エアバランスとは|扉や隙間のヒューという風の音の原因を解説

飲食店の扉や建物の隙間からヒューと風の音がする、という現象が起きている状況を発見することがあります。
その様な音を気にされる方は少ないと思いますが、このヒューという音は風切り音と言われ、風が扉の隙間を速く通り抜けることで鳴る音です。実は音以外に弊害が生じる場合があります。

飲食店に限らず、様々な建物や部屋で同じような風切り音が生じる可能性がございます。送風機があれば発生する可能性はどこにでも潜んでいるのです。

今回は風切り音(隙間風の音)とは何か、なぜ起きるのか、放置するデメリットや影響を見ていきましょう。

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風切り音(隙間風の音)の原因とは

風切り音の原因とエアバランスとは

扉やドアから「ヒュー」という風の音(風切り音)がする原因は、空気の通過速度が速いことによって生じます。

そもそも風切り音とは、隙間風によって音が鳴る「音鳴り現象」とも言われています。風切り音の原理は、は空気が早い速度で、物体の横を通ったりすることで鳴る気流の音になります。

風切り音の原因はいくつか考えられます。
①給気と排気のバランスが崩れてしまっている
②建屋に隙間ができてしまっている
上記が理由で風の通り道において、風は速く通過することで風切り音(隙間風の音)が生じてしまいます。

①給気と排気のバランスが崩れてしまう
こちらはエアバランスが崩れてしまっていることが原因となります。
エアバランスという言葉に耳なじみのない方もいらっしゃるかもしれません。
普段私たちが目にする部屋や建物は、用途に合わせて空気の圧力のバランスを設計しております。
用途に合わせて圧力を設計することで、快適な室内空間を設計し、そのバランスに合わせて送風機を選び、設置しております。
室内もしくは建物全体の圧力のバランスをエアバランスと言います。
では、どのように快適な空間づくりにエアバランスが役立っているのでしょうか。

実際には、エアバランスは換気方式や排気量と給気量のバランスにより圧力の差を生み出しております。
給気と排気のバランスによって、一つの部屋を負圧と陽圧に分けることができます。また室内の用途によっては意図的に陽圧・陰圧に設計することもあります。
一般的には、汚染度の高い部屋の空気を、周囲へ流出させるのを防ぎたい場合に、周囲の部屋よりも圧力を低くした負圧と言われる状態にします。
負圧は部屋からの排気する量を送風機等で給気量よりも多くすることで、汚染度の高い部屋の空気が他の部屋へ漏れ出ないようにしています。
負圧・陽圧ともに給気ファン・排気ファンの機器を使用した換気の第1種換気と排気のみ機器を使用した第3種換気が該当します。

逆に、正常な環境を維持する必要がある室内では、周囲よりも圧力を高くした陽圧と言われる状態にします。陽圧は部屋に給気する量を送風機等で排気量よりも多くすることで、汚染度の低い部屋に周囲の比較的汚染度の高い空気が流入しないようにしております。
こちらも負圧・陽圧ともに給気ファン・排気ファンの機器を使用した換気の第1種換気と給気のみ機器を使用した第2種換気が該当します。

通常は風の通り道の風の通過速度が速くなり、風切り音が鳴らないようにエアバランスが設計されていますが、様々な原因でエアバランスが崩れ風切り音のなってしまう現象が起きてしまいます。

②建屋に隙間ができてしまっている
こちらは本来風の通り道ではない箇所に、隙間が出来てしまい、風が通過することが原因の風切り音になります。建物の改修工事等で、大幅なレイアウト変更工事や間仕切り工事等で生じる場合があります。

エアバランスの崩れの原因は

なぜ、エアバランスが崩れてしまうのでしょうか。

代表的なものが3つございます。
1つ目は送風機の故障です。圧力を調整していた送風機が壊れて動かない為、バランスが崩れてしまうことがあります。給気用と排気用の送風機の2台で、圧力のバランスが取れていたものが、排気用の送風機が壊れてしまった場合、給気用の送風機のみの運転によりバランスが崩れます。

2つ目は送風機が故障していなくても空気の通り道が何かしらの異物で塞がれてしまい、空気が上手く排気もしくは給気できないことも考えられます。
例えば、火災時用の設備が誤作動して空気の通り道が塞がれてしまうという事例もあります。
また室内のCo2濃度を測定し、その測定値に基づいて換気量を自動で調整するCO2制御というシステムがございます。
そのシステムでも、自動で調整するモーターの部分が故障してしまうことで空気の道が塞がれてしまうことがございます。
また厨房機器の排熱用のファンを、厨房機器を使用しなくなってしまったことにより、常時止めてしまい崩れてしまうこともあります。

