抑えられた理由として、このハンドソープがコロナ前から普及していることとその持ち前の手軽さがあったのかもしれませんね。(諸説あり)
イソジンの役割
先ほどのハンドソープは「殺菌」よりも元からいた菌の数を減らす「除菌」が得意です。
家庭での手洗いでは十分ですが、食品工場は菌の繁殖が大きなリスクになるため、上記に加えて殺菌工程を行います。
食品工場では一般的な手洗いをした後に、黄土色のイソジン®ウォッシュなどを使い再度手洗いをするケースが多いでようです。
イソジンには「ポビドンヨード」という成分が含まれています。
主に昆布やワカメなどに含まれているミネラルの⼀種である「ヨード」には殺菌作⽤があることは古くから知られていましたが、⽪膚への負担が⼤きいという問題がありました。そこで、その毒性を下げ、⽔によく溶けやすくするために「ポリビニルピロリドン」という成分と合わせたものが「ポビドンヨード」です。(https://www.isodine.jp/より一部抜粋)
ポビドンヨードは即効性を持ち、ハンドソープでは殺菌できない多くの耐性を持った細菌、真菌、ウイルスに効果があることから病院などでも愛用されています。
また、その特徴的な黄土色はヨードが水に溶けた色ですが、どこに塗ったかを目視確認できる点もからも便利といえます。
アルコールの役割
消毒作用を持つ
2020年にアルコールが品切れになったのが懐かしいです。
「消毒」は、菌やウイルスを無毒化することです。
アルコールは「消毒効果」を有しヒト、モノに使え非常に高い汎用性を持ちます。
食品工場だとハンドソープ、イソジンをしてゴム手袋をつけ、その上からアルコール消毒をするケースが多いです。
ここまですれば万全といえるでしょう。
滅菌、殺菌、消毒、除菌
この言葉の違いを正確に定義づけられますでしょうか。
恥ずかしながら小生は調べるまではあやふやでした.......。
先ほど出てきた除菌とは「医薬品・医薬部外品」以外の製品に記されることが多いようです。
「滅菌」、「消毒」、「殺菌」という文言は薬機法も生労働大臣が品質・有効性・安全性を確認した「医薬品・医薬部外品」の製品に記されているということも覚えておいて損はないでしょう。
①滅菌:病原体・非病原体を問わず、すべての微生物を死滅、または除去すること。日本薬局方では微生物の生存する確率が 100万分の1以下になること
②殺菌:細菌を死滅させるという意味ですが、この用語には、殺す対象や殺した程度を含んではいない。このため、その一部を殺しただけでも「殺菌」といえると解されており、厳密には有効性を保証したものではない。
③消毒:微生物の数を減らし、感染症を惹起し得ない水準にまで病原微生物を殺菌または減少させること。
④除菌:目的とする対象物から微生物を除去すること
https://www.adachi-ichou.com/より一部抜粋
菌をなくす確かさはこの順番だそうです。
この観点から使う医薬品、洗剤等を見てみても面白いかもしれません。
まとめ
食品工場では日々お客様が口にするものを生産しています。
常に衛生管理して食の安全を守ってくれている食品工場に感謝です。
目的に合った手順を踏み、正しい手洗いをして食中毒、感染症の予防に努めましょう。