スーパーマーケットにおける防露設計【カビ・結露対策方法を紹介】

近年スーパーマーケットの店舗から多くの結露相談を受けています。
近年のスーパーマーケットは、市場の変遷から冷蔵冷凍ショーケースの配置が増えたことや、気温の上昇といった環境の変化により結露リスクが高まっています。古い物件ほど結露も多く、天井のカビを塗装で隠したり、床の水滴をカーペットで吸収したり、対処に苦慮されています。新築時に防露の認識を持って計画すればトータルコストの削減ができることも多く感じます。今回は私たちが見てきた、スーパーマーケットの店舗によくある結露の事例3パターンについて紹介し、防露という視点から検討すべき内容を紹介していきます。

   

スーパーマーケットによくある結露の事例と防露設計

①冷蔵冷凍ショーケース間の通路床での結露

冷蔵冷凍ショーケースは5℃やマイナス帯の温度で管理されています。このためショーケース付近は空間の温度が低くなり、床も冷えます。ショーケースから冷気が溢れることに加え、輻射による冷却効果があるからです。ここに湿気を含んだ暖かい外気が入ってくると、冷たい床で結露が起こります。
暖かい空気は湿気を多く含んでおり、冷たい物質に触れると、空気の温度が下がり、持ちきれなくなった水分を放出し、結露となります。
防露設計としては給気と排気の配置を適切に計画し、外気の通り道を結露しにくいエリアに通すことです。また、対処法として床にヒーターを入れることや、通路床面にエアーを送り、冷気だまりを作らないことが挙げられます。

②天井の裏面での結露

天井裏で天井面が結露していると、時間が経過するにつれてカビが発生し、フロアから天井を見上げると黒い斑点が見えるようになります。ひどいときは天井裏に水たまりができ、放置すると腐食した天井が崩落することがあります。
この結露でよくあるパターンが、冷蔵冷凍ショーケース上部の天井で、かつ天井裏にグラスウール等の断熱マット敷いている場合です。天井裏の断熱材があることで、天井材と断熱マットの間に隙間が生まれます。ショーケース付近の空間の温度が下がり、徐々に天井材が冷えるので、天井材と断熱マットの隙間も冷えます。屋根と外壁の接合部には多少の隙間が空いているもので、そこから湿った暖かい外気が入ってきて、断熱材と天井材の隙間に入り込んで結露を生じます。また、グラスウールは吸湿性があるので、結露水を吸収しさらに天井材を痛めたり、日常的な結露の要因になったりします。
防露設計としては天井裏の断熱材を撤廃することが挙げられます。また対処法として天井裏換気や除湿器の導入により天井裏の空間を攪拌、除湿することも考えられます。

③天井の下面での結露

②の天井裏での結露と似ていますが、天井下面での結露もあります。これも冷蔵冷凍ショーケース付近の天井の温度が下がり、そこに暖かい外気が触れることで結露に至ります。天井下面の結露でよくあるパターンは、店舗が全体的に陰圧になっている場合です。排気のみの第三種換気で設計されているため、売り場の出入り口や建物のあらゆる隙間から外気が入り込み、店舗内にあらゆる結露のリスクをもたらします。
防露設計としては、プッシュプル式の給気と排気を導入した換気方式にし、制気口を結露のリスクを抑えた配置にすることが挙げられます。さらに給気に外気処理機を入れて、空気の湿気を取り除くとより効果的です。先述した天井裏の断熱マットを撤廃し、天井面を冷やさないようにすることも大切です。

まとめ:スーパーマーケット店舗は結露のリスクが高い空間

スーパーマーケット店舗は夏場であれば35℃にもなる外気が多く入ってくる建物でありながら、内部は食品を保管する冷蔵冷凍ショーケースを持つという結露のリスクが高い空間です。防露設計には設計者の建築的配慮、設備的配慮が必要であり、コスト重視での建築計画はこれらの必要な配慮が無視されてしまう可能性があります。防露設計を取り入れたきれいな店舗づくりによってトータルコストの削減、衛生面での安全性向上、顧客満足度向上が実現できます。

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