3つめは風量を変更する設定を行った場合です。
先程のCO2制御では、CO2濃度の変化にともなって自動的に調整された換気量を取り入れ・排出しています。その換気量を調整する設定を変更してしまうと、エアバランスの崩れが起きることがございます。
具体的にはモーターダンパーと言われる空気の通り道に設置されている風量を自動的に調整する機器において設定開度を変更してしまうこと、インバーターと言われる送風機の出力(風量)を調整する出力値の設定を変更してしまうことが上げられます。
しかしこちらは、簡単には触れない場所に設定変更の機器が設置されている場合が多く、何も知らずに変えてしまうということは少ないと思います。


送風機周辺や空気の通り道をまずは確認することが重要になります。

また設備の専門家に確認せず、送風機を後付けで導入した場合にも、生じる可能性がございます。
記事:陽圧・陰圧の違いとリスクをわかりやすく解説|室圧測定の重要性とは

風切り音の放置リスクと影響

室内汚染等の室内環境悪化の可能性

先述した通り、室内の圧力差を利用して汚染された空気が他の部屋へ流出しないように、もしくは汚染空気が入り込まないように調整されています。
その圧力のバランスが崩れた場合では、状況によってはトイレなどのような汚染空気や浴室のような湿度の高い空気が周りの部屋へ流れ出る可能性があります。
また建物の隙間から屋外の汚染空気が入り込んでしまう可能性があります。

近くの部屋や建物の臭いが室内に入ってくる等、汚染以外にも臭いの問題になる可能性もあります。
衛生区分がしっかりされている場所では、早急に対応する必要があります。

また負圧といわれる状態では、外の寒いもしくは暑い空気を室内に直接取り込んでしまい、室内が寒く、もしくは暑くなってしまうデメリットがあります。
そうなるとエアコンも大変効きづらくなり、更に室内環境が悪化していき、エアコンが暖めた、もしくは冷やした空気はすぐ外に出て行ってしまう為、大変効率が悪くエアコンの光熱費も上がってしまう可能性があります。
飲食店の場合、扉近くの席の方が寒い・暑い思いをしてしまう可能性があります。

扉が重くなるor閉まらない

風切り音がする扉を開け閉めすると感じる方がいらっしゃるかもしれませんが、
扉が開けづらくなったり、閉まらなくなったりすることがございます。

エアバランスを崩し強い負圧になることで、外の空気を室内へ引っ張ろうとする力が大きくなり、扉が室内側への圧力で開けづらくなることがあります。その逆の正圧により扉が圧力により閉まらなくなることがあります。

実際に扉が開けづらくなる・閉まらなくなることで、扉を開けたら勢いよく開いてしまい怪我をしてしまった、力を入れないと開かなくなり高齢者では開けられない等、様々な障害が考えられます。
不特定多数の人が使用する扉では、早急な対応が必要となります。

風切り音自体の騒音

室内環境が静かな場合、風切り音が響いてしまい室内の人に影響を及ぼす場合があります。
会議等話し合いの場なのに風切り音で会話の音が聞こえない、鑑賞ホールで静かなシーンで風切り音で鑑賞に集中できない等
用途によっては影響が大きくなります。

また風で扉が開いてしまう可能性があり、周囲の音が入り込む、室内の会話が外に聞こえてしまうなど
より密閉すべき空間では気を付けるべき点です。
記事:劇場扉が閉まらない・開けにくい場合はこちらを確認

まとめ:エアバランスの崩れは放置せず対応を!

エアバランスの崩れの仕組み、どのような障害が生じるか、ご理解いただけたでしょうか。エアバランスは目に見えず、分かりづらいかもしれませんが、快適な室内の大切な要素の一つです。
大きな問題はないかと思われますが、衛生区分を厳密な管理が必要な場所、不特定多数の人が利用する場所では、重大な問題が生じるかもしれません。

まずは、何故エアバランスが崩れてしまったかを突き止めることが最優先になります。
しかしエアバランスは一つの部屋、もしくはフロア・2~3つの部屋全体で整うよう設計されている場合もあります。
扉から音がする部屋以外にも、他の部屋も含めて設計されている場合は、他の部屋の不具合が影響している場合もあります。
エアバランス崩れの調査は設備の専門家による確認をおすすめ致します。

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作者名
アミューズメント設備食品
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