大豆ミートは欧米を中心に今や身近な食品となっています。欧米では、約10%前後を占めるベジタリアン(菜食主義者)、そのうち3~4%を占めるヴィーガン(卵や乳製品を含む動物由来の食材を摂らない人)が大豆ミートをはじめとする代替肉を中心とした食材を選んでいます。
最近では、国内でもSDGsへの取り組みが加速し、その一環として「大豆ミート」というワードをよく聞くようになりました。
こちらの記事では「大豆ミート」が昨今注目されている理由についてご紹介いたします。
そもそも代替肉とは?
畜肉の代替となる食材
①植物性タンパク食材
豆類等の植物性タンパク質を加工し肉同様の食感を再現した食材(大豆ミート他)
②昆虫食
豊富なタンパク質を持つ昆虫を加工、調理した食材
③培養肉
家畜から取り出した少量の筋肉組織を培養し動物の体外で細胞を増やす事で得られたお肉
今後の市場動向
米コンサルティング会社A.T.カーニーのレポートでは、現在90%程を占めている従来の食肉は、今後減少傾向になると報告されています。2030年には代替肉(上記3食材)の市場シェアが28%、2040年には60%になると予測されています。今後、従来の食肉割合が減少し代替肉の一つである大豆ミートの市場が拡大していく背景を次の項目で説明していきます。
「大豆ミート」が注目されている理由
大豆ミート市場拡大の背景
①プロテインクライシス(タンパク質危機)
国連の調査によると全世界の人口は2050年に97億人に達すると予測されています。世界的な人口増加と新興国の食生活の向上により食品の需給が崩れる事が予測されています。特に新興国の肉食化によって2030年には、タンパク質の需要が供給を上回ると言われています。これまでは、農業の生産性向上によりタンパク質供給量を補ってきましたが、人口増加に伴う世界的なタンパク質需要は今後補えなくなると予測されています。これらの事象をプロテインクライシスと言います。
タンパク質の供給を増やす目的で畜肉を増やす事も出来ますが、畜肉による地球環境への影響は大きく、「②家畜による環境問題」にてそれらに関して説明していきます。
②家畜による環境問題
家畜は生活する中で体内にて発生するメタンガス(温暖化の要因)をゲップ等で排出しています。家畜によるメタンガスの総量は、世界の温室効果ガスの約14%を占め、世界中の全ての乗り物の排出量に匹敵します。また、1kgのステーキを作るために、約15,000ℓの水、25kgの穀物が必要となります。更には、1980年からの20年間で約1億ヘクタールの熱帯雨林が失われ、その多くが家畜または家畜の飼料を育てるための土地となっています。その結果、畜肉の生産には地球の陸地の約30%を利用しているとの報告があり家畜は深刻な環境問題の要因となっています。
③健康志向
昨今、コンビニエンスストアでも陳列棚に高タンパク質食材が並べられるようになりました。新型コロナウイルス感染拡大も相まって日本人の健康に対する意識は大きく変わりました。明治安田生命の「健康」に関する調査では、74.4%の人が生活習慣病予防や健康づくりの為の健康的な食生活を意識していると回答しています。そんな中、大豆ミートは高タンパク質食材の一つとして、注目されており、畜肉と比して脂質が少ない上、食物繊維が豊富でビタミン、ミネラル等の栄養価は高い一方でエネルギー量は低い事からダイエット食としても注目されています。
さいごに
多くの企業や個人がSDGsへの取り組みの一環として代替肉に対して高い関心を持っています。その中でこれから益々需要の高まる大豆ミートを自社工場で内製化してみたいという要望も増えています。しかし、そもそも大豆ミートはどのように製造されているのか、大豆以外の植物性タンパク原料は使用できないのか等、植物性タンパク食材の製造にご興味のある方は弊社HPよりお問い合わせ下さい。