
昨今、感染症対策により換気の必要性が大きくクローズアップされています。
電車やオフィスなど、常時窓を開けることが当たり前になっています。
徹底的な換気対策がされており、安心できますよね。
感染症対策の為に、換気を後付け・増設した方もいらっしゃるかもしれません。
しかし、冬は寒い・夏は暑いと感じる場所が増えたように感じます。
換気を増やすということは、室内環境のコントロールが難しくなります。
換気を増やす際には、注意点があります。
一般的になぜ換気が必要なのか、増強する際の注意すべき点を見ていきましょう。

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なぜ換気は必要なのか
換気の効果
室内の空気と外気を入れ替える換気、なぜ必要なのか改めて確認してみましょう。
換気をすることで得られる効果は5つあります。
①汚染空気の排出と新鮮空気の取入
【空気を汚染する要因】
・人の呼吸で排出される二酸化炭素による空気汚染
・コンロ等の燃焼器具による空気汚染
・建物に使用された建材等による空気汚染
換気はこのように有害ガスの発生防止と、汚染空気を排出することで衛生に保ちつつ、快適な環境を作り出します。

②脱臭
室内空気を排出した際に、空気に含まれていた臭気がなくなり、臭いを取り除くことができます。換気の効果を最も感じやすいのが、この脱臭効果になります。
③除湿
建物の中には、洗面所や浴室、台所と多く湿気が発生する場所があります。
換気により室内の湿気を排出することで、結露やダニ・カビの発生を防止することができます。
④除塵
塵は人の皮膚、着衣、くしゃみ、布団、車の排気ガス等の生活の様々な場面で発生しております。換気により室内の空気中に浮遊する塵埃を排出し、衛生的で快適な環境をつくります。

換気後付けの注意点とは
①換気の目的を明確に
換気は生活していく上で欠かせないことはご理解いただけたでしょうか。
最適な換気を選ぶには何に気を付けるべきなのか、ご説明致します。
換気方法は大きく2つございます。「自然換気」と「機械換気」です。
換気を増やす際には、目的に応じてどちらを選択するかで最適な換気対策ができます。
「自然換気」は、自然の力を利用した換気、一般的に窓を開けた換気等が含まれます。
手間や費用をかけずに換気を増やすには最適な方法ですが、自然の力任せなので、
常時安定した換気量を得ることは困難です。
「機械換気」は、機械を使用して換気する方法です。
こちらは設置スペースや費用は必須ですが、常時安定した換気量を得ることができます。
例えば、推奨される一人当たりの換気量30㎥/h(厚生労働省:「換気の悪い密閉空間」を
改善するための換気の方法 参照)を実現する際には、有効な換気方法です。

②室内環境が悪化する可能性
新築等新しく部屋を作る時に、換気量やエアコンは緻密な計算をして設計されておりま
す。換気を増やす場合には、設計時には想定されていない換気量が増えることとなり、
いくつか注意すべき点があります。
換気を増やすということは、増えた換気量の分だけ室内に空調されていない屋外の空気が以前より多く入り込み、空調された室内の空気が多く捨てられる状況になります。
その結果、室内の環境が悪化する場合があります。
例えば、雨天で湿度が高い際は、湿度の高い空気が多く室内に送り込まれます。
室内の湿度が上昇することで、カビの発生の原因になる場合があります。
猛暑日や真冬日も同様に、暑い・寒い空気が大量に室内に送り込まれ、空調された室内の空気が排出され、室内が暑すぎたり寒すぎたりする場合があります。
室温の厳密な管理や、体調が崩しやすい方が室内にいる環境では、特に注意が必要です。
※機械換気には、こちらを軽減する方法として全熱交換器がございます。

まとめ:目的と目指す室内環境で換気を選ぶ
換気は私たちの生活に当たり前のように行われており、生活に不可欠なものです。
昨今の感染症対策で、換気の重要性が高まっており、疎かにできない存在です。
しかし換気を後付けすることは、室内環境が悪化やコントロールしにくいでメリットもあります。特に梅雨時期の換気によって、カビが発生するお話も多々ございます。
換気は後から増やしにくい難しい設備です。室内には誰がいて、室内環境はどの程度コントロールすべきかの目的を加味してから、後付けする換気の方法を決めてみては如何でしょうか。

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普段は換気・全熱交換器に関わる工事、他には劇場関係の空調換気設備の修繕・保守を担当しております。
他にない換気・空調に関する情報をわかりやすく発信していきます。
●菱熱工業株式会社 社員
●開発商品(全熱交換器)の新聞社掲載情報(日本経済新聞社、月間HACCP、日刊工業新聞社)
●主な仕事内容:空調更新工事・保守メンテナンス・換気改善提案
●設備工事の妥当性を見極めるには、ある程度の設備知識が必要です。そんな知識を提供してより良い設備の保守・工事のご参考にしていただけますと幸いです